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目次
自社の商品やサービスに興味・関心を持ってもらうには、ユーザーシナリオの作成が重要です。タッチポイントごとに、ユーザーがどのような感情を抱き、具体的な行動を起こしているかを可視化できれば、効果的なマーケティング施策の実行につなげていけます。
この記事では、ユーザーシナリオに関する基本的な捉え方や作成のための手順を解説します。
ユーザーシナリオとは?
ユーザーシナリオを正しく使いこなすには、基本的な意味やどのような要素で構成されているのかを理解しておく必要があります。まずは基本的なポイントを確認しておきましょう。
ユーザーシナリオの定義
ユーザーシナリオとは、ユーザーが自社の商品やサービスを使うことによって、どのような変化を得られるのかを記したストーリーを指します。ユーザーが自社の商品・サービスと接するうえで、どのようなことを感じ、どういった行動を取ってほしいのかを詳しく整理したものだといえます。
ユーザーシナリオを作成することによって、ユーザーの一連の行動を可視化できるようになり、販売促進などの具体的な施策の実行へと結び付けていくことを目的としています。
ユーザーシナリオの構成要素
ユーザーシナリオを作成するときに大事なポイントは、ユーザーが抱えている背景を理解し、共通認識を見出すことです。ユーザーが自社の商品・サービスを利用するときには、必ず背景が存在します。
そして、背景を理解するにはユーザーが抱えている感情や悩みなどを把握しておく必要もあるといえます。ユーザーごとの背景を整理し、タッチポイントとの関係を細かく見ていくためにユーザーシナリオの作成が必要なのです。
また、ユーザーシナリオを作成することで、自社のメンバーや顧客との共通認識を持てるようになります。商品・サービスの提案や改善を行うためには、チーム内で認識を共有することが欠かせません。
ユーザーシナリオを作成すれば、細かな部分まで共通認識を抱けるようになるため、ユーザーが求める形で事業を展開できるでしょう。より効果的なマーケティング施策の実行のために、ユーザーシナリオの作成は重要になるはずです。
ユーザーシナリオの主な構成要素として、ペルソナの設定・スタート・ゴール・プロセスといった4つがあげられます。自社の商品・サービスを使うペルソナを明らかにし、接点となるきっかけや何を得ることが目的なのか、そしてペルソナがゴールにたどり着くまでのプロセスを可視化していきます。
特にプロセスの部分は、ユーザーシナリオのなかでも大きなボリュームを占める部分なので、丁寧に見ていく必要があるでしょう。
ユーザーシナリオを作成するメリット
ユーザーシナリオを作成することで、企業が多くのメリットを得られます。ここでは、主なメリットとして3つの点を紹介します。
ユーザー体験を最後まで可視化できる
ユーザーシナリオを作成するメリットとして、ユーザー体験を最後まで可視化できるという点があげられます。プロダクトの利用から、ゴールに達するまでの流れを明らかにできるので、ユーザー体験全体のポイントになる部分や課題点などを発見しやすくなります。
ユーザーの潜在ニーズを把握できる
ユーザーの感情や行動をプロセスごとに区切って考察できるため、これまで気づかなかった潜在的なニーズを把握することにもつながるでしょう。ユーザーに対する理解を深められるため、より効果的なアプローチ方法を見つけやすくなるはずです。
必要な改善点を知ることができる
ユーザーシナリオを作成すれば、ユーザーが抱える商品に対する不満や求める機能などを具体的に把握できます。プロダクトに必要な改善点を知ることにつながるので、商品開発やサービスの改善にうまく結び付けていけるでしょう。
また、ユーザーが本来求めている欲求を把握することで、優先して解決すべき課題の整理につなげられるはずです。
類似語との違い
ユーザーシナリオと似たような言葉は多いので、それぞれの違いを正しく把握しておきましょう。3つの類似語との違いを解説します。
ユースケース
ユースケースとは、ユーザーがシステムを利用した際に実行した操作や応答などを可視化したものをいいます。ユーザーシナリオがユーザーの行動全体を見るものであるのに対して、ユースケースはユーザーとシステムとのやりとりだけに焦点を置いているという違いがあります。
カスタマージャーニーマップ
