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ロゴ制作プロセス②シンボルマーク設計 | 方波見牧場 精肉ブランド「やまの華豚」
ロゴの表現ロジックの定義が済んだら、いよいよ形を作っていくフェーズに入ります。当記事ではまず、ブランドのシンボルとなる形の設計をしていきます。
シンボルマークのアイデア出しの方法
表現ロジックから連想されるキーワードから、幅を広げていきシンボルマークの原型やメタファーを検証していきます。アイデアのインプットアウトプットを何度も何度も重ねて、可能性があるものは全てアイデアを出していきます。
アイデアの具体的なアウトプット例
表現ロジック | 連想される キーワード | アイデアの具体的なアウトプット例 |
体験 【美味しさの体験】 【調理する楽しみの体験】 【愛情を感じる体験】 【豊かな時間の体験】 |
愛情 / 幸福 / 重なる / 織りなす / つながる / 広がる / 贈り物 / 届く / 家庭 / 友人 / 満足 | 丸 / 有機的な形状 / ライン / 織物 / 花弁(が重なる) / ギフト / 手 / 家族 / 笑顔 / 料理 / 食べる / 香り / 風 |
美味しさ | 味が濃い / ジューシー / 柔らかい / 繊細 / サシ / 歯ごたえ / 洋風 / 色が綺麗 / 脂の香り / 脂がサラッとしている / ナッティな香り | 厚み / にじみ / 筆文字 / 有機的な形 / 女性的なあしらい / 曲線 / ナッツ / 欧文フォント(モダンフォント) / 線を入れる |
方波見牧場(生産者)のキャラクター | 優しい / 柔らかい / 愛らしい / 土臭い / 情熱 / 意志 / こだわりのある / 純粋 / 若い(生産者が) | 硬すぎない形状(柔らかすぎない/可愛いではない) / 意志の感じられる印象の強さ(強すぎない) |
アイデアの幅を広げるためのインプットアウトプット方法
- 方法①キーワード自体を検索エンジンにて検索し、取り囲む情報からシンボル・メタファーを検出
- 方法②画像検索ツールにて、キーワードの類似画像を検索しシンボル・メタファーを検出
- 方法③情報を元に書籍や歴史などデータを確認しシンボル・メタファーを検出
アイデアのアウトプットの幅を広げていく手法例
一つのアイデアから、より多くのアイデアを転換していくために呼び水が必要です。呼び水とは、アイデアに掛け合わせる表現手法のことを指します。あくまで軸に沿わせながら、可能性があるものはアイデアにしていきます。
呼水の例
点・線・面 / 重ね / ずらし / 反復・複製 / 切る・離す / クロス / 加える / 伸ばす・縮める・高く・低く / 曲げる / 傾ける / 広げる / 除く / パース・立体 / 回転・裏返す / ねじる / 入れ替える / 共有する / ポジ・ネガ / 枠 / 重く・軽く / 擦れる / 滲ませる / グラデーション / アウトライン・インライン / シャドウ / 手書き / 大文字・小文字 / 段組 / 余白
これらの呼水を、たとえば「手 × 反復 × 滲ませる」というようにアイデアと組み合わせることでアイデアのアウトプットの幅を広げ、可能性があるものは全てアイデアとして出していきます。このフェーズは多ければ多いほど、後程の絞り込み工程が濃くなるのです。
シンボルマークのアイデア出し
表現ロジックは軸として持ちながらも、アイデアの制限はせずに他方向からアウトプットを出しては広げていくことを、何度も何度も繰り返していきます。 このフェーズでは通常500〜、多い時で1000を超えるアイデアを出していきます。
アイデアの一部をご紹介。良いとされるアイデアは派生を繰り返し、別の案と合併したり削除したりを続けていきます。
アイデアの絞り込みと検証
相当数のアイデアを出していった中で、一度立ち止まり、可能性のあるアイデアの絞り込みを行います。絞り込んだアイデアは、それぞれにより表現を濃くするために、派生・検証を重ねていきます。
アイデアの絞り込みをした後に、派生・検証を行った一部をご紹介。
