コンセプトメイクとは？具体的なやり方や事例を解説

広い意味でのコンセプトメイクはアイデアや概念を指します。また、何かを具体化して実現する際の指針や枠組みとなるものまでを指すこともあります。いずれにおいても、企業活動のブランディングやマーケティング、技術開発やデザイン、アートなどさまざまな分野で欠かせない取り組みです。

コンセプトのないサービスや商品は、それを必要とする人々にコンテンツを十分に届けられず、社内チームの仕事もちぐはぐなものになります。コンセプトメイクを行うと企業としての意思や強みを効果的に打ち出し、商品や自社イメージにダイレクトに反映させられるでしょう。

ここではコンセプトメイクの分類を紹介します。コンセプトメイクは大きく5つに分類可能です。根本には「商品やサービスなどの軸を定める」といったものがあるものの、分類ごとに少しずつアプローチや目的が異なります。

ビジネスコンセプト

ビジネスコンセプトは新しい事業やサービス、商品の軸を指します。自社製品の独自性や市場シェアの獲得、ブランディングを立ち上げ、醸成するのに欠かせません。企業が存在意義を示し、競合他社との差別化を図るうえで非常に重要な取り組みです。

具体的には「どのような顧客に・どのような価値を・どのようにして提供するか」といった、企画の骨格や構想を表します。

マーケティングコンセプト

マーケティング・コンセプトは商品やサービスを販売する際に必要なアプローチや戦略の枠組みを定める取り組みです。企業活動のマーケティング分野においては、顧客のニーズを掴んだうえでふさわしい商品やサービスを提供し、満足度を高める必要があります。

マーケティングコンセプトで「誰が」「自社に」「何を求めているか」を把握し、方向性を定めると売上上昇といった目先の利益だけでなく、自社の競争力強化や優良顧客の獲得にもつながるでしょう。

ブランドコンセプト

ブランドコンセプトは自社のアイデンティティや価値観を表現する枠組み（フレームワーク）です。なお、「ブランドミッション」と表現されることもあります。ブランドコンセプトは企業イメージの構築にとって重要で、発表するコンセプト次第で自社のイメージを左右するため、慎重な判断が欠かせません。

なお、ブランドコンセプトの決定には提供価値をはじめとしたさまざまな要素を含むため、策定においては自社の強みと弱みを棚卸しする取り組みが必須です。

デザインコンセプト

デザインコンセプトは商品やサービス、コンテンツなどの方向性やテーマを解決するための方法を示すものです。またはその骨格を指します。デザインコンセプトの決定は、製品やサービスに一貫性を持たせるのに効果的です。また、社内で取り組みに対して新たなアイデアがでた際は「取り決めたコンセプトに沿っているか」を確認しながら意思決定できるメリットがあります。

なお、デザインコンセプトはデザイナーやクリエイター界隈で用いられることが多い用語ですが、「テーマ」とは意味合いが異なる点に注意が必要です。

開発コンセプト

開発コンセプトはさまざまな開発プロセスの方向性や目標、またはその仕様を指します。開発コンセプトの決定はスムーズなプロジェクトの進行に必要です。

開発コンセプトと聞くと、他のコンセプトと比較して機械的なニュアンスを感じるでしょう。しかし、プロジェクトによっては情緒的・感情的なものになるケースもあります。たとえば、福祉関連のツール開発であれば、開発に込められた思いが主体となり情緒を含んだものになるでしょう。

開発コンセプトの決定は、解決策を明確にでき、かつ商品や開発プロセスに一貫性を持たせられるメリットがあります。

ここでは企業がコンセプトメイクを作る意味を2つ紹介します。

方向性を示し意思の統一を図れる

コンセプトメイクはクリエイティビティを高める効果が期待できます。関係者がアイデアを具体化することで、目標に向けたアプローチを決定できるでしょう。また、コンセプトメイクを一丸となり実施すると、チームや関係者がより創造的な解決策を見つけ、関係者の意思決定を促し、統一を図れる効果もあります。

