デザインコンセプトとは?Webサイト制作の成功を左右する基本と作り方

2025.09.17
目次

デザインコンセプトとは、Webサイトや制作物全体の方向性を定める設計思想のことです。見た目の美しさだけでなく、サイトが持つ目的やターゲットユーザーにどのような価値を届けるかを言語化し、デザインの判断基準となる指針を意味します。質の高いWebサイトを制作するためには、明確なデザインコンセプトが不可欠です。
この記事では、デザインコンセプトの基本的な意味から、具体的な作り方の手順、作成時の注意点までを網羅的に解説します。

デザインコンセプトの基本|役割やテーマとの違いを明確にしよう

デザインコンセプトとは、制作物におけるデザインの方向性や考え方を具体的に示したものです。 これは単なるアイデアではなく、目的達成のための道筋を言葉で説明する設計思想を意味します。よく混同される言葉に「テーマ」がありますが、テーマは「何を作るか」という主題であるのに対し、コンセプトは「なぜ、どのように作るか」という具体的な方針や概念を示します。 言い換えれば、テーマが作品の題材そのものを指すのに対し、コンセプトはその題材をどのような切り口で表現するかの指針となります。

デザインコンセプトとは?成果を出す進め方

本記事では、デザインコンセプトの意義と役割について解説すると共に、市場調査からアイデア出しまでの一連の流れを丁寧に紹介します。優れたコンセプトを築くためのフレームワークやテクニックも併せてお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。

なぜ重要?デザインコンセプトを設定する3つのメリット

なぜ重要?デザインコンセプトを設定する3つのメリットデザインコンセプトを明確に設定することは、Webサイト制作プロジェクトの成功に不可欠です。コンセプトは、制作の指針となり、関係者間の認識を統一し、最終的なアウトプットの質を高める役割を果たします。コンセプトが曖昧なままプロジェクトを進めると、方向性がぶれたり、手戻りが増えたりする原因になりかねません。
ここでは、デザインコンセプトを設定する具体的なメリットを3つ紹介します。

  • メリット1:チーム全体でデザインの方向性を共有できる

  • メリット2:制作物全体に一貫性を持たせられる

  • メリット3:競合他社との差別化を図れる

メリット1:チーム全体でデザインの方向性を共有できる

デザインコンセプトを言語化し、資料として明確に定義することで、プロジェクトに関わる全てのメンバーが共通の認識を持つことが可能になります。Webサイト制作には、ディレクター、デザイナー、エンジニアなど多くの人が関わりますが、それぞれの解釈が異なると、制作物に一貫性がなくなってしまいます。コンセプトが明確であれば、それが判断基準となり、「このデザインはコンセプトに合っているか」という視点で客観的な議論ができます。これにより、個人の感覚に頼った主観的な意見の衝突を避け、スムーズな意思決定と効率的な制作進行が実現します。

メリット2:制作物全体に一貫性を持たせられる

デザインコンセプトは、Webサイトだけでなく、企業やサービスが展開するあらゆる制作物に適用できる指針です。例えば、プロダクトのパッケージやロゴ、チラシ、アプリのデザインに至るまで、共通のコンセプトに基づいて制作することで、全体に統一感が生まれます。この一貫性は、ユーザーに対してその企業やサービス「らしさ」を強く印象付け、ブランドイメージの構築に大きく寄与します。建築の分野でも、家やオフィスの設計においてコンセプトが中心的な役割を果たし、空間全体の世界観を統一しています。

メリット3:競合他社との差別化を図れる

市場に類似のサービスや商品が溢れる中で、ユーザーに選ばれるためには他社との違いを明確に打ち出す必要があります。 デザインコンセプトは、自社の独自性や提供価値を視覚的に表現し、競合との差別化を図るための強力な武器となります。 なぜそのデザインなのか、という根拠がコンセプトによって裏付けられることで、単に見た目が美しいだけでなく、メッセージ性のあるユニークなデザインが生まれます。 これにより、ユーザーの記憶に残りやすくなり、ブランドの認知度向上やロイヤリティの形成に貢献します。

【5ステップ】Webサイトのデザインコンセプトの作り方

【5ステップ】Webサイトのデザインコンセプトの作り方優れたデザインコンセプトは、感覚だけで生まれるものではなく、論理的なプロセスを経て構築されます。これから紹介する5つのステップは、誰でも実践できるデザインコンセプトの基本的な作り方・決め方です。情報を整理し、アイデアを具体化していくことで、曖昧なイメージを明確な指針へと昇華させることができます。この手順に沿って進めることで、プロジェクトの成功率を高めることが可能です。

