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目次
- Webサイトの表現力を支える「基盤設計」という選択
- インフラ選定の基準:何を優先するか
- 各インフラの特性と向いているケース
- Xserver(レンタルサーバー):手軽さと安定感を重視する場合に
- CloudFlare(クラウドサーバー):軽量で速く、安全な配信をしたいときに
- AWS(大規模クラウドサーバー):複雑な要件や将来の拡張に備えるときに
- インフラが与えるUI/UX・ウェブアクセシビリティへの影響
- 表示速度がもたらす印象の差
- UIの応答性とインフラの関係
- ウェブアクセシビリティへの配慮と更新性
- “見えない差”が体験の質を分ける
- セキュリティ設計における差異と推奨設定
- 基本的なセキュリティ機能の違い
- 小さなサイトでも狙われる時代
- 管理体制に合った構成を選ぶ
- 安全性は、見えないけれど信頼を支える
- プロジェクト別に見る導入例
- 1|コーポレートサイト(静的/更新頻度は低め)
- 2|採用サイト(静的/多言語あり/更新頻度中)
- 3|オウンドメディア(WordPress/可用性・保守性重視)
- 4|ブランドサイト(既存WPを再構築)
- よくある疑問とその回答
- Q1:CloudFlareやAWSは難しそうで不安です。ちゃんと使いこなせますか?
- Q2:途中でサーバーを変更するのは大変ですか?
- Q3:セキュリティ対策は、どこまでしておけば安心ですか?
- Q4:コスト面が気になります。高機能な構成は高額になりますか?
- Q5:どれを選べば正解なのか分からないのですが…
- まとめ:インフラは“見えない設計”の重要な一部
Webサイトの表現力を支える「基盤設計」という選択
Webサイトを制作する際、見た目や使いやすさには注目が集まりますが、「どのサーバーを使うか」は後回しにされがちです。
しかし、その選択が表示速度や更新のしやすさ、セキュリティ対策にも直結します。
デザイン・UI/UX・アクセシビリティだけでなく、高速化・更新性・保守性・セキュリティを支える“土台”としてのインフラ選定も重要な要素です。
株式会社デパートでは、要件や運用体制に応じて、主に次の3つのインフラを使い分けています。
Xserver(レンタルサーバー):コスト重視、小〜中規模サイト向け
CloudFlare(クラウドサーバー):静的配信と高速表示に適した構成
AWS(大規模クラウドサーバー):柔軟性と拡張性が求められる中〜大規模案件向け
いずれにも特性があり、目的や体制に応じた適切な選定が求められます。
本記事では、それぞれの特徴と活用シーンを制作現場の視点から整理し、要件に応じたインフラ設計の考え方をご紹介します。
インフラ選定の基準:何を優先するか
Webサイトのインフラを選ぶ際、注目すべきなのは「規模」や「予算」だけではありません。
誰が更新・保守を行うのか、どれほどの表示速度が求められるのか、どのような技術で実装するのか。
こうした観点を整理したうえで、最適な構成を検討する必要があります。
以下は、私たちがインフラを選定する際に重視している主な判断軸です。
優先事項 | 想定される要件 | 適した構成例 |
---|---|---|
運用の手軽さ | コスト重視、更新頻度は低め、制作会社に依頼が中心 | Xserver(レンタルサーバー) |
配信速度と軽量性 | 静的サイト、高速表示、Gitベースでの自動更新を行いたい | CloudFlare(クラウドサーバー) |
構成の柔軟性 | API連携や多言語対応、会員制機能などが含まれる | AWS(大規模クラウドサーバー) |
たとえば、「小規模なコーポレートサイトで更新は年に数回」といった場合には、Xserverが適しています。
一方で「静的なページを頻繁に更新し、表示速度を最大化したい」なら、CloudFlareが効果的です。
複数のサービスと連携しながら高度なカスタマイズが必要な場合には、AWSを前提とした構成が必要になります。
ここで強調したいのは、どの構成でもモダンな技術は活用できるという点です。
ReactやAstro、Headless CMSといった技術はいずれの環境でも選択可能です。
違いは「どこで処理を分担させるか」「保守をどこまで自社で担えるか」といった設計と体制の問題です。

