

- Share On
目次
企業のブランド力を左右するロゴデザイン。しかし、デザインの重要性は理解しているものの、具体的な作り方やポイントがわからず、適切なデザインを導き出せていない企業は多いのではないでしょうか。
本記事では、現役デザイナーの視点から、ロゴがなぜ重要なのか、そしてロゴデザインの必要性や作り方のポイントについて解説します。ロゴが企業イメージに与える影響や、インパクトの出し方、デザイン時の注意点など、ロゴデザインに関する幅広い知見を得られます。
ロゴは企業の顔となる大切な要素です。適切なロゴデザインを行えば、認知度の向上や好印象の醸成につながります。自社の魅力を存分に発揮し、他社との差別化を図るためにも、ロゴデザインの重要性を理解し、戦略的なデザインを心がけましょう。
ロゴデザインの必要性
ロゴは企業や製品のブランドアイデンティティを視覚的に表す重要な要素です。適切に設計されたロゴは、顧客獲得と認知度向上、ブランドイメージの構築と信頼性向上に大きな役割を果たします。
顧客獲得と認知度向上の効果
ロゴは企業やブランドの顔として機能し、製品やサービスの初対面となるタッチポイントです。効果的なロゴデザインは潜在顧客の注目を惹きつけ、企業とブランドを印象づけます。インパクトのあるロゴは認知度を高め、より多くの人々に製品を認識してもらう機会につながります。
例えば、動画配信大手のNetflixは、単純ながら際立つ赤と黒のロゴカラーを使用し、多くの人々に印象付けられています。また、スポーツブランドのNikeは、愛称"スウッシュ"で親しまれているロゴシンボルは一目で認識可能なブランディングとなっています。
適切なロゴは消費者のブランドに対する意識を高め、商品の認知と購買意欲の向上にもつながります。ロゴデザインは販売促進の重要な一助となるのです。
信頼性とブランドイメージの構築
ロゴデザインはブランドの価値観と個性を伝え、ターゲット層の心に訴えかけます。優れたロゴは企業の信頼性を高め、独自のブランドイメージを形成し定着させる役割があります。例えば、高級感と格調高さを重視するBMWは、シンプルでクラシックなロゴを採用しています。
つまり、長期的な一貫性があるロゴは企業の信頼性とブランド認知を高め、ファンを獲得し続けることができるのです。

2020年、会社設立から5年経過したデパートが、ロゴのデザインを改めました。なぜロゴのリニューアルを行なったのか、そのプロセスや設計はどのように行われたのか、実際の制作はどのようなものだったのかー。担当デザイナーの伊藤 高生と、取締役のモチマスミサにて、制作秘話を振り返り、語らいました。
ロゴデザインの作り方と注意点
企業のブランディングにおいてロゴは欠かせない存在です。ロゴは企業の顔となり、製品やサービスを視覚的に表現する役割を担います。適切なロゴデザインは顧客の記憶に残り、ブランドへの信頼性を高めます。本項では、ロゴデザインの作り方と注意点を詳しく解説します。
ロゴデザインのプロセス
ロゴデザインは、企業のブランドアイデンティティに基づいて進められます。そのプロセスは次の通りです。
1 | 課題抽出 | この後の工程にてデザインを進めていくコアとなる、ブランドの構成要素や本質的価値の定義を行います。 |
---|---|---|
2 | 表現ロジック定義 | ロゴで何を伝えるか表現のロジックを定義します。 ロゴで表現すべき核となる部分をまとめておくことで、ロゴの膨大なアイデア出しのための鍵となるワードをある程度出しておくことができます。そうすることで、本質的価値からかけ離れたアイデアを出してしまうことがありません。 |
3 | ブランドのキャラクター・イメージの定義 | 表現ロジックの定義をした上で、ロゴのアイデアを出す前にブランドのキャラクターやイメージを、競合リサーチをしながら整理します。ここでは、NGイメージも同時に出しておくことが重要です。 |
4 | シンボルマーク設計 | 表現ロジックから連想されるキーワードから、幅を広げていきシンボルマークの原型やメタファーを検証していきます。アイデアのインプットアウトプットを何度も何度も重ねて、可能性があるものは全てアイデアを出していきます。 |
5 | 類似チェック | シンボルのベースとなるアイデアが絞り込まれた段階で、世の中にある既存のデザインに被らぬよう類似チェックをしていきます。 |
6 | タイポグラフィ設計 | シンボルマークの基本形が定義された後、要素の組み合わせをしていきます。ロゴはシンボルマークだけで活用される場合もありますが、多くはブランド名やタグライン、スローガンなどと組み合わせて使われることが多いものです。最も使われるであろうブランド名については、ブランド認知のため可読性を考えたタイポグラフィを設計する必要があります。 |
7 | ロゴ全体の最終精微 | ロゴ全体の基本形が決まったら、全体の最終精微の工程に移ります。 作られたロゴが、ターゲットに受け入れられ、所有者に長く使われ、双方に愛されていくためにも、比率やバランスを細かく定義した、コンストラクションガイドを持つ必要があります。 |
8 | カラー設定 | ロゴの形が決まったら、カラー設定の工程に移ります。 色は、ロゴの形状以上に見る人に強く印象を与えるものとされているため、人間の心理や行動にも深く結びついていきます。この工程でも何度も検証を重ねて、ブランドとマッチするロゴの完成系へと最終ステップを進めていきます。 |
9 | 類似チェック | 決定したロゴデザインにて、類似チェックを行います。 |
10 | ガイドライン設定 | 出来上がったロゴは、実際にSNSやパッケージにロゴが展開されていくわけですが、ロゴ作成者だけがロゴを扱うわけではありません。このロゴデザインがあらゆる媒体にてブランドを損なわずに展開されていくために、余白の持たせ方や誤った使用例などを定義しておく必要があります。 |
色やフォントの選定基準
カラースキームとフォントは、ロゴデザインにおいて重要な要素です。適切な選択は、ブランドの個性を伝えるだけでなく、顧客心理にもポジティブな影響を及ぼします。
色の選択については、次の点に注意を払う必要があります。
ターゲット層に応じた色彩心理学を考慮する。例えば青は信頼性や安心感、赤は情熱や活力を連想させます。
明度、彩度などの色の性質が、企業のブランドイメージと合致しているか確認する。
カラーユニバーサルデザインの観点から、どの視覚環境でも見やすい配色を心がける。