  • ステップ1:目的やターゲットなどの情報を整理する

  • ステップ2:サイトのイメージを表すキーワードを洗い出

  • ステップ3:キーワードを基にキャッチコピーやテーマを決める

  • ステップ4:フォントやカラーなど具体的なデザイン要素に落とし込む

  • ステップ5:関係者からのフィードバックを元に改善する

ステップ1:目的やターゲットなどの情報を整理する

目的やターゲットなどの情報を整理する

目的やターゲットなどの情報を整理するデザインコンセプトを作成する最初のステップは、土台となる情報を整理し、プロジェクトの全体像を正確に把握することです。 Webサイトを制作する目的、ターゲットとなるユーザー層、提供する価値などを明確にします。 クライアントへのヒアリングや市場調査、競合分析を通じて得られた情報を客観的に整理し、プロジェクトのゴールを明確に定義することが、後のステップの精度を高める上で非常に重要になります。また、整理した情報は可視化して共有することで、関係者全員の理解と認識をそろえるうえで非常に有効です。

ステップ2:サイトのイメージを表すキーワードを洗い出

サイトのイメージを表すキーワードを洗い出ステップ1で整理した情報をもとに、サイトがユーザーに与えたい印象や世界観を表現するキーワードを可能な限り多く洗い出します。 この段階では質より量を重視し、形容詞や名詞、動詞など、思いつくままに単語を書き出していくブレインストーミングが有効です。 例えば、「信頼感」「先進的」「シンプル」「モダン」「やさしい」「和」といったワードが挙げられます。 その後、似たような意味を持つキーワードをグループ化したり、優先順位をつけたりして、コンセプトの核となる言葉を絞り込んでいくと、方向性がより明確になります。

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種類

キーワード

具体的な使い方・イメージ

感性

信頼感

金融・医療系に多用。落ち着いたブルーや安定感あるレイアウト。

先進的

IT・テック系。シャープなフォントや動きのある演出で革新性を強調。

シンプル

余白を活かしたミニマルUI。ブランドサイトやポートフォリオに適用。

やさしい

パステルカラーや丸ゴシック体。教育・福祉・医療に親和性高い。

日本の伝統色(藍・朱・金)。旅館や和菓子店などで世界観を演出。

機能

直感的

初見でも操作が分かるUI。ECサイトやアプリで必須。

高速

読み込み最適化。離脱率低下やSEO改善に直結。

レスポンシブ

端末ごとの表示最適化。現代のWeb標準。

拡張性

多言語・機能追加に対応。長期的なサイト運用を前提に設計。

ステップ3:キーワードを基にキャッチコピーやテーマを決める

洗い出して整理したキーワード群を統合し、デザインの方向性を一言で表す中心的なキャッチコピーやテーマを設定します。このキャッチコピーは、プロジェクトメンバー全員が共有し、デザインの判断に迷ったときに立ち返るための指針となるものです。例えば、「働く女性の毎日を、少しだけ特別にする情報サイト」や「未来を創るテクノロジーを、もっと身近に」のように、ターゲットと提供価値が簡潔に伝わる言葉にまとめます。誰が聞いてもサイトのイメージを具体的に想像できるような、分かりやすく魅力的な言葉を選ぶことが重要です

ステップ4:フォントやカラーなど具体的なデザイン要素に落とし込む

フォントやカラーなど具体的なデザイン要素に落とし込む決定したコンセプトを、実際のビジュアルデザインに変換していくステップです。 コンセプトを表現するために最適なカラーパレット、フォント、写真やイラストのトーン、レイアウトの規則などを具体的に定義します。 例えば、「やさしい」というコンセプトであれば、丸みのあるフォントや暖色系の色合い、余白を活かしたレイアウトが考えられます。 ムードボード(コンセプトを表現する画像や配色を集めたボード)を作成し、ビジュアルの方向性を固めるのも有効な手法です。 この段階で、UIデザインの方向性も定まり、具体的なデザイン制作へと進んでいきます。 Webサイトのデザイン事例を参考にすることも一つの方法です。

