コーポレートサイトをJamstackで構築する際に気を付けるポイント

2024.12.23

Jamstackは、コーポレートサイトをより安全で効率的に管理するための新しいウェブ構築手法です。

本記事では、セキュリティやサーバー保守、CMSの選択、ビルド時間の最適化など、Jamstack導入時に押さえておくべき重要なポイントを解説します。

セキュリティ

セキュリティは、コーポレートサイトにとって常に優先されるべき要素です。

従来のCMSでは、動的にページを生成するためにデータベースとの連携が必要となり、サーバーやデータベースが外部に常に接続されている状態です。

この構造は、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)など、様々な攻撃の対象となりやすい状況を生み出します。

また、サーバーの管理やデータベースの脆弱性に対する適切な対応を怠ると、企業に大きな損害を与えるリスクがあります。

一方、Jamstackではページが事前に静的なHTMLファイルとして生成され、それをCDN(コンテンツ配信ネットワーク)を使ってユーザーに配信します。

この静的アプローチにより、サーバーが常に稼働してページを生成する必要がなく、データベースを直接外部にさらすこともありません。

結果として、攻撃の対象となる領域が大幅に減少し、ウェブサイト全体のセキュリティが向上します。

サーバー保守

サーバーの保守作業は、従来のCMSでウェブサイトを運営する際に避けられない業務の一つです。
サーバーを定期的にアップデートし、セキュリティパッチを適用しないと、脆弱性をつかれてサイバー攻撃を受けるリスクが高まります。
さらに、プラグインのアップデートやサーバー自体のメンテナンスも定期的に行わなければならず、これらは時間とコストを消費します。

Jamstackを導入することで、このようなサーバー保守にかかる労力が大幅に削減されます。
静的なHTMLファイルをCDNを使って配信するため、サーバー自体の役割が非常に小さくなります。

また、Jamstackではサーバーレスのアプローチが推奨されており、サーバーを動かすためのインフラ管理が不要になります。
つまり、物理的なサーバーの稼働やアップデートの必要性がなくなり、運用コストやトラブルのリスクが減少します。

さらに、CDNの採用によって、サーバーの負荷分散が行われ、アクセス集中時でもシステムが安定する利点があります。

従来のサーバーでは、特定のタイミングでアクセスが集中すると、サーバーダウンやパフォーマンス低下が発生することがありますが、CDNは複数の拠点からコンテンツを配信するため、このような問題を防ぐことができます。

サーバーの選択

Jamstackを採用する際に重要な決定事項の一つが、どのサーバーインフラやCDNを選ぶかです。サイトのパフォーマンスや信頼性は、使用するサーバーやCDNの性能に大きく依存します。

たとえば、AWSやCloudflare、Vercelといったサービスが一般的に使われています。
CDNを使用することで、ユーザーに最も近い場所からコンテンツを配信できるため、表示速度が向上します。
特にグローバル展開をしている企業の場合、地域によるアクセス速度の差を最小限に抑えることができます。

また、CDNは負荷分散の機能も提供しているため、急激なアクセス増加にも対応でき、安定した運用が可能です。
さらに、サーバーレスやクラウドベースのサービスを選ぶことで、拡張性も確保されます。

サイトのトラフィックが増加した場合でも、自動でリソースがスケールするため、サーバーのパフォーマンスに気を使う必要がなくなります。
こうしたインフラの選択は、サイトの安定運用に直結するため、慎重に選ぶことが求められます。

CMSの機能と選択

従来のCMSを使用しているWeb担当者にとって、Jamstackへの移行を考える際に最も不安に思う点の一つは「CMSの機能性」です。
企業のコーポレートサイトでは、頻繁な更新が求められることが多く、使いやすい管理画面は必須です。

従来のCMSでは、管理画面とサイトのフロントエンドが一体化しており、直感的にコンテンツを編集できるため、非技術者でも更新作業を簡単に行えます。

Jamstackでは、Headless CMSという仕組みを利用することで、従来のCMSに近い操作性を維持しながら、より柔軟でパフォーマンスの高いウェブサイトを構築できます。

Headless CMSは、フロントエンドとバックエンドが分離しており、APIを通じてコンテンツを提供します。これにより、デザインや技術スタックにとらわれず、自由にフロントエンドの開発が可能です。

日本国内で人気のあるHeadless CMSには、「microCMS」や「Newt」などが挙げられます。

これらは、日本語対応のサポートが充実しており、国内企業にとって使いやすい選択肢です。

特にmicroCMSは、シンプルな操作性が特徴で、非技術者でも容易にコンテンツを管理できるため、従来のCMSからの移行もスムーズに行えます。

Newtはお問い合わせフォーム用の機能もあり、コーポレートサイトとしては重要なポイントにもなります。

話題のヘッドレスCMSのNewtとは?WordPressから移行を考えたメリットもご紹介!

