View more

RFPとは?RFIやRFQとの違い・作成するメリットを解説

Blog

RFPとは?RFIやRFQとの違い・作成するメリットを解説

RFPとは提案依頼書を指し、新たなシステムを導入するときに外注先との認識のズレを解消するために作るものです。RFPには盛り込むべき項目やうまく伝えるためのポイントなどがあるので、あらかじめ把握しておくとスムーズです。 今回は、RFPの基本的な定義やRFI・RFQとの違い、作成によって得られるメリットなどを詳しく解説します。
RFPとは?RFIやRFQとの違い・作成するメリットを解説

2024.9.20 更新 / 2023.6.21 公開

RFPとは

RFPを知り適切に活用していくためには、まず基本的な定義を押さえておく必要があります。似たような用語であるRFI・RFQとの違いについても解説します。

 

RFPの定義

RFP(Request for Proposal)とは、発注する企業側がSler(システムインテグレーター)やベンダーに対して、システムの構築や変更を依頼するときに、自社に必要な機能や改善したい課題などを示す書類を指します。日本では「提案依頼書」と呼ばれるものであり、発注する際は必ず用意しておきたい書類です。

RFPを作成する目的

RFPを発注企業が作る目的としては、発注側の考えを外注先に漏れなく伝え、相互理解を深めるという狙いがあります。どのようなシステムを必要としているかは、個別の企業によって異なるため、要望や条件、解決したい課題など細かな部分まで双方による擦り合わせが重要です。 発注企業と外注先のコミュニケーションがうまく取れていないと、構築や変更にマイナスの影響が出てしまう恐れがあるでしょう。事前に大事な部分の認識を共有して、後からトラブルが発生するのを防ぐのが目的です。

RFI・RFQとの違い

RFPと似た言葉に、RFI(Request for Information)と呼ばれるものがあります。これは「情報提供依頼書」と呼ばれるものであり、発注企業がSlerやベンダーに対して、会社情報・実績・提供可能なサービスなどの情報を提示するように求めるための書類です。 また、RFQ(Request for Quotation)は「見積依頼書」を指し、構築や変更にかかる見積額を具体的に知りたいときに依頼する書類です。RFQがあると、他社との比較が行えるようになり、価格に見合ったサービスの提供を受けられるのかを判断できます。

 

RFPを作成する4つのメリット

RFPを作成することで、発注企業は次のようなメリットを得られます。

 

RFPを作成する4つのメリット

・良い提案を受けやすくなる

・予算や納期が妥当なものかを判断しやすくなる

・トラブル防止につながる

・現状や課題を把握しやすくなる

 

各メリットについて、さらに詳しく見ていきましょう。

 

良い提案を受けやすくなる

RFPがあると、外注先から良い提案を受けられる可能性が高まります。まだ細かな部分までは具体化されていない内容であったとしても、発注企業から受けた要求について、アウトラインの文書化によって、外注先に対して「何をしてもらいたいか」を明確に伝えられます。その結果、希望する内容に沿った提案をもらいやすくなるでしょう。 軸となる部分の要求を明らかにすると、自社では気づきにくい点で技術的な提案をもらいやすくなり、より良いものの構築や変更を目指せます。

予算や納期が妥当なものかを判断しやすくなる

RFPがあると、外注先への要求や解決したい課題が明らかになり、見積書を出してもらったときに検討しやすくなります。提供されるサービス内容と、自社が設定していた予算に妥当性があるかを判断しやすくなるでしょう。 また、納期や作業計画といった部分でも、無理がないかを精査でき、外注先との認識の共有につながるはずです。

トラブル防止につながる

開発について全社的な希望要件をRFPにまとめると、正しい情報や要望を不足なく伝えられます。完成してからイメージと違ったものになっている場合、大幅な作業計画の変更や追加予算などが必要になるケースもあるでしょう。 後からトラブルが発生するのを防ぐには、できるだけ早い段階で問題点になりそうな部分を洗い出しておくのが大事です。トラブル防止という観点からも、RFPの作成は重要だといえるでしょう。

現状や課題を把握しやすくなる

RFPを作ると、これまでどのようなトラブルが起こっていたのかを把握するきっかけになり、自社の現状や課題の洗い出しに役立ちます。自社の課題や現状を正確に把握し、解決に導けるRFPを作るためには、経営層からの意見だけではなく、実際にシステムを使って運用を行っている担当者も含め、さまざまな層から意見をもらうのが大切です。自社の現状を見直すと、自然と企業が将来ありたい姿が見えてくるでしょう。理想の運用を行うためにもRFPの作成は必要であるといえます。

RFPを作成する2つのデメリット

ここでは、RFPを作るにあたっての注意点を2つ紹介します。

RFPを作成する2つのデメリット
・RFP作成の負担が発生する
・システムを開発するまでに時間がかかる
イメージする運用を実現するために必要不可欠なRFPですが、自社の負担が大きくなってしまう問題点が発生します。それぞれ注意しておきたい内容について、さらに詳しく見ていきましょう。

 

RFP作成の負担が発生する

RFPを作ると、のちのち理想のものを構築していく際に役立ちますが、作る作業自体が企業の負担になってしまう可能性があります。要望を漏れなく適切に伝えるためには、RFPをしっかり作り込む必要があり、時間や手間などの労力が割かれてしまうでしょう。しかし、RFPを作らないと自社の課題や外注先に向けた具体的な要望が伝わらず、構築した後にさらに修正に時間と労力を取られてしまう恐れがあります。後から負担が大きくなるリスクを避けるためにも最初に手間をかけておくと、のちに工程がスムーズに進むでしょう。