企業内での意思統一は費用や人的リソースの適切な配分に寄与し、かつ士気を高めるため、ビジネスの成功率を向上させるでしょう。

ブランディングにつながる

コンセプトメイクの結果、ブランディングに成功する例も見られます。コンセプトが企業のキャッチフレーズとして浸透し、認知度上昇につながるメリットもあります。コンセプトメイクの段階で自社の強みや弱みを分析し、生み出されたアイデアは企業イメージにダイレクトに反映されるでしょう。

一貫したコンセプトを打ち出すと、顧客生涯価値（LTV）の向上にも効果的です。自社の思いを含むコンセプトに共感する顧客の獲得は、企業の永続的な繁栄に欠かせません。

なお、コンセプトメイクは広告フレーズであるキャッチコピーと混同しないよう注意が必要です。

ここではコンセプトメイクの具体的な手法を紹介します。3つのステップで進めていきましょう。

自社の保有スキルと目的を棚卸しする

まずは自社が持つさまざまな情報を洗い出しましょう。市場動向や競合分析、企業理念や市場でのポジションなど企業を取り巻く要素を棚卸しし、アウトプットします。

棚卸しはブレーンストーミングなどアイデアを創出するフレームワークを用いて、プロジェクトの要件定義を行うとスムーズに進められます。なお、事前の要件定義はプロジェクトの失敗や間違った方向性に進むのを防ぐ効果があり、リスクの最小化に効果的です。

コンセプトを具体化する

情報の棚卸しが済んだら、具体化に進みます。目標とターゲットを明確化し、差別化ポイントやメッセージを表現し、要件に合致しているか精査しましょう。具体化の段階では、ブランドストーリーを構築し、チームおよび社内で共有することで一貫性を持たせられます。

コンセプトをまとめるにあたり「どんな表現でどんな言語を用いるのか」を的確かつ差別化するイメージを持ちましょう。

コンセプトを社内で共有する

コンセプトをとりまとめたら、実際のビジネスに反映させます。反映後は随時関係者からのフィードバックを受け、ブラッシュアップする取り組みが重要です。

なお、コンセプトのフィードバックはコミュニケーション方法やタイミングの設定が大切です。定期的にコンセプト見直しの機会を設け、組織風土の刷新やボトムアップを目指しましょう。

ここではコンセプトメイク差別化のポイントを紹介します。コンセプトの差別化は企業のブランディング強化、および顧客への訴求効果を高めます。

差別化されている

「自社ならでは」のコンセプトメイクは差別化の意識が欠かせません。自社の特徴を的確に捉え、ニーズに応えるコンセプトを作り上げましょう。差別化には市場調査と社内の棚卸しが重要です。「競合と類似していないか」「業界でありふれた内容になっていないか」を競合調査と分析の中で絶えず確認しましょう。

差別化のポイントとしては「背景にストーリーがあること」が重要です。なぜこのコンセプトを生み出したのかといった背景を顧客に伝えられると、記憶に残るコンセプトを定められるでしょう。

共感しやすいワードが使われている

コンセプトメイクは難しい言葉を使用せず、短く誰でもわかるワードを用いましょう。また、美辞麗句を並べないことが大切です。あまりにもきれいな言葉のみを並べると、具体性がなく「うさんくさい」といった印象を与える可能性もあります。

参考までに、コンセプトのメッセージは主に下記4つに分類されます。

• 意志宣言タイプ
• 事業紹介タイプ
• 関係構築タイプ
• 価値提供タイプ

いずれにおいても、言葉の見栄えを意識するのでなく、意思が込められているかを意識しながらコンセプトメイクを作り上げましょう。

コンセプトメイクは企業活動のさまざまなシーンで必要な取り組みです。企業が自社のサービスや商品の軸を定め、顧客に訴えかけるとブランディングや認知度向上に寄与します。

しかし、コンセプトメイクはコツが必要なうえ、入念な準備が必要です。自社のみで取り組みが難しい場合は、専門家への相談も検討しましょう。第三者への相談は、自社を俯瞰的に認識し、新たな気づきを得るメリットもあります。株式会社デパートでは、Webサイト構築における調査や企画、分析などをサポートいたします。自社の課題を解決できる構築方法を提供するため、ぜひ一度ご相談ください。