サイトが重い・・・そんな時に検討したいサーバー移管について

2025.09.26
目次

デパートエンジニアの神里です。

突然ですが「サイトの表示速度が遅い」「アクセス数が増えてサーバーが重くなった」「もっと安定したサービスを使いたい」そんなお悩みをお持ちではありませんか?

Webサイトの表示速度は、ユーザー体験だけでなくSEOにも大きく影響する重要な要素です。しかし、サーバー移管は「失敗したらサイトが見られなくなるのでは?」「手続きが複雑そう」といった不安から、なかなか踏み切れない企業様も多いのではないでしょうか。

弊社でもサーバー移管のご相談を受けることがあり、要件に合わせて誰が何をどこまでやるのか、時間をかけて相談し、計画立てていくことで事故の起こらないサーバー移管を実現しています。

本記事では失敗しないサーバー移管のポイントを、弊社でよくあるサーバー移管のパターンを例にご紹介します。

サーバー移管のチェックポイント

どんな時にするの?

  • 運営しているサイトの表示スピードを改善したい時

  • サーバースペックを上げたいとき

  • レンタルサーバーの場合、セキュリティ面やサービス部分でより良いサービスに変えたいとき

  • コスト削減のため

  • サーバーの老朽化対応のため

などです。

サーバーの種類、選定方法について

Webサイトの用途や規模に応じて、最適なサーバーは異なります。過去に弊社でまとめたブログ記事でも解説していますが、ここでは代表的なサーバーの種類とその特徴、選定時の主なポイントを改めてご紹介します。

1. レンタル(共用)サーバー

1台の物理サーバーを複数のユーザーで共有する、一般的な形式です。

  • メリット: 低コストで利用でき、サーバー管理の専門知識が不要です。

  • デメリット: 他のユーザーの利用状況に性能が左右されることがあり、カスタマイズの自由度は低いです。

2. VPS (Virtual Private Server)

1台の物理サーバー上に、各ユーザー専用の仮想的なサーバー環境を構築する形式です。

  • メリット: 共用サーバーに比べて性能が安定しており、管理者権限があるためカスタマイズの自由度も高いです。

  • デメリット: サーバーの初期設定や運用には、ある程度の専門知識が必要になります。

3. 専用サーバー

1台の物理サーバーを1ユーザーが独占して利用する形式です。

  • メリット: サーバーリソースを全て利用できるため性能が非常に高く、自由度も最大です。

  • デメリット: 費用が非常に高額で、構築から運用まで高度な専門知識が求められます。

4. クラウドサーバー

ネットワーク上にある仮想サーバーを利用する形式で、リソースを柔軟に変更できるのが特徴です。

  • メリット: アクセス数の増減に応じて、CPUやメモリなどを柔軟に拡張・縮小できます(スケーラビリティが高い)。

  • デメリット: 従量課金制の場合、利用状況によってコストが変動し、予算が立てにくいことがあります。

サーバー選定の主なポイント

サーバーを選ぶ際は、以下の要素を総合的に検討することが重要です。

  • サイトの規模とアクセス数 コーポレートサイト、ECサイト、メディアサイトなど、サイトの種類や将来のアクセス数予測に適した処理能力があるか。

  • 必要な機能とカスタマイズ性 特定のソフトウェアのインストールなど、サーバー環境のカスタマイズが必要か。

  • 予算 サーバーの初期費用と月々の運用コストは予算内に収まるか。

  • 運用体制 社内にサーバーを管理・運用できる専門知識を持った担当者がいるか。

これらのポイントを整理し、自社の要件に最も合うサーバーを選択することが、サイトの安定稼働に繋がります。もし判断が難しい場合は、Web制作会社など専門家へ相談してみるとよいでしょう。

弊社では過去にサーバーの種類や選定方法についてブログ記事をまとめています。

こちらの内容を参考に検討してみてもよいですし、難しいことがわからないければぜひご相談いただければと思います。

サーバー移管の際混同されやすい、DNSの変更、ネームサーバーの変更、ドメイン移管について

サーバー移管ではドメインの向き先を新しいサーバーに変えてあげることが必要になってきます。

その際、混同されやすい三つを紹介します。

DNSの変更(Aレコードの変更)

  • サーバーを移管する際、ドメインの向き先を変更するだけであれば基本的にはAレコードの変更だけでOKです。

ネームサーバーの変更

  • ドメインを管理しているネームサーバーを変更することを言います。旧ネームサーバーの情報は引き継がれないので、Aレコード、MXレコードなどは新しく設定し直す必要があります。メールを移管先のサーバーで利用したい場合などはネームサーバーの変更が必要になります。

ドメイン移管

  • ドメインを購入したレジストラを変更することを言います。レジストラを変更するとドメイン利用料の支払い先も変更されます。新しく利用予定のレンタルサーバーにドメインを移管することで一括管理ができるなどのメリットはありますが、移管手数料がかかったり設定や手続きのミスでメールが使えなくなったりwebサイトが見られなくなってしまう懸念があります。

基本的には一番最初のDNSの変更を実施することが多いです。

サーバー移管時に気にするべきこと

ドメインについて

  • ドメインも変更する場合、旧ドメインからのリダイレクトなどを考える必要があります。

  • ドメインは変えずにWebサーバーだけを変更する場合、ドメインが接続しているネームサーバー側でAレコードの変更が必要になってくるので、どこのネームサーバーを利用しているかの情報は前もって確認しておくようにしましょう。