よく耳にする「ユニバーサルデザイン」とは具体的にどういったものかご存知でしょうか。 なんとなく知っている方も多いとは思いますが、実際のWeb制作にも取り入れられる要素をご紹介したいと思います。
一方、フォントの選定では以下の点に留意すべきです。
評価軸 | ポイント |
---|---|
可読性 | 太字や細字過ぎないフォントを選ぶ。小さなスペースでも読みやすいか確認する。 |
ブランドイメージ | フォントの持つ個性や印象が、企業の理念と親和性があるか検討する。 |
デザイン性 | フォントの形状の美しさ、モダン感、クラシック感などを判断する。 |
カラーとフォントの組み合わせは、ロゴのインパクトを大きく左右します。デザイン性と機能性を両立させた選定が肝心です。
類似チェックの重要性
どんなにロジックを積み上げオリジナルで作成していても、世の中には無数のデザインが存在しているために、類似したデザインが出来上がってしまうこともあります。最悪の場合、法的トラブルを引き起こしてしまう可能性もありますので、ロゴデザインの工程では、適宜デザインの類似チェックを行うようにしましょう。また、工程ごとに何度か確認を入れることで、作ってからかけた工数が全て水の泡になってしまうことを防ぎます。
類似チェックにはWebサイトでの検索を用います。
Google画像検索
TinEye https://tineye.com/
Yandex https://www.yandex.com/
ロゴマーケット https://logomarket.jp/
ロゴマルシェ https://logo-marche.net/
法的な配慮と登録手続き
ロゴを公表・使用する際は、法的な問題に留意する必要があります。特に商標権の確保は重要です。
商標登録の手順は次の通りです。
類似のロゴや商標がないか、特許庁の商標データベースで事前確認を行う。
類似商標がない場合、特許庁へ出願書類を提出する。書面またはオンラインで手続き可能。
審査期間を経て登録が認められれば、法的に商標権を取得できる。
また、他社の著作権を侵害しないよう、ロゴデザインの独自性を意識することが肝心です。有名なロゴとの酷似は避けるべきです。外注する場合は、デザイナーに著作権譲渡契約を交わすのが賢明でしょう。
一方で、ロゴは可能な限り単純で分かりやすいものが望ましいです。サイズの変更にも対応できるようベクター形式で制作することを推奨します。
このように、ロゴ作成には法的な配慮が求められます。商標登録をはじめ、様々な角度から検討を重ねることが大切です。
ロゴデザインの注意点
ロゴデザインは企業のブランディングにおいて重要な役割を果たしますが、歴史ある企業であれば何度も再定義やリブランディングを行うことが珍しくありません。そのため、ロゴの役割や修正時のリスクを十分に理解したうえで取り組むことが大切です。
デザイン修正の難易度
ロゴはブランドの顔であり、一度決定すると長期間使用されるのが一般的です。しかし、時代の流れや経営戦略の変化、または新事業の立ち上げなどにより、ロゴを修正・再定義する必要が生じることがあります。特に歴史ある企業では、社名変更や記念事業などをきっかけに、定期的にロゴを見直すケースも多く見受けられます。
既存のロゴデザインを大幅に変える場合、顧客が馴染んできたロゴとの整合性や知名度を損なわないための工夫が求められます。ロゴの認知度が高いほど、変更が大きい場合に混乱が生じるリスクがあるからです。大企業がロゴを刷新した際には、一時的な混乱や批判を受けることもありますが、周到な告知とブランディング戦略を行うことで、最終的にはプラスの評価を得ることも少なくありません。
また、ロゴを修正すると企業全体への波及効果も大きく、広告、販促物、公式サイト、店舗の看板などを包括的に変更する必要があります。適切なスケジュール管理やステークホルダーへの情報共有を徹底することで、リスクを最小限に抑えられます。
リブランディングの費用と労力
リブランディングとは、企業やサービスのブランド全体を見直し、新しいコンセプトやデザインを再構築することを指します。ロゴの再定義やCI(コーポレート・アイデンティティ)の再設計はリブランディングの核となる重要な工程です。
リブランディングの主な費用 | 概算費用 |
---|---|
新ロゴ、シンボルデザイン | 30万~ |
パッケージデザイン | 50万円~ |
広告宣伝費 | 数百万円~ |
上記はあくまで目安であり、企業の規模やブランド力によって大きく変動します。世界的な企業では何度もロゴを刷新しており、そのたびに数億円規模の予算を投じることも珍しくありません。
また、リブランディングを成功させるためには、以下のような取り組みが必要となります。
新たなブランドコンセプトやビジョンの策定
全従業員へのブランド教育と方針共有
店舗やユニフォーム、販促物などのデザイン更新
顧客への新しいブランドイメージの浸透と継続的なフォロー
これらの施策には多くの時間と労力がかかりますが、上手くいけば企業価値の向上につながり、長期的にプラスの効果をもたらします。特に長い歴史を持つ企業では、ロゴやブランドを定期的に見直すことで社会の変化に対応し、常に新鮮なイメージを保つことができるのです。
実践!ロゴデザイン制作の現場
実際にロゴ制作の詳細なプロセスを『全6記事』にまとめましたので、ぜひロゴ制作の参考にご覧ください。

