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話題のヘッドレスコマースについて解説|メリットやデメリットもご紹介
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スマホやタブレット端末の普及や、新型コロナウイルス感染症による危機的状況により、爆発的にインターネット市場が拡大しました。
そんななかで、ECサイトにおける新しいサイト構造として「ヘッドレスコマース」が注目されています。
ヘッドレスコマースとは、ECサイトの内部構造をフロントエンドとバックエンドに分離したものを指す言葉です。
ヘッドレスコマースを導入することで、バックエンドの影響をほとんど考えずに、自由度の高いフロント開発ができるといったメリットがあります。
しかし、あらゆる企業にヘッドレスコマースが適しているとは言えません。
導入へのハードルやデメリットも存在するため、ヘッドレスコマースが自社に価値を与えるものかどうか、あらかじめ見定めておく必要があります。
本記事では、「ヘッドレスコマースとは」という基本的内容から、「従来のECとヘッドレスコマースの違いとは」「ヘッドレスコマースを用いるメリットおよびデメリット」、「ヘッドレスコマースと相性のよいビジネス」を解説します。
最後まで読み、自社のECにヘッドレスコマースを用いるべきかどうか、検討の材料にしてください。
ヘッドレスコマースとは?
ヘッドレスコマースのヘッドというワードは、ECサイトにおける「フロントエンド」部分を指しています。
ヘッドレスコマースで制作されたECサイトは、フロントエンドとバックエンドが切り離されており、独立した構造として存在します。
お客様との接点であるUI部分がバックエンドに干渉しない構成のため、ECサイトを訪問した顧客のニーズに沿ったフロントエンドの構築が可能です。
ECサイトをヘッドレスコマースで構築すると、フロントエンドの開発の自由度が飛躍的に高まり、ECサイトの表示スピードを上げることにも繋がるため、顧客のストレスを最小限に抑えることにもなります。
その反面で、ヘッドレスコマースのシステム構築には専門的な知識がどうしても必要で、ヘッドレスコマース自体がまだ十分に普及しておらず課題もあります。
しかし、顧客への快適なUI/UX体験を提供するための有効な方法の一つであるのも事実です。
従来のECとヘッドレスコマースの違いとは
従来のECとヘッドレスコマースの明確な違いは一体どこにあるのでしょうか。
違いを理解することで、ヘッドレスコマースを用いるメリットをしっかりと把握することが可能となります。
従来のECサイトは、フロントエンドとバックエンドの構造が一体化した一枚岩のようなプラットフォームがほとんどです。Webの構築に必要な専門的な知識がなくても、比較的スムーズにECサイトを構築できるようにテンプレート化されているため、企業や個人が気軽に使うことができるものです。
今までのECサイトプラットフォームでは、フロント部分のシステム部分やデザイン周りの変更や拡張をおこなうと、バックエンドにも少なからず影響を与えてしまいます。
言い換えれば、フロント部分のシステム開発をするためには、バックエンド側の影響も考えなければなりません。
一方、ヘッドレスコマースはフロントエンドとバックエンドのシステムがそれぞれ独立しているため、システムやデザインを改修するためのコスト制限がありません。バックエンドの改修をした際も、フロント側に影響が与えられることはほとんどありません。
ヘッドレスコマースの構造は、ECサイトを訪れた顧客が商品を「欲しい」と思ったときにすぐ購入できるシステム構築が可能となり、UI/UXの向上やCVRの上昇も見込めます。
ヘッドレスコマースを用いるメリット
ヘッドレスコマースの特徴は、バックエンド側にほとんど影響することなく、フロントエンドを必要に応じて柔軟に変更および拡張できるところにあります。
ここからは、ヘッドレスコマースの具体的なメリットを一つずつ紹介していきます。
色んなデバイスに対応させやすい
ヘッドレスコマースの特徴である、「デザイン変更しやすい」という部分は、多種多様なデバイスにおいて最適なデザインに調整しやすいということになります。
今では、ECサイトへのアクセス手段はパソコンだけではなく、スマホやタブレットも当たり前のものとなりました。それに加えて、スマートスピーカーやVRデバイスでの購入なども可能です。