アイデア出し→絞り込み→派生・検証は、一方通行の流れではなく行ったり来たりを繰り返していきます。量を質に圧縮していくことが重要となる根気のいるフェーズです。
アイデアの絞り込み結果
何度も何度も検証を続け、方波見牧場の方々ともすり合わせを行い、シンボルのベースとなるアイデアが絞り込まれました。
類似チェック
シンボルのベースとなるアイデアが絞り込まれた段階で、世の中にある既存のデザインに被らぬよう類似チェックをしていきます。どんなにロジックを積み上げオリジナルで作成していても、世の中には無数のデザインが存在しているために、類似したデザインが出来上がってしまうこともあるのです。
類似チェックにはWebサイトでの検索を用います。
類似チェックサイト例
- Google画像検索
- ロゴマーケット https://logomarket.jp/
- ロゴマルシェ https://logo-marche.net/
- Adobe Stock https://stock.adobe.com/jp/
- iStock https://www.istockphoto.com/jp
- Shutterstock https://www.shutterstock.com/ja/
- 作品発表の前にチェックしたい、類似デザインを探せる検索サービス | MdN Design Interactive https://www.mdn.co.jp/di/newstopics/42031/
類似チェックで問題ないことを確認できたら、この後のフェーズへ移っていきます。
シンボルマークの整形ロジック定義
シンボルマークのアイデアが決まったら、表現のロジックにマッチしているかを確認しながら、シンボルマークとしての整形(ブラッシュアップ)の工程に移っていきます。ここでは、基本形からよりフォルムに磨きをかけ、実用性も加味した整形のロジックを定義していきます。
やまの華豚は味覚体験だけではなく、より豊かな体験をもたらすコミュニケーションツールであるので、香りや肉汁による味覚的な【美味しさの体験】、美味しい食材を【調理する楽しみの体験】、生産者・調理者の【愛情を感じる体験】、味覚や愛情、また食事する人や場所による【豊かな時間の体験】を赤い円で交差させ、その全ての円が重なるエリアを縁としシンボルを形成しています。塗りの面積が広いことで、印象(意志)の強さを表しています。
また内側のグレーの縁は兄弟飼いで大切に育てられている2つ並んだ豚が、それぞれの体験の重なりをぎゅっと濃く特別にする様を表現しています。 2つ並んだ兄弟豚からのびた中央の3つ重なった青い小さな円は、るんくるんとしたの尾っぽのつながりで、健康にストレスなく大切に育った豚を表現しています。
このように、シンボルの形にも表現ロジックを意識しながら、形成のロジックを持たせることでよりブランドにマッチしたロゴに形成していきます。
シンボルマークの整形検証
整形ロジックを定めた上で、より最終系に近い形に整形するためのロジックを検証し定めていきます。
骨組み(ガイド)の整形検証
絞り込まれたアイデアの形状が、どのバランスや形状であるべきかを検証していきます。今回はあらゆる骨組みを作成し検証を重ね、最終的に下図のように正円ベース・有機円ベース・グリッドベースで検証を行いました。
ここでもブランドの構成要素・コアバリュー・表現ロジックに立ち戻り、最適なものを絞り込んでいきます。豚と人々という有機的なものが、出会い特別な体験を生み、それが連鎖していく様を表現した有機的構成を採用することになりました。
細部の整形検証
シンボルの中心に位置し、印象のポイントとなる“くるん”のラインについては、方波見牧場の方々に筆入をお願いし、想いを込めていただく企画としました。
筆入をしていただいている際に生産者視点で、生物的に尻尾の生え方に違和感があるとくるんの向きを上向きから下向に変更。こうしてブランドを運営していく方が実際に手を入れることでも、ブランドに命が吹き込まれていくケースもあります。
シンボルマークの整形結果
ブラッシュアップを済ませ、シンボルマークの基本形が定義されました。