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目次
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- AIは誰が使うものか?
- 私たちがAI活用で守る、責任ある情報管理
- 【実践】品質を高めるためのAI活用シナリオ3選+α
- シナリオ1:リファクタリング - 未来の負債を未然に防ぐ
- シナリオ2:ドキュメント整備 - 属人化の壁を超える
- シナリオ3:CI/CDの強化 - 「うっかりミス」を仕組みで潰す
- おまけ:ちょっと意外な使い方も
- 私の場合、さらにこんな使い方をしています
- 表現的なモック
- 機能的なモック
- Q&A:AIを使って開発って実際どうなの?
- Q. AIの提案って信頼できるの?
- Q. 導入コストが心配です
- Q. 初心者でも使えますか?
- Q. 社内で使うにはどう進めればいい?
- Q. 情報漏洩は心配ないの?
- Q. 「使いすぎて頼りすぎる」って問題じゃないの?
- まとめ:AI時代にこそ、「経験」の価値が高まる
株式会社デパートでは、AIツールを活用しながら、品質とスピードを両立させる開発体制を築いています。
この記事では、「AIを使えば速くなる」というよくある文脈ではなく、「AIによっていかに品質が高まるか」という視点で、実践しているワークフローとその根底にある考え方をお伝えします。
AIは誰が使うものか?
2025年、生成AIはもはや一部の技術者や研究者だけが扱う専門技術ではありません。プレゼン資料の叩き台を数秒で作ったり、美しいグラフィックを数クリックで生成したり。誰もがその恩恵を受けられる時代になりました。
かつては、AIを使うにはプログラミング知識や専門用語の理解が不可欠であり、「使える人」が限られていました。しかし現在は、ノーコードツールや自然言語での操作環境が整備され、職種・経験を問わず幅広い人々がAIを実務に取り入れ始めています。
たとえば:
営業担当:メール文案や提案資料の骨子をChatGPTで下書き
マーケター:バナー広告のキャッチコピーをAIに相談
ディレクター:構成案を整理し、ワイヤーフレームの草案をMiroやFigmaとAI連携で作成
AIの民主化が進んだ今、「誰が使うべきか?」という問いはもはや意味を成しません。むしろ、「どのように使うと成果につながるか?」という問いの方が重要です。
Webサイト制作やシステム開発の現場も例外ではありません。むしろ、生成AIの進化がもっとも実務にインパクトを与えているのがこの領域かもしれません。
開発スピードだけでなく、品質、可読性、保守性といった要素にも貢献するAI活用が、現場の当たり前になりつつあります。
私たちがAI活用で守る、責任ある情報管理
AIの活用には、便利さと同時に責任が伴います。たとえば以下のような情報をAIに送ることは、非常に慎重な扱いが必要です。
種別 | 例 |
---|---|
顧客情報 | 氏名・メール・契約データ等 |
ソースコード | 実装ロジック、認証処理 |
ビジネス上の非公開情報 | 今後の新機能、内部プロセスなど |
株式会社デパートでは、AI活用のための社内ルールを定めたポリシーを整備し、AIが提案したアイデアやコードに対する最終的な責任は人間が負うという原則を貫いています。
▼ 株式会社デパート AI活用ポリシー
https://depart-inc.com/ai-policy/
【実践】品質を高めるためのAI活用シナリオ3選+α
ではここから、具体的にどのようにAIを使って「品質」を担保・向上させているか、実例を交えてご紹介します。
シナリオ1:リファクタリング - 未来の負債を未然に防ぐ
問題:
コードは動けばいい、という考えが未来のバグや改修コストの原因になる。
解決:
AIにコードレビューの“相談役”になってもらう。
実際の活用例
このコードは、ユーザーの役割に応じて表示するボタンを切り替える機能です。
より見通しが良く、将来の仕様変更にも強い構造にリファクタリングしてください。
具体的な改善案を3つ、それぞれのメリット・デメリットと共に提案してください。
提案の使い方
AIからの提案A〜Cを精査
チームの設計思想と合致する案を選ぶ
AIが挙げた注意点や副作用を反映
人間が最終チェックと改修を行う
結果
可読性・保守性の高いコードに
将来の改修コストを削減
新人メンバーへのオンボーディングもスムーズ
シナリオ2:ドキュメント整備 - 属人化の壁を超える
問題:
設計思想や注意点は頭の中にあるが、記録されていない。
解決:
AIにドキュメント作成の叩き台を生成させ、そこに人間の知見を注ぐ。
活用の流れ
コードをAIに渡し「JSDocを書いて」と依頼
AIが関数や変数の概要を自動で記述
人間が背景や注意事項、前提知識を追記
効果
効果 | 説明 |
---|---|
ドキュメント作成の工数削減 | 雛形生成によって作業時間を1/3以下に |
ナレッジの共有化 | 「なぜそう書いたか」が記録される |
属人化の防止 | チーム内での引き継ぎやレビューがスムーズ |
シナリオ3:CI/CDの強化 - 「うっかりミス」を仕組みで潰す
問題:
本番反映前のテスト漏れ、設定ミスなどのヒューマンエラー。
解決:
AIにCI/CDの設定ファイル(YAML)を設計させ、危険ポイントも洗い出す。
実際のプロンプト
GitHub Actionsで、mainブランチにマージされたら
テストとデプロイが走るようにしたい。
認証情報の安全性やエラー時の通知なども考慮して、