Webサイトを公開するためには、レンタルサーバーの選択が欠かせません。しかし、多数の事業者から「おすすめ」と謳われているため、一体どのレンタルサーバーを選べば良いのか分かりにくい状況です。

Webサイト・ホームページの保守運用とは、公開後に継続的に行う管理やサービスを指します。これには、サーバーやドメインの管理、セキュリティの確保、CMSのアップデート、コンテンツの更新などが含まれます。保守運用は、Webサイトの機能性や安全性を維持するために非常に重要です。
各インフラの特性と向いているケース
ここでは、実際によく使われる3つのインフラについて、特徴や向いているケースを整理します。
どれが“優れている”という話ではなく、それぞれに強みと適性があり、目的や体制によって選ぶポイントは変わってきます。
Xserver(レンタルサーバー):手軽さと安定感を重視する場合に
Xserverは、もっとも身近な選択肢のひとつです。
国内の商用利用実績が豊富で、WordPressなどのCMSを前提としたサイトに適しています。
メリット
初期費用・運用コストが低い
管理画面が使いやすく、セットアップも簡単
サポート体制が整っている
向いているサイト
コーポレートサイトなど、更新頻度が高くないもの
運用を制作会社に任せるケース
CMS中心の構成で、動的機能が少ないもの
留意点
フロントエンドの自由度や高速表示において制約がある
静的な出力やキャッシュ制御の自由度は限られる
CloudFlare(クラウドサーバー):軽量で速く、安全な配信をしたいときに
CloudFlareは、静的なサイトやJamstack構成と非常に相性が良いサービスです。
GitHubなどのソース管理と連携し、自動で高速なグローバル配信が可能になります。
メリット
世界規模のCDNが標準で使える
Git連携による自動公開・更新が可能
WAFやDDoS対策などのセキュリティ機能が無料で利用可能
向いているサイト
ページ数が多く、更新頻度の高い静的コンテンツ
フロントエンドを重視したモダンな設計
表示速度を重視するブランディングサイトやLP
留意点
WordPressのような動的CMSには適さない
サーバー側で処理が必要なケースには追加設計が必要
AWS(大規模クラウドサーバー):複雑な要件や将来の拡張に備えるときに
AWSは、柔軟性と拡張性に優れたクラウドサービスです。
初期設定に一定の知識は必要ですが、複雑な要件や長期運用を前提としたサイトに適しています。
メリット
サーバー構成を自由に設計できる
高トラフィックや多言語など複雑な条件にも対応
構成の中にログインやAPI連携などを組み込める
向いているサイト
大規模なコンテンツを扱うメディア・ECサイト
管理画面や会員機能を備えたWebアプリケーション
複数チームでの分担や長期的な保守が求められるプロジェクト
留意点
運用・保守の体制が必要
初期構築時にアーキテクチャ設計が求められる
このように、それぞれのインフラには特性があります。
制作現場では、プロジェクトの要件や運用体制に応じて、最適な選択肢を慎重に見極めています。
インフラが与えるUI/UX・ウェブアクセシビリティへの影響
インフラは見えない領域ですが、ユーザー体験の質を支える重要な要素です。
どのような構成を採用するかによって、表示速度やインタラクションの快適さ、さらにはアクセシビリティの実現性にも影響が生じます。
表示速度がもたらす印象の差
Webサイトの第一印象は、読み込み速度によって大きく左右されます。
特にスマートフォンなどのモバイル環境では、1〜2秒の差が離脱率に直結するとも言われています。
CloudFlareのような静的配信を前提としたインフラでは、CDNによる高速表示が可能です。
一方、Xserverなどの共有サーバー環境では、アクセス集中時にパフォーマンスが不安定になることもあります。
UIの応答性とインフラの関係
ReactやAstroなどのフロントエンド技術を使ったインタラクティブなUIでは、通信のレスポンス速度が体験の滑らかさに直結します。
バックエンドとのやりとりが多い構成では、APIの配置場所やサーバーの応答性能がUI全体の印象に影響を与えます。
AWSのようにバックエンドを細かく設計できる環境では、こうした要件に柔軟に対応できます。
CloudFlare Workersのようにエッジ側で一部の処理を担う構成も、体験を滑らかに保つ方法の一つです。