  • ネームサーバーを変更する場合、旧ネームサーバーの設定(Aレコード、MXレコード、CNAMEレコードなど)を事前にすべて洗い出し、新ネームサーバーに設定し直す必要があります。サブドメインやメールにも影響してくるため注意が必要です。また、無料SSLの場合事前の設定ができないことが多いため、少しでも本番化直後のダウンタイムを短くしたい場合は有料SSLの導入も検討しましょう。

メールについて

  • 移管元のレンタルサーバーで利用しているメールがある場合、メールサーバーの移管も合わせて検討する必要があります。

  • メール移管中の一時的なメール受信停止期間についても事前に関係者に周知が必要です。

データベースについて

  • MySQLなどのデータベースを使用している場合、データベースのバックアップと移行作業が必要です。

  • データベースのバージョン差異による互換性問題に注意が必要です。

関係者へメンテナンス期間の周知

  • リニューアル、移管に関わっているメンバー内だけではなく、自社の社員にも移管スケジュールの共有しておくことが望ましいです。

  • サーバー移管時にSSLの設定が事前にできない、hostsを書き換えての事前確認ができていない場合、DNSを切り替えることで表示の崩れなどが懸念されるので、状況に応じてあらかじめメンテナンス画面を表示させておくようにします。

サーバー移管の手順について

弊社でサーバー移管を対応する際、サイトリニューアルを合わせて行うことが多いため、サイトリニューアルを合わせた手順について説明します。

大まかな流れは以下の通りです。

  1. 新しいサーバーの契約、設定

  2. 新しいサーバーでリニューアル後のサイトを構築

  3. リニューアル時に削除するページの洗い出し

  4. SSLの設定

  5. Aレコード変更時のTTLを短縮

  6. 削除されたページのリダイレクト設定

  7. 本番化(サーバー移管)でAレコード変更、Basic認証の解除

  8. テスト環境の整備

  9. 旧サーバーの保持期間設定

上記の流れを細かく説明していきます。

1. 新しいサーバーの契約、設定

  • サーバースペックの確認

  • VPSやクラウドサーバーの場合、必要なソフトウェア・ライブラリのインストール

2. 新しいサーバーでリニューアル後のサイトを構築

  • サイト公開までは仮のドメインを当てるか、ドメインを当てずにIPアドレスのままでベーシック認証をかけてサイト構築を進めます。

  • 本番化時にドメインが切り替わることで見られなくなるコンテンツがないか事前に確認するためにhostsファイルを編集して表示確認を行います。

3. リニューアル時に削除するページの洗い出し

  • リニューアルして無くなるページがある場合、何も知らないユーザーが削除されたページにアクセスしてしまうと404エラーが表示されてしまい良くない印象を与えてしまいます。そのため、事前にリダイレクトの設定を行い、リニューアルを知らないユーザーが削除されたページにアクセスしても問題なく表示されるページにリダイレクトさせる必要があります。削除予定のページは事前に一覧化しておくとスムーズです。本番化時にそのリストを元にリダイレクト先を設定します。

4. SSLの設定

  • 移管先のサーバーで別途SSLの設定を行う必要があります。無料のSSLだとサーバー移管前にSSL設定を行うことができない場合があるため、有料SSLも検討しながら設定を行なっていきます。

5. Aレコード変更時のTTLを短縮

  • TTLとはDNSレコードがキャッシュに保存される時間を秒単位で表したものです。 この時間が長いとDNSを切り替えてもサイトの表示が切り替わるのに時間がかかってしまいます。逆に短くしすぎるとDNSサーバーへの負荷が高くなってしまいます。 DNSを切り替えた際にスムーズに切り替え、確認を行いたい場合がほとんどだと思うので、本番化の前にTTLを短く設定しておき(推奨:300秒〜600秒)、本番化(DNS切り替え)を行なった後に元に戻すようにします。

6. 削除されたページのリダイレクト設定

  • 切り替えを確認したら削除されたページのリダイレクト設定を行います

7. 本番化(サーバー移管)でAレコード変更、Basic認証の解除

  • Aレコードを変更することで、リニューアル後のサーバーを見られるようにします。合わせてBasic認証を解除しておきます

  • TTLを短く設定した場合でも、マシン(OS)自体がDNSキャッシュを持っていたり、古いDNSキャッシュが保持されていることもあるため、30分〜1時間で切り替わることもあれば2時間以上かかってしまう場合もあります。

  • Aレコードの変更ではなくネームサーバーを切り替えた場合は最大48時間〜72時間かかる場合もあるため、本番化にかかる時間をあらかじめ把握しておきましょう。

  • DNSが切り替わったらサイト全体の表示確認、SSLが問題なく設定できているかを確認します。

8. テスト環境の整備

  • 今後サイトを更新、運営していくために、新しいサーバー内でテスト環境を作成しておきましょう。

  • レンタルサーバーの場合同サーバー内で別なディレクトリを切ってサブドメインを当ててテスト環境とすることが多いです。

9. 旧サーバーの保持期間設定

  • 完全に移管が完了し、問題がないことを確認してから旧サーバーを停止します

  • 旧サーバーのファイルは念の為バックアップを取得しておきましょう。古い状態のサイトを確認できるようにしておきたい場合は、旧サーバーを残しておくか、新しいサーバーに別途リニューアル前のサイトが見られるように設定を行います。

まとめ

サーバー移管は慎重な作業が必要ですが、適切な手順を踏むことでリスクを最小限に抑えながら、サイトのパフォーマンス向上を実現できます。

株式会社デパートでは、レンタルサーバーからAWSなどのクラウドサーバーまで、パートナー会社と連携をとることで最適なプランを提案可能です。サーバー移管やサイトのパフォーマンス改善についてお悩みがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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