カスタマージャーニーマップとは、ユーザーが商品・サービスを認知してから購入に至るまでの一連のプロセスを可視化したものを指します。特定のゴールに向かって、ユーザーがどのような経過をたどるのかを示したものとしては、ユーザーシナリオと大きな違いはありません。
ただし、ユーザーシナリオはテキスト中心で作成されることが多く、カスタマージャーニーマップは図表などを用いて作成されるパターンが多いです。用途によってうまく使い分けてみると良いでしょう。
ユーザーストーリー
ユーザーストーリーとは、ユーザーの視点に立って商品の機能などを説明するテキストのことを指します。具体的には「〇〇という立場なら、△△を実行することで、最終的に□□を達成したい」いった形で、ユーザーが何をしたいのかを表現します。
ユーザーシナリオも、ユーザーの視点に立つという点ではユーザーストーリーと共通した部分はあります。しかし、ユーザーシナリオがユーザーの状況に応じたプロダクトの細かな改善点を見出すのに用いるものであるのに対して、ユーザーストーリーはあくまで機能の必要性を定義するために用いるという違いがあるのです。
ユーザーシナリオの作成手順
ユーザーシナリオの基本的な意味と、類似語との違いを押さえたら、実際に作成してみましょう。具体的な作成手順について解説します。
事前準備
ユーザーシナリオを作成するには、まずペルソナを具体的に設定します。ペルソナとは、自社の商品やサービスを利用するターゲット像を明らかにしたものであり、年齢・住んでいる地域・職業・年収・趣味・ライフスタイル・家族構成などを細かく設定して決めていきます。
ペルソナを設定したら、次にペルソナが現在どのような状況にいて、これからどのような目的を達成するために自社の商品・サービスを利用するのかを設定します。ユーザーのスタート地点とゴールを明らかにすることで、ユーザーシナリオの骨格を定めてみましょう。
行動プロセスを書き出す
ユーザーのスタートとゴールを設定したら、その間にあるプロセスを丁寧に書き込んでいきます。ユーザーの行動プロセス(情報収集する・他社との比較検討を行う・予約するなど)を思いつくかぎり列挙してみましょう。
詳細アクションを書き出す
次に、ユーザーの行動プロセスごとに、どのようなアクションを取るかを洗い出していきます。例えば、ユーザーがお店を予約するまでのプロセスをより具体的に掘り下げていくと、以下のようなアクションに分類できるでしょう。
ユーザーの詳細アクションの分類
・お店の条件を絞り込む:エリアを絞る、ジャンルを絞る ・条件に合ったお店を比較検討する:予算やサービス内容で比較する、気になるお店をお気に入り登録する、気になったお店同士を比較する、口コミを調べる、予約したいお店を絞り込む ・気になるお店を予約する:自分のスケジュールを確認する、お店の予約状況を確認する |
ユーザーが考えていることの洗い出し
詳細アクションを把握したら、次にユーザーが一つひとつのアクションごとに、何を考えて求めているのかを明らかにしていきます。例えば、お店をエリアで絞り込もうとするアクションを取るときには、「自宅の近くにお店が少ない」「通勤経路でもお店を検索したいのに、路線検索ができなくて不便」「エリアをもう少し細かく絞れたらいいのに」といった欲求を抱えていることが想定されます。
ユーザーの視点に立って、どのような点に満足・不満を感じやすいかを把握してみましょう。
改善点を検討する
ユーザーの欲求を把握したら、改善できそうな点を洗い出します。大事なポイントは、すべての不満を解消しようとするのではなく、実現可能性と費用対効果の観点から分類していくことです。
改善点を洗い出したら優先順位をつけて、取り組みやすいものから改善していきます。ユーザーシナリオを作成する目的は、どのように改善していくべきかの指針を得て、具体的な施策に結び付けていくことにある点を理解しておきましょう。
まとめ
ユーザーシナリオを作成することで、企業はユーザーの感情や行動を把握しながら、様々なアプローチを行っていけます。自社の商品・サービスを利用するまでの顧客行動を明らかにすることで、既存顧客だけでなく新規顧客へのアプローチも精度を高められるはずです。
顧客が抱える悩みや感情は常に変化しているので、ユーザーシナリオを作成したら、きちんと効果測定を行い、必要な改善を盛り込んでいくことが大切です。
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