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Jamstack(ジャムスタック)という言葉を聞いたことはありませんか?
株式会社デパートでも多くなってきたWebサイトの構築手法ですが、WordPressなどのよく使われているCMSが比較対象として挙げられます。
どのように違うのかや、WordPressではダメなのか?という疑問を解説してみたいと思います。
Jamstackとは?
Jamstack(ジャムスタック)は、ウェブサイトの構築方法の一つで、JavaScript、API、Markup(マークアップ)の3つの要素に基づいています。 従来のWordPressやMovable Typeのようにサーバー側でページを生成する仕組みとは異なり、事前にページが作られているので高速です。
Jamstackは、サイトをよりスピーディーに、かつ安全に提供できる新しい方法としてすでに多くのWebサイトで活用されています。
Jamstackのメリット
高速になりやすい
Jamstackでは、ページが事前に生成されるため、表示がとても速くなります。サーバーがページを動的に作る必要がないので、アクセスした瞬間にページが表示されます。
WordPressの場合、ページを表示するたびにサーバーがその場でページを生成します。この処理が重くなると、サイトの表示速度が遅くなってしまいます。しかし、Jamstackなら事前にページを作っておくため、この心配はありません。
特に、スマホでのアクセスが多い現代では、表示速度の速さがユーザー体験やSEOにも大きく影響します。高速表示は、ユーザーにとってもストレスのない操作性を提供します。
セキュリティのリスクが少ない
WordPressやMovable Typeでは、管理画面が外部に公開されているため、攻撃されるリスクが高いです。ログイン画面への不正アクセスや、プラグインの脆弱性を狙われることがあります。
それに対して、Jamstackではサーバー上で動的に処理を行わないため、セキュリティのリスクが少なくなります。データはAPI経由でやり取りされるので、攻撃される可能性のある部分を最小限に抑えることが可能です。
フロントエンド技術の柔軟性
Jamstackは「Headless CMS」を使うことが一般的です。この仕組みでは、データを管理する部分と表示部分が完全に分かれています。デザインや機能を自由に変更できるのが特徴です。
例えば、JavaScriptの最新フレームワークを使って、ウェブサイトを新しく作り直すのも簡単です。WordPressのように既存のテーマに縛られることなく、好きな技術を取り入れることができます。
他のシステムとの統合も簡単
APIを使うことで、他のシステムとの連携も容易です。たとえば、スマートフォンアプリとデータを共有したり、別のサービスと統合したりすることも可能です。
ひとつのデータベースをさまざまなシステムで共有できるので、開発や運用の効率が上がります。これにより、業務全体のデジタル化やシステム統合がスムーズに進みます。
Jamstackのシステム構成
Jamstackの導入にあたって、従来のWordPressとどう違うのかを確認してみましょう。
WordPressでは、コンテンツの管理と表示が一つのシステムに集約されています。管理画面で記事を作成し、そのままフロントエンドに表示される仕組みです。
一方、Jamstackではデータの管理部分(バックエンド)と表示部分(フロントエンド)が完全に分離しています。
データはAPIを通してやり取りされ、JavaScriptを使ってそのデータを表示します。この仕組みにより、サーバー負荷が軽減され、表示速度が向上します。
ただし、APIを管理する必要があるため、システム全体の構成が少し複雑になることがあります。また、管理者がWordPressに慣れている場合は、新しい運用方法に適応するための学習が必要になることもあるでしょう。
WordPressとの比較
項目 | WordPress | Jamstack |
---|---|---|
サーバー負荷 | 高い | 低い |
セキュリティ | 攻撃されやすい | 高い |
表示速度 | 通常 | 高速 |
フロントエンドの自由度 | 制限あり | 高い |
API管理 | 必要なし | 必要 |
気を付けるポイント
APIの管理
Jamstackのサイトは、データを扱うためにAPIを使用します。このAPIは外部に公開されることが多いため、セキュリティに十分な配慮が必要です。
APIが適切に設定されていないと、不正なアクセスやデータ漏えいのリスクがあります。例えば、認証を導入してクローズドな環境で運用することや、公開範囲を制限することで、これらのリスクを軽減することができます。
ビルド作業
Jamstackサイトでは、コンテンツを更新した後に「ビルド」というプロセスが必要です。ビルドによって、静的なページが生成され、それがウェブサイトに反映されます。このプロセスには多少の時間がかかることもあります。
MovableTypeをご存知の方は「再構築」をイメージしていただくとわかりやすいと思います。
ただし、この問題を解決する方法として動的に処理を行う「サーバーサイドレンダリング(SSR)」があります。SSRを利用すれば、ページをリアルタイムに生成できるため、動的なコンテンツ更新にも対応可能です。ただし、SSRを導入するにはシステムがやや複雑になるため、必要に応じて選択するのが良いです。
WordPressでもJamstackは可能
現在、WordPressを使っている方でも、Jamstackを導入するためにシステムをすべて変更する必要はありません。
実は、WordPress自体をHeadless化することで、Jamstackの仕組みを活用することが可能です。
WordPressをコンテンツ管理システム(バックエンド)として使用し、そのデータをAPIで取得してフロントエンド(見える部分)を構築します。こうすることで、既存のWordPressの管理画面を維持しつつ、フロントエンドには最新のJavaScriptフレームワークや静的サイト生成ツールを利用できるようになります。
これにより、管理画面の使い勝手を変えることなく、サイトの表示速度やセキュリティを向上させることができ、現在のシステムを活かしながら少しずつ移行する柔軟な方法となります。WordPressユーザーにとっては、全体的な大きなシステム変更を避けつつ、Jamstackのメリットを享受できる理想的な選択肢かもしれません。
用語の補足
APIとは?
API(Application Programming Interface)は、異なるシステムやソフトウェアがデータをやり取りするための仕組みです。たとえば、スマートフォンアプリが天気情報を表示するときに、外部の天気データをAPIを使って取得します。
Headless CMSとは?
Headless CMSとは、従来のCMSと異なり、管理画面(バックエンド)とウェブサイトの表示部分(フロントエンド)が完全に分かれている仕組みです。これにより、デザインや機能を自由に変更できるため、開発の自由度が高まります。
サーバーサイドレンダリング(SSR)とは?
SSRは、サーバーでウェブページをリアルタイムに生成してユーザーに表示する技術です。通常のJamstackは事前にページを生成しますが、SSRでは動的にページが作られるため、リアルタイムな更新が必要な場面で効果的です。
まとめ
Jamstackは、表示速度が速く、セキュリティリスクが少ない新しいウェブサイト構築の方法です。
管理面ではAPIの管理や、公開時のビルド作業が必要ですが、フロントエンド技術の自由度が高く様々な場面で柔軟に活用できます。
従来のCMSだけの公開に比べ、効率的で安全なWebサイト公開ができますので、ぜひ検討してみてください。
株式会社デパートではJamstackサイトの構築が可能です。
HeadlessCMSを使用することも、WordPressを継続して使うこともできますので、そういったご要望も相談いただければと思います。
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