今回紹介するヘッドレスCMS「Newt」は、従来型のWordpressとは、構造とコンテンツ管理から違ってきます。

公開までの時間(ビルド時間)

Jamstackのサイト構築では、ページの更新や公開はビルドプロセスを通じて行われます。

従来のCMSでは、データベースと連携してリアルタイムでページが動的に生成されるため、更新が即時に反映されるのが一般的です。

しかし、Jamstackではすべてのコンテンツが事前に静的ファイルとして生成されるため、ビルドの時間が公開までのタイムラグを生み出すことがあります。

このビルド時間は、サイトの規模や更新頻度によって大きく異なります。

大規模なコーポレートサイトでは、全ページをビルドし直すと時間がかかるため、効率的にビルドを行うための「インクリメンタルビルド」が重要になります。

インクリメンタルビルドとは、変更が加えられた部分のみを再ビルドし、他のページはそのまま保持する仕組みです。

この技術を活用することで、ビルド時間が大幅に短縮され、迅速な公開が可能になります。

また、ビルドパイプラインの最適化も重要です。

AWS amplifyやCloudflare、Vercelなどでは、ビルド時間を最適化するための機能が提供されており、これを活用することで更新にかかる時間を最小限に抑えられます。

JavaScriptフレームワークに関して

Jamstackでは、JavaScriptフレームワークが重要な役割を果たします。

フロントエンドで使用されるJavaScriptフレームワークによって、パフォーマンスや開発効率が大きく変わります。

Next.js、Astro、Remixといったフレームワークが代表的ですが、それぞれに特徴があります。

Next.jsは、静的サイト生成(SSG)とサーバーサイドレンダリング(SSR)の両方に対応しており、SEOにも強く、動的コンテンツを扱うコーポレートサイトに向いています。

特にSEOが重要な企業サイトでは、ページごとに動的生成が必要な場合でも、Next.jsを使えば柔軟に対応可能です。

一方、Astroは、軽量かつパフォーマンスに特化したフレームワークで、JavaScriptを最小限に抑えることができるため、表示速度が非常に速いのが特徴です。

シンプルなコーポレートサイトや、パフォーマンスを最優先したい場合に適しています。

また、Remixは、SSRを前提としたフレームワークで、ページ遷移が高速かつ柔軟なレンダリングが可能です。

複雑なユーザーインターフェースやダッシュボード系のサイトに最適です。

Next.jsのレンダリング別用途

モダンフレームワークと呼ばれているNext.jsですが、現在では標準的に採択されることが多くなってきています。

Node.jsのサイクル

Jamstackのビルドやデプロイには、Node.jsがよく使われます。

Node.jsは定期的に新しいバージョンがリリースされ、最新の機能やセキュリティアップデートが提供されます。

企業サイトの運用では、安定したLTS(Long Term Support)バージョンを使用することが推奨されます。

LTSバージョンは、セキュリティアップデートやバグフィックスが長期間サポートされているため、長期的な運用に向いています。

Node.jsのサイクルは非常に活発で、最新技術に対応するためには定期的なバージョンアップが必要です。

しかし、安定した運用が求められる企業サイトでは、最新バージョンではなくLTSバージョンを選び、適切なタイミングでアップデートすることが重要です。

まとめ

Jamstackは、従来のCMS運用と比較して、セキュリティ、パフォーマンス、保守性において優れた選択肢です。

特に、Headless CMSを使用することで、直感的なコンテンツ管理が可能になり、非技術者でも容易に運用できます。

適切な技術を選んで、Jamstackのメリットを最大限に活かし、自社のコーポレートサイトの運用をより効率的で効果的に進めましょう。

株式会社デパートでは、Jamstackサイトの構築、CMS導入など対応可能です。ぜひご相談ください。

Contact

制作のご依頼やサービスに関するお問い合わせ、
まだ案件化していないご相談など、
お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら

関連ブログ