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目次
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- Blenderとは?無料で使える統合型3D制作ソフト
- Blenderでできること
- モデリング(形を作る)
- マテリアル・ライティング(質感と光の演出)
- アニメーション・VFX(動きと演出)
- レンダリング(出力・完成)
- 映像編集・合成
- どんな分野で使われているのか
- プロモーションや広告ビジュアル
- 建築・インテリア・不動産分野
- モーショングラフィックスやイベント映像
- Web・メタバース・AR/VRコンテンツ
- 制作会社が導入するメリット
- コストを抑えて試作・提案できる
- ワークフローの一元化で効率化
- スキル育成とクリエイティブの拡張
- 導入時に意識したいポイント
- PC環境の整備
- チーム内でのワークフロー設計
- クライアントとの期待値調整
- 制作現場での実際の活用シーン
- 案件提案時のビジュアル化
- 映像案件での一部差し替え・補完
- Web制作でのインタラクティブ素材制作
- 空間デザイン・展示系案件での検証
- まとめ:Blenderは“3D制作の入口”として最適なツール
3DCGという言葉を聞くと、「難しそう」「特別な環境が必要そう」という印象を抱く方が多いでしょう。しかし近年では、映像業界やゲーム制作だけでなく、Webサイトや広告、建築、プロダクトデザインなど、幅広い分野で3Dの導入が進んでいます。その中心にあるのが、無料で使える3D制作ソフト「Blender(ブレンダー)」です。
この記事では、3D未経験者や制作会社での導入を検討している方向けに、操作方法ではなく「なぜBlenderが注目されているのか」「どのような業務で役立つのか」を、実践的な観点から解説します。 また、弊社の10周年記念サイトはBlenderを用いて制作されました、こちらもぜひご覧ください。 株式会社デパート10周年記念サイトはこちら
株式会社デパートの創業10周年を記念して制作されたスペシャルサイトは、フル3Dで実装されとてもユニークなサイトになっています。 3Dの魅力はなんといってもディスプレイの中に奥行きがあり、さらに自分で動かすことができるというエンターテイメント性です。今回のサイトでは、このワクワク感をフルに活かし、さらにAI技術を取り入れ、チャレンジ力&デザイン力&技術力の髄を凝らしました! この記事では、このサイトの3Dデザインの流れを説明いたします。blenderを使ったフル3Dサイトのデザイン制作に興味がありましたらぜひご覧になってください。
Blenderとは?無料で使える統合型3D制作ソフト
Blenderは、世界中のクリエイターが開発に参加しているオープンソースの統合型3Dソフトウェアです。その魅力は、完全無料・商用利用OKでありながら、有料ソフトに匹敵する機能をすべて備えている点にあります。
ひとつのソフトで、以下の工程を完結できます。
モデリング(形を作る)
テクスチャ・マテリアル(質感を作る)
ライティング(光を当てる)
アニメーション(動かす)
レンダリング(仕上げる)
コンポジット・動画編集(まとめる)
他ソフトでは、これらを複数アプリで行いデータをやりとりするのが一般的ですが、Blenderはすべて一気通貫で完結可能。このシンプルさと拡張性が、近年の急速な普及を支えています。
Blenderでできること
Blenderは「何でもできる」ツールですが、重要なのは“何を目的に使うか”を明確にすることです。ここでは、実際の制作現場で多く利用されている代表的な機能を紹介します。
モデリング(形を作る)
マテリアル・ライティング(質感と光の演出)
アニメーション・VFX(動きと演出)
レンダリング(出力・完成)
映像編集・合成
モデリング(形を作る)
あらゆる立体物をデジタル上で再現できます。家具、建築物、製品、キャラクターなどを正確に立体化し、試作品やプレゼンビジュアルとして活用可能です。実物のない段階で「完成イメージ」を提示できるため、クライアントへの提案力が向上します。
マテリアル・ライティング(質感と光の演出)
物体の表面には、「金属」「ガラス」「木」「布」などの質感を再現する“マテリアル”が設定できます。さらに光源の種類や位置を調整することで、時間帯や空気感まで表現可能です。撮影では難しい照明演出も、Blender上で自在に試行でき、「現実以上にコントロールされた現実」を描けます。
アニメーション・VFX(動きと演出)