UI(ユーザーインターフェース)に対する注目は常に変動しています。通常、UIは技術の進化やデザインの新しい流れに合わせて変わり、特定の時点での注目はさまざまな要因によって影響されます。今回は、UIとは何かから始めて、UI設計およびUIデザインの基本原則について、解説します。
ウェブアクセシビリティへの配慮と更新性
アクセシビリティに配慮したサイト設計では、コンテンツの構造や状態管理の精度が問われます。
更新性が高い構成であれば、改善サイクルも短くなり、アクセシビリティ要件への対応も柔軟になります。
GitHub連携などで構成されるCloudFlareやAWSでは、修正→ビルド→公開までが自動化されており、
内容や構造をアップデートしやすい環境が整っています。これは長期運用のうえで非常に有利な要素です。

2024年4月より改正された「障害者差別解消法」により、日本でもウェブアクセシビリティの対応が加速してきております。デパートでは、単に法令対応だけでなく、貴社サイトにおける最適な形で、誰もが使いやすいウェブサイトの実現を目指します。
“見えない差”が体験の質を分ける
最終的にユーザーが触れるのは画面ですが、その裏側にある構成の違いが、目に見える差や使いやすさにつながっていくのです。
デザインや実装の工夫を活かしきるためにも、インフラ選定は重要な前提として押さえておくべき領域といえるでしょう。
セキュリティ設計における差異と推奨設定
Webサイトの信頼性を保つうえで、セキュリティは欠かせない要素です。
個人情報の取り扱いや改ざんリスクなどが話題になる中、小規模なサイトでも備えは必要です。
基本的なセキュリティ機能の違い
項目 | Xserver(レンタル) | CloudFlare(クラウド) | AWS(大規模クラウド) |
---|---|---|---|
SSL対応 | 自動/無料対応あり | 常時SSL、自動で有効化 | 柔軟に構成可能 |
WAF | 有償オプション | 標準搭載 | 必要に応じて個別に設計 |
DDoS対策 | 限定的 | グローバルCDNで自動防御 | Shield/WAFなどと組み合わせ |
Bot対策 | CMS依存 | Bot管理機能あり | Lambda等と連携して制御可能 |
小さなサイトでも狙われる時代
「アクセスが少ないから大丈夫」
そう思われがちですが、攻撃の多くは自動化された脆弱性スキャンによって行われます。
その点、CloudFlareは無料プランでもWAFやBot制御が含まれており、初期構築の段階で一定レベルの防御が可能です。
小〜中規模サイトの“入口対策”として非常に有効です。
管理体制に合った構成を選ぶ
高度なセキュリティ対策は、知識と体制があってこそ活かされます。
AWSは柔軟に設計できますが、運用体制が整っていないと逆にリスクが増すこともあります。
一方、Xserverは標準設定でも一定の安心感があり、制作会社側でセットアップしやすいのが利点です。
安全性は、見えないけれど信頼を支える
SSL対応や安定した表示環境は、ユーザーが直接意識することは少ないかもしれません。
それでも、「問題が起きない」ことそのものが信頼につながる要素であることを、私たちは制作の現場で強く感じています。
プロジェクト別に見る導入例
ここでは、実際のWebサイト制作において、どのような条件でどのインフラを選んだかを簡潔にご紹介します。
要件や運用体制の違いが、インフラ選定にどう影響するかをイメージしていただければと思います。
1|コーポレートサイト(静的/更新頻度は低め)
採用構成:Xserver(レンタルサーバー) + WordPress
更新は年に数回。公開後の運用はクライアントが行う想定。
CMSを使ってニュース更新や実績追加ができれば十分。
カスタム投稿やテーマ設計でUIには配慮しつつも、実装負荷は抑えたい。 → 管理画面で設定可能な範囲で対応。
2|採用サイト(静的/多言語あり/更新頻度中)
採用構成:CloudFlare(クラウドサーバー) + Astro + GitHub + microCMS
静的化+高速配信が求められる。
管理はクライアント側で対応。内容はHeadless CMSで管理。
表示速度、アクセシビリティ配慮、構造の最適化が求められた。 → Astroによる静的出力と高速CDN配信で構成。自動デプロイ環境を整備。
3|オウンドメディア(WordPress/可用性・保守性重視)