この度ご縁があり、茨城県にある方波見牧場の精肉ブランドをリニューアルするプロジェクトをお任せいただくことになりました。 リブランディングということで、現状のヒアリングから課題抽出を行い、見た目だけではないブランド戦略から、ブランド名開発・ロゴ開発、そしてパッケージやECサイトなど制作物の展開など一連の工程に携わらせていただいています。

ブランドの本質的価値体現化していくシンボルマークとしてのロゴを作成していきます。

ロゴの表現ロジックの定義が済んだら、いよいよ形を作っていくフェーズに入ります。当記事ではまず、ブランドのシンボルとなる形の設計をしていきます。

シンボルマークの基本形が定義された後、要素の組み合わせをしていきます。最も使われるであろうブランド名については、ブランド認知のため可読性を考えたタイポグラフィを設計する必要があります。

ロゴ全体の基本形が決まったら、全体の最終精微の工程に移ります。 作られたロゴが、ターゲットに受け入れられ、所有者に長く使われ、双方に愛されていくためにも、比率やバランスを細かく定義した、コンストラクションガイドを持つ必要があります。

ロゴの形が決まったら、カラー設定の工程に移ります。 色は、ロゴの形状以上に見る人に強く印象を与えるものとされているため、人間の心理や行動にも深く結びついていきます。この工程でも何度も検証を重ねて、ブランドとマッチするロゴの完成系へと最終ステップを進めていきます。

実際にSNSやパッケージにロゴが展開されていくわけですが、ロゴ作成者だけがロゴを扱うわけではありません。このロゴデザインがあらゆる媒体にてブランドを損なわずに展開されていくために、余白の持たせ方や誤った使用例などを定義しておく必要があります。
まとめ
本記事では、ロゴデザインの重要性と効果的な作り方について現役デザイナーの視点から解説しています。ロゴは企業イメージの象徴であり、戦略的に設計されたデザインは顧客の信頼を高め、ブランド価値を向上させます。良質なロゴデザインを通して、あなたの企業も確かな存在感を放つことができるでしょう。
株式会社デパートは「イイDesignでイイ社会を実現する」を理念に、企業やサービス・商品の本質的価値を定義し、ユーザーやステークホルダーの心に響くブランド認知のご支援をしております。企業のリブランディングやロゴデザイン見直し・新規制作をお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
Contact
制作のご依頼やサービスに関するお問い合わせ、
まだ案件化していないご相談など、
お気軽にお問い合わせください。
- この記事をシェア