静止した3Dモデルに動きを与え、アニメーションや演出を加えることができます。製品の可動部を見せる説明動画や、ロゴのモーショングラフィックス、煙や液体のシミュレーションまで対応。従来After Effectsなどで表現していた領域を、立体的な演出で置き換えることができます。
レンダリング(出力・完成)
作成した3Dシーンを、静止画または動画として描き出す工程です。Blenderには「Cycles(写実表現向け)」と「Eevee(軽量リアルタイム向け)」の2種類のレンダリングエンジンがあり、プロジェクトに応じて写実性・スピードを選択できます。
映像編集・合成
トリミングやテロップ追加などの軽編集もBlender内部で可能。試作品や短尺の検証映像なら、外部編集ソフトを使わずに完結します。
どんな分野で使われているのか
Blenderは個人制作者だけでなく、制作会社や企業の実務レベルでの導入が急増しています。低コストかつ柔軟に導入できるため、各業界で“試す価値のあるツール”として注目されています。
プロモーションや広告ビジュアル
建築・インテリア・不動産分野
モーショングラフィックスやイベント映像
Web・メタバース・AR/VRコンテンツ
プロモーションや広告ビジュアル
広告用の製品CG、ブランドムービー、キャンペーンビジュアルなどに利用されています。特に、まだ製品が完成していない段階での先行プロモーション素材として重宝されます。撮影に依存しないため、制作スケジュールを短縮し、表現の幅を広げられる点も魅力です。
建築・インテリア・不動産分野
空間デザインやリフォーム提案などでは、完成後のイメージをリアルに可視化することが求められます。Blenderを用いれば、壁材や照明の質感、日照シミュレーションなどを含めた「完成後の未来図」を提示できます。BtoBだけでなく、BtoCの住宅展示や販売資料でも有効です。
モーショングラフィックスやイベント映像
ブランドロゴの立体演出、イベントオープニング映像、SNSショートムービーなど、一瞬で印象を残すビジュアル演出にBlenderが使われています。静止画では伝わらない「動きの説得力」を加えることで、ブランドの世界観を深く印象づけられます。
Web・メタバース・AR/VRコンテンツ
近年、Webやアプリ上で3Dモデルを直接閲覧できる仕組み(WebGL、Three.jsなど)が整備され、Blenderで作った3DデータをそのままWeb上に展開できる時代になりました。企業展示、商品カタログ、メタバース空間など、次世代の体験設計の入り口としても注目されています。
制作会社が導入するメリット
制作会社がBlenderを導入することは、単なる「ツール追加」ではなく、新しい表現領域を社内にインストールする行為です。
コストを抑えて試作・提案できる
ワークフローの一元化で効率化
スキル育成とクリエイティブの拡張
コストを抑えて試作・提案できる
他の3Dソフトと異なりライセンス費が不要なため、小規模な検証や**R&D(研究開発)**が容易です。例えば、「製品CGを試してみたい」「動画演出の可能性を探りたい」といった初期段階の検討でも、導入コストゼロでテストができます。企画フェーズから具体的なビジュアルを提示できるため、社内外の合意形成がスピーディになります。
ワークフローの一元化で効率化
Blenderは、モデリングからレンダリングまでの工程を一貫して扱えるため、複数ソフトを併用する際のデータ変換・整合性調整といった無駄な工程を排除できます。この一貫性が、短納期案件や少人数チームでの制作において大きな武器となります。また、社内でルック開発(質感や照明のテンプレート)を共有することで、“ブランド一貫性のある3D表現”も容易に再現できます。
スキル育成とクリエイティブの拡張
Blenderは世界中でチュートリアルが公開されており、学習環境が充実しています。操作の習得だけでなく、構図・照明・カメラワークなど、ビジュアルデザイン全体の理解にもつながります。2Dデザイナーや動画クリエイターが3Dに触れることで、社内のスキルシナジーが生まれ、提案の幅が一気に広がります。
導入時に意識したいポイント
Blenderの導入を成功させるには、「目的」「運用」「環境」の3つの視点を整えることが重要です。
PC環境の整備
チーム内でのワークフロー設計
クライアントとの期待値調整
この記事では、すでに公開されている「株式会社デパート10周年プロジェクトの全容をご紹介します!」「3Dサイトのデザインフロー【デパート10周年記念サイト】」の記事の裏側で、3D関係の部分にフォーカスを当て、どのように実装を進めていったのかをエンジニア目線でご紹介します。3Dにチャレンジしたいチームや、弊社のものづくりに興味を持ってくださっている方に、少しでも雰囲気が伝わればうれしいです!