採用構成:AWS(大規模クラウドサーバー) + ALB + EC2(複数台)+ RDS + S3 + CloudFront
月間PVが多く、流入の安定性とバックアップ体制が求められる。
記事更新は非エンジニアが行い、保守と運用を分担。
管理画面やDBの分離、配信の最適化が必要。 → WordPressをマルチAZで冗長化。メディアはS3に、配信はCloudFront経由で。DBはRDSで運用。
4|ブランドサイト(既存WPを再構築)
採用構成:CloudFlare(クラウドサーバー) + Kinsta(CloudFlare CDN + WordPress)
もともとレンタルサーバー上で稼働していたWordPress構成。
表示速度の改善、更新時の反映の遅さ、セキュリティ対策が課題。
管理画面はそのまま維持しつつ、配信性能と保守性を高めたい。 → Kinstaに移行。CloudFlareベースのグローバルCDNとキャッシュ最適化で表示速度を改善。WAFや自動バックアップも標準化。
それぞれのケースにおいて、インフラの選定は“目的”と“体制”にあわせて行われています。
技術やツールだけではなく、誰が更新し、どう運用していくかまでを含めて構成を考えることが、無理のないWeb運用には不可欠です。
よくある疑問とその回答
インフラ選定に際しては、制作の初期段階や運用途中でさまざまな不安や疑問が寄せられます。
ここでは、実際に現場でよくいただく質問を取り上げ、それぞれの視点からお答えします。
Q1:CloudFlareやAWSは難しそうで不安です。ちゃんと使いこなせますか?
A:設計と保守を制作側が担う構成であれば、ご担当者さまが専門知識を持っていなくても問題ありません。
CloudFlareやAWSは柔軟で高性能ですが、それだけに設定項目も多くなります。
制作会社側で初期構成・自動更新・セキュリティ設定まで行えば、運用時はCMSやGit更新など最小限の作業で済みます。
Q2:途中でサーバーを変更するのは大変ですか?
A:構成によりますが、「移行は可能」です。ただし、事前の計画が重要です。
WordPressサイトの移行であれば、バックアップ・ドメイン設定・SSL再設定など一定の作業が伴います。
静的サイトであれば、ビルド後のファイルを新環境へ配置するだけで済むこともあります。
目的が明確であれば、最小限のリスクで移行は可能です。
Q3:セキュリティ対策は、どこまでしておけば安心ですか?
A:最低限、SSL対応とCMS保守。加えてWAFや自動バックアップの有無を確認しましょう。
すべての脅威を防ぐことは難しくても、「被害を最小限にする仕組み」を整えておくことが大切です。
WAFやDDoS対策が初期から含まれている構成は、安心感のある選択肢です。
Q4:コスト面が気になります。高機能な構成は高額になりますか?
A:目的に合った構成を選べば、過剰な費用は発生しません。
たとえばCloudFlare Pagesは無料でも十分な性能があり、Kinstaも月額固定でWAFやCDNが標準提供されます。
AWSは構成次第で変動しますが、最小構成で始めて段階的に拡張することも可能です。
XserverもWAFなどの機能は完備しており、十分な場合があります。
無理なく始められるよう、予算に合わせた提案が可能です。
Q5:どれを選べば正解なのか分からないのですが…
A:最初に“何を大切にしたいか”を明確にすれば、選択は自然と絞れてきます。
コストや手軽さを重視 → レンタルサーバー(Xserver など)
表示速度や更新の効率性 → クラウド構成(CloudFlare)
柔軟性やスケーラビリティ → 高機能なクラウド構成(AWS)
使用技術にもよる部分はありますが、途中で構成を変えることも可能です。
大切なのは、誰が更新しどう運用していくかという計画を、プロジェクト内で共有しておくことです。
まとめ:インフラは“見えない設計”の重要な一部
Webサイトの品質は、見た目だけでなく、その土台となるインフラにも支えられています。 要件や体制に応じて最適な構成を選ぶことが、安定した運用と良好なユーザー体験につながります。 制作の初期段階から、インフラも含めた設計を意識することが重要です。
株式会社デパートでは、レンタルサーバーから大規模クラウドサーバーまで、要件や体制に応じて開発を行っております。ぜひお気軽にご相談ください。
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