最適なワークフロー(YAML)を提案してください。
成果
ワークフロー構築時間の短縮(手動作成の半分以下)
セキュリティの観点(秘匿値の扱い)を網羅
レビュー負荷の軽減(自動Lint + 自動テスト)
おまけ:ちょっと意外な使い方も
以下のようなタスクも、実はAIがかなり得意です。
タスク | AIの使い方例 |
---|---|
Figmaのデザインからコード生成 | MCP(Model Context Protocol)からコンポーネント生成 |
エラー原因の仮説立て | 「このエラーコードの原因を3パターン考えて」と依頼 |
英語ドキュメントの要約・翻訳 | API仕様書を日本語で解説してもらう |
説明の自動生成 | コンポーネントから説明付きテンプレートを作成 |
私の場合、さらにこんな使い方をしています
プロジェクトでは、「こういう機能のモックをクライアントと確認したい」という場面がよくあります。合意形成のためにはモックとして試作が有効ですが、内容によっては1~2週間かかるパターンもあり、時間やコストがネックになることもあります。
そこでAIの力を借りることで、短時間で実用的なモックを用意できるようになりました。
表現的なモック
ワイヤーフレームだけでは動きや画面サイズ変化のイメージが伝わりづらい場合があります。Figmaなどのツールでも限界があり、実際のWebサイトのような動きやレスポンシブ対応までは難しいケースも多いです。
こうした時、AIでHTMLやCSSを生成し素早くモックを作成することで、実際のWebに近い動作をクライアントと一緒に確認できるようになりました。
機能的なモック
たとえば検索フォームなど、UIだけでなく簡単な機能も試したい場合は、Figmaだけでは表現が困難です。従来はサンプルUIを手作業で作るしかありませんでしたが、AIを活用すれば、仮データやUIパーツの自動生成、簡易な機能実装まで一気にカバーできるようになりました。
また、こうしたモックは最終的な実装のテストや設計整理にも役立ち、品質向上にもつながります。従来は、時間をかけて実装したり、過去の実績を流用したりするしかありませんでした。しかし、AIの活用で「思い込み」や「認識のズレ」を素早くすり合わせ、より確実で効率的な合意形成が可能になったと感じています。
ですが、これも今まで実装経験や設計の能力が大きく左右するので「狙った機能」はまだまだ簡単に作ることができません。「クライアントの叶えたいコト」「我々の提供したいモノ」の連動や結合は、まだまだ熟練の人でなければ難しい領域なのだと感じます。
Q&A:AIを使って開発って実際どうなの?
Q. AIの提案って信頼できるの?
A. 100%ではありません。 しかし、複数パターンの提示や、なぜそうした方がいいかの説明があることで、思考の補助として非常に有効です。
Q. 導入コストが心配です
A. 「AIは便利そうだけど、高そう」という声はよく聞きます。たしかに有料のツールもありますが、必ずしも高価なものばかりではありません。
たとえば、GitHub Copilotのように月額1,000円台で使えるツールも多く、「まずは無料から試してみる」でも、十分に価値のある取り組みになるはずです。
Q. 初心者でも使えますか?
A. 使えますが、注意が必要です。 提案されたコードが正しいかどうかを判断する力(レビュー能力)が必要なので、学習と並行して活用するのが理想です。
Q. 社内で使うにはどう進めればいい?
A. 小さな成功体験を積むことが鍵です。まずは一人の開発者が試し、その成果をチーム内で共有しましょう。社内ガイドラインや活用ルールを明文化することで、スムーズな定着にもつながります。
Q. 情報漏洩は心配ないの?
A. GitHub CopilotやGoogle WorkspaceのGeminiなどは、企業向けプラン(Copilot for Business や Google Workspace)を利用することで、入力した内容が学習に使われないよう設定できます。
株式会社デパートでも、こうした設定を徹底しており、AIによる学習対象とならない環境でのみ業務利用しています。使い方と設定次第で、十分に安全に活用することができます。
Q. 「使いすぎて頼りすぎる」って問題じゃないの?
A. 依存しすぎると、考える力が落ちるのでは?という懸念はもっともです。重要なのは、AIにすべて任せるのではなく、「なぜその提案が出たのか」を理解しながら使うことです。補助輪のようなもので、スピードと気づきの質を高める道具と捉えるとよいでしょう。
まとめ:AI時代にこそ、「経験」の価値が高まる
株式会社デパートでは、AIを単なる時短ツールとは考えていません。 設計思想の明文化、複数案からの最適解選定、属人性の解消など、“質を高める作業”を、AIの力を借りて着実に実践できるようになったと感じています。
AIが支援してくれるからこそ、以下のような“本質的な力”がより重要になりました。
問いの立て方がすべて
→ AIは質問に忠実に答えるが、そもそも「良い問い」を立てられるかが鍵。
選ぶ責任は人間にある
→ AIの提案を採用するかどうかは、私たちの知見次第。
経験があるからこそ、AIの力を正しく引き出せる
→ どこまで任せてよいか、どこから手動で確認すべきかの判断力が重要。
私たちは、こうした“人間だからこそできる判断”と“AIによる加速”を組み合わせ、質を高めながら開発を進めています。
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