PCからの閲覧に適したデザインにこだわっているだけでは、スマホやタブレットからの顧客が利用しづらく、購入を促すことができません。
ヘッドレスコマースは、マルチデバイスに柔軟に対応でき、最適なデザイン構築を実現できます。
修正が比較的簡単におこなえるヘッドレスコマースなら、あらゆるデバイスに対応したページの作成が可能です。スマートフォンやタブレットごとのレイアウトを微調整するといった対応も、簡単におこなえます。
UIのデザイン変更がおこないやすい
従来のECの場合だと、UIの変更をする際にバックエンド側への影響を気にして進めなければなりません。しかしヘッドレスコマースであれば、フロントエンドとバックエンドが独立しているため、自由度の高い変更が柔軟におこなえます。
利用しているECサイトプラットフォームサービスによりますが、自社でフロント側を自由にカスタマイズできないものも存在します。
フロントの変更に対応しているEC構築サービスの場合、システム管理会社に別途支払いをおこない、作業してもらうことが必要です。
ヘッドレスコマースを採用し構築していれば、バックエンドへの影響をほとんど考えることなくフロント部分の修正が可能です。そのため、顧客ニーズに沿ったスピーディーなデザイン変更などもおこなえるようになります。
タッチポイントを増やせる
ヘッドレスコマースを採用している場合、特化型サイトやメディア型のECサイトなどの制作が簡単におこなえます。それにより、多くのタッチポイントを増やすことが可能となります。
ヘッドレスコマースがバックエンドとフロントエンドが分離されていることと、バックエンドのシステム
が1つであるため、そのバックエンドのシステムとフロントエンドのシステム連携をおこなえば簡単に構築可能となっているのです。
より効率的に開発がおこなえる
ヘッドレスコマースでは、フロントエンドの作業がバックエンドの作業に影響することがほとんどありません。そのため、フロントエンドとバックエンドの構築作業が同時におこなえます。
したがって、制作を主におこなうエンジニアの作業効率が高まり、効率的に開発がおこなえるようになります。
ヘッドレスコマースを用いることで生じるデメリット
ヘッドレスコマースを導入するメリットは多く挙げられますが、もちろんデメリットも存在します。
従来のEC開発よりも専門的な知識が必要
ヘッドレスコマースによる開発をおこなう場合、新しいシステム構成の方法を理解しなければなりません。
あくまでも、ヘッドレスコマースの採用は目的達成の手段です。目的を達成するためにヘッドレスコマースの採用が最適なのかどうかを判断したうえで、開発をおこなわなければなりません。
開発コストが多くかかる
ヘッドレスコマースは従来の一体型ECサイトと異なり、フロントエンドとバックエンドのシステム構築をそれぞれで進めなければなりません。そのため、初期開発の費用が高くなる場合があります。
具体的な例だと、フロント側でもサーバーを設けないといけないため、費用・管理コストが増えてしまいます。
自社のECサイトにヘッドレスコマースを採用すべきかどうか、開発の際に発生するコストを踏まえたうえで判断しましょう。
バックエンド部分のみSaasで提供している企業もあるので、その活用などでコスト削減の可能性もあるので、併せて検討してみることが必要です。
作業工数が増加してしまう
既に、従来の一体型でECサイトを構築している場合、ヘッドレスコマースへの再構築にかなりの作業工数が必要となってしまいます。
ヘッドレスコマースと相性のよいビジネス
ヘッドレスコマースは、UI/UXを顧客ニーズに沿って徹底的に作り込み、商品購入を促すようなビジネスと相性がよいです。具体的な例として、いくつかのブランドを展開するアパレル業界などが挙げられます。
商品購入後のバックオフィス業務は共通化することが可能。そのうえで、いくつものブランドごとに違うWebサイトの見せ方や商品の売り方を容易に変更することができます。
ブランドごとにフロントエンド側を徹底的に作り込み、ECサイトとして最大限の効果を生み出すやり方にヘッドレスコマースは向いています。
その他に、ブランドをいくつか持つコスメ業界や、ネット販売に力を入れている飲食業なども相性がよいとされています。
ヘッドレスコマースまとめ
ヘッドレスコマースとは、ECサイトを構築するための方法の一つです。ただ単純にヘッドレスコマースを採用し、導入しただけでは顧客満足度の向上・商品購入には繋がりません。
ECサイトを構築する際、ヘッドレスコマースを採用することで、自社のどんな悩みを解消したいのか・目的を達成したいのかを明確にすることが肝心です。