ステップ5:関係者からのフィードバックを元に改善する

作成したデザインコンセプトや、それに基づいて制作したデザイン案を関係者に共有し、フィードバックを求めます。 コンセプトが正しく伝わっているか、目的とずれていないか、ターゲットに響くものになっているかを客観的な視点で検証します。寄せられた意見を元に、コンセプトの表現を微調整したり、デザイン要素を改善したりする作業を繰り返すことで、コンセプトの精度と完成度を高めていきます。 この改善プロセスには数日以上を要する場合もありますが、最終的なアウトプットの質を大きく左右する重要な工程です。

デザインコンセプトを作成する際に注意すべき3つのポイント

デザインコンセプトを作成する際に注意すべき3つのポイントデザインコンセプトを作成する過程では、いくつかの重要な点に注意を払う必要があります。 単に独創的なアイデアを追求するだけでなく、ビジネスとしての目的やユーザーの視点、将来的な運用までを考慮に入れることで、実用的で効果の高いコンセプトが生まれます。 ここでは、コンセプト作成時に特に意識すべき3つのポイントについて解説します。

  • ポイント1:長期的な視点でコンセプトを設計する

  • ポイント2:ブランディングとの一貫性を保つ

  • ポイント3:機能性とデザイン性のバランスを考慮する

ポイント1:長期的な視点でコンセプトを設計する

Webサイトやブランドは、一度公開したら終わりではなく、長期にわたって運用されるものです。 そのため、デザインコンセプトを設計する際には、短期的な流行に過度に左右されず、数年後も価値が色褪せない普遍性を持つことが求められます。将来的な事業の拡大やサービスの追加にも対応できるような、拡張性や柔軟性を持たせたコンセプトを考えることも重要です。 企業の根幹にある理念やビジョンに基づいてコンセプトを構築することで、時間が経ってもブレることのない、持続可能なデザインの指針となります

ポイント2:ブランディングとの一貫性を保つ

Webサイトは、企業やサービスのブランドイメージを形成する重要な接点の一つです。 したがって、Webサイトのデザインコンセプトは、企業全体のブランディング戦略と密接に連携している必要があります。 企業理念やブランドパーソナリティ、他の広告媒体などで発信しているメッセージと一貫性がなければ、ユーザーに混乱を与え、ブランド価値を損なうことになりかねません。 ロゴの扱いやブランドカラーの使用規定など、既存のブランドガイドラインを遵守しつつ、Webサイトならではの表現方法を模索することが求められます。

Webサイトにおけるブランディングとは?手順や企業事例を解説

近年、よく耳にする「Webブランディング」という言葉。しかし、Webブランディングという言葉を本当の意味で理解している人はあまり多くありません。ブランディングという言葉を履き違えユーザーに間違った伝え方をしてしまうと、自社の価値を一方的に押し付ける形となり、期待通りの結果に至らない可能性も。 今回の記事では、Webブランディングの本当の意味や、Webブランディングを行うことで得られるメリット、手順を紹介し、大手企業のWebブランディング成功事例をご紹介します。

ポイント3:機能性とデザイン性のバランスを考慮する

デザインコンセプトを追求するあまり、ユーザーにとっての使いやすさ、すなわち機能性やユーザビリティを犠牲にしてはなりません。 どれだけ見た目が美しく独創的であっても、ユーザーが必要な情報にたどり着けなかったり、操作方法が分かりにくかったりすれば、Webサイトとしての目的を達成できません。コンセプトを表現しながらも、ナビゲーションは直感的か、文字は読みやすいか、表示速度は適切かといった機能的な側面を常に意識する必要があります。 ユーザーがストレスなく目的を達成できるという土台の上に、コンセプトに基づいたデザイン性を加えるというバランス感覚が不可欠です。

まとめ

デザインコンセプトは、Webサイト制作における設計思想であり、プロジェクトの成功を左右する羅針盤の役割を果たします。コンセプトを明確に定義することで、チーム内の意思統一、制作物の一貫性確保、そして競合他社との差別化というメリットが生まれます。その作り方は、目的の整理から始まり、キーワードの洗い出し、テーマ設定、デザイン要素への落とし込み、フィードバックによる改善という論理的なステップで構成されます。長期的な視点やブランディングとの一貫性、機能性とのバランスに注意しながらコンセプトを構築することが、質の高いWebサイト制作につながります。
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