一般的にWebにおける3Dコンテンツの表示にはcanvas要素を使用しますが、スクリーンリーダー対応やキーボード操作のサポートが不足しており、特別な対策が求められます。この記事では、three.jsにおけるCSS2D/CSS3DRendererの利用、React Three A11yライブラリの導入による解決策を検討し、3Dコンテンツのアクセシビリティを向上させるための実践的な方法についてまとめてみました。
PC環境の整備
3D制作では、PCの処理性能が成果物のクオリティや作業効率を左右します。最低でもメモリ16GB、GPU(グラフィックボード)搭載モデルが推奨です。高解像度レンダリングや複雑なシーンを扱う場合は、グラフィック性能を優先的に強化するのが効果的です。
チーム内でのワークフロー設計
3D制作は工程が多く、ファイルの命名・アセットの共有・修正のルールを明確にする必要があります。モデリング担当、ライティング担当、レンダリング担当など、役割を分担する場合は特に、共通テンプレートとデータ管理ルールを早い段階で決めておくことが重要です。
クライアントとの期待値調整
「3Dなら何でも再現できる」と思われがちですが、求めるリアリティや演出の方向性によって制作負荷は大きく変わります。初期段階で“どの程度のリアルさを狙うか”を明確に共有し、工数・納期・コストのバランスを取ることが成功の鍵です。
制作現場での実際の活用シーン
Blenderは「まず触ってみる」ための学習ツールではなく、実務レベルでも確実に成果を出せる制作環境です。特に、スピードと柔軟性が求められる現場では、Blenderの軽快さと統合性が強みとして発揮されます。
ここでは、制作会社がBlenderを導入した際によく見られる4つの活用パターンを紹介します。
案件提案時のビジュアル化
映像案件での一部差し替え・補完
Web制作でのインタラクティブ素材制作
空間デザイン・展示系案件での検証
案件提案時のビジュアル化
新規企画やリニューアル提案などのプレゼンで、従来のイメージボードではなく簡易3Dモデルで構成案を見せるケースが増えています。立体的に可視化することで、クライアント側の理解が早まり、フィードバックの精度も高まります。
また、修正要望に対しても即座にモデルを編集して再提示できるため、打ち合わせの生産性が格段に上がります。デザイン検討の段階から3Dを導入することで、「提案=ほぼ完成イメージ」という新しいスタンダードが生まれています。
映像案件での一部差し替え・補完
撮影現場で再現が難しいシーンや、高額なセットを必要とするカットを、Blenderで制作するケースです。背景や小物を3Dで再構築し、実写映像と合成することで、低コストかつ自然な仕上がりを実現できます。
たとえば、夜景の窓外の風景や、製品の分解アニメーション、カメラワークの難しい俯瞰演出などが該当します。従来のVFXソフトと比べても、Blenderはモデリングから合成まで一貫して行えるため、納期短縮と品質維持の両立が可能です。
Web制作でのインタラクティブ素材制作
Blenderで作成した3Dデータを、WebGL(Three.jsなど)やLottie形式でWeb上に展開し、操作できる3D体験として活用する事例が増えています。静止画では伝わりにくい製品構造や質感を、マウス操作やタップで回転・拡大表示できるようにすることで、ユーザーの理解を深められます。特にECサイトや企業紹介ページなどで、没入感のある商品プレゼンテーションとして機能します。
また、同じ3Dモデルを動画・静止画にも流用できるため、マルチユース化による制作効率の向上にもつながります。
この度cssやJavaScriptなどを使わずにWebアニメーションを制作できる “Lottie” という技術を使い、Webアニメーションをサイト制作に取り入れてみました。 使ってみてわかったメリット・デメリットや、通常のWebアニメーション制作との違い、作成手順をまとめてみたので、Webアニメーションに興味のある方は参考にしてみてください。
空間デザイン・展示系案件での検証
内装設計や展示会ブースデザインなどの分野では、Blenderによるリアルスケールの空間検証が有効です。照明の当たり方や導線の見え方、素材の反射などをリアルに再現できるため、クライアントが完成イメージを即座に把握できます。図面だけでは共有しづらい“空気感”や“動線の印象”まで表現できる点が大きな利点です。完成前に空間演出の問題点をシミュレーションで洗い出せるため、施工後の手戻りも減少します。
このようにBlenderは、「検証ツール」から「実制作の中核」へと自然に移行できる柔軟さを持っています。一度導入してしまえば、提案・制作・納品のすべての工程に応用できるため、制作会社にとっての資産価値は非常に高いツールと言えるでしょう。
まとめ:Blenderは“3D制作の入口”として最適なツール
Blenderは、無料で導入できるだけでなく、3D制作の全工程をカバーする統合型ソフトです。制作会社にとっては、コストを抑えて提案の質を上げるだけでなく、社内スキルの拡張・案件の多様化・クライアントへの新しい付加価値提供にもつながります。「3Dは専門チームが扱うもの」という時代は終わり、今や誰でも触れられる“日常の制作手段”として3Dが浸透しつつあります。Blenderは、その変化の中で最も導入しやすく、拡張性の高いツールです。まずは小さな検証から始めてみてください。静止画1枚、短尺ムービー1本からでも、その効果を実感できるはずです。
株式会社デパートでは、Web・映像・ブランディングの実務経験を活かし、3D導入支援やBlenderを活用したモデリング・アニメーション制作にも対応しています。「自社の制作に3Dを取り入れたい」「クライアント提案の幅を広げたい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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