システムを開発するまでに時間がかかる

RFPの作成によって、開発に取りかかるタイミングが遅れてしまう可能性があります。RFP作成にかかわるのは、システム部門だけではありません。使いやすい理想的なものを構築するにあたっては、経営層や実際に運用する担当者までさまざまな部門に所属する人たちがかかわります。多くの人が意見を出し合いまとめながらRFPを作っていくと、開発に着手するまでの時間が長くなると考えられるでしょう。場合によっては、プロジェクトチームを結成したり、情報収集を念入りにしたりと、仕上げるのに時間が割かれます。開発の前工程の負担は大きくなりますが、細かく要望を記載したRFPを作れれば、希望するものに近づきやすくなるといえるでしょう。

RFPの構成要素

ここでは、RFPの構成要素を大きく3つに分けて紹介します。自社と外注先の認識を揃えるために必要な最低限の要素を把握しましょう。

 

提案の概要

概要では、主に以下の要件を定義していきます。

目的

なぜ開発を依頼するのか、何を伝えるための書類なのか、などを載せる。

背景

開発や導入がなぜ必要となったのか、自社の現状や経済状況などを載せる。

現状の課題

現時点で自社が抱えている課題や解決したい課題を記載する。

運用予定

会社の組織図をはじめとした基本情報とともに、自社運用・他社運用どちらであるか、利用する予定の人数、保守体制などを載せる。

システムの構成

現在のサーバーやPC、ネットワーク状況、ソフトウェアなどを載せる。

目指すべきゴール

導入により得たい効果や品質、納期、予算などを載せる。

 

RFPの中の概要は、プロジェクトの全体像を把握するために必要なベース部分となります。業務内容や成果物に関するイメージを共有しやすくする内容も含めると良いでしょう。

提案依頼内容

依頼内容では、主に以下の要件を定義していきます。

依頼内容

外注先にどのようなシステムを提案してもらいたいかを具体的に記載する。

依頼範囲

開発のみか、開発から運用・保守まで依頼したいかなどを載せる。

機能要件

メイン機能や盛り込んでほしい機能、不要な機能などを載せる。

プロジェクト体制

プロジェクトを開始するにあたって求める人材やマネジメント方法などについて記載する。

テスト要件

導入後のテストに関する要望を記載する。

移行要件

現行から新しいものに移行するにあたっての注意事項や要望を記載する。

教育要件

新システムに移行するにあたっての利用ユーザーへの教育に関する要望を記載する。

 

RFPに上記の依頼内容を記載しておくと、要望が明確になり、外注先もどのようなものを構築していくかイメージしやすくなります。品質や精度を高めるために必要な内容です。

選考の内容

選考の内容では、主に以下の要件を定義していきます。

スケジュール

提案書の提出期限やプレゼンテーションの日程、結果発表日、連絡方法などを載せる。

提出先情報

提出先の名称、住所、担当者氏名、電話番号やアドレスなどの連絡先を記載する。

評価・採用の基準

評価の基準や重視するポイントなどを載せる。

提案者の実績

提案者やメンバーの実績やスキル、経歴などを載せる。

コスト

導入や運用にかかる費用を載せる。

 

選考内容は、選考プロセスの透明性を高めるために必要な要素です。具体的な数値や実績も掲載しておくと、より基準が明確になるでしょう。

RFPを作成する手順

RFPをスムーズに仕上げるには、基本的な手順を押さえておくのが大事です。RFPを作るときは、以下の流れに沿って作ってみましょう。

 

 

RFPの作成手順

1.開発目的を明確化する

2.社内の現状を把握する

3.課題点を洗い出す

4.解決策を見つける

5.RFPを作成する

6.外注先選定の評価基準を決める

7.外注先からの提案を受ける

8.外注先の決定と開発スタート

 

各手順のポイントについて、さらに詳しく解説します。

 

開発目的を明確化する

RFPを作るときは、「なぜ開発を行う必要があるのか」「新たなシステムの導入により達成したい目的は何か」を明確にしておく必要があります。目的が明らかにならなければ、せっかく良いものが構築されたとしても、うまく使いこなせないまま放置されてしまう懸念が生じます。 開発にはそれなりの予算が必要になるので、無駄な予算を費やしてしまわないためにも、目的をしっかりと確認しておきましょう。

社内の現状を把握する

RFPを作成する際は、社内での情報を洗い出し共有して、自社の現状を把握する必要があります。特に、基幹システムといった社内全体にかかわるものを構築する場合は、全社的に要望を取りまとめるのが大切です。正確な課題を発見するためにも、現状について把握しましょう。

課題点を洗い出す

自社が現在抱えている課題や優先的に解決すべき課題は何かを把握することで、より良いシステム開発を進めていけます。自社の課題を解決するためのシステムを構築するには、経営層やIT担当者だけでなく、実際にシステムを利活用する現場の社員の声も丁寧に聞き取っていくことが大切です。 社内のさまざまな意見を集めたうえで、会社としてRFPを作れば、外注先に明確なメッセージを伝えやすくなるでしょう。

解決策を見つける

自社の課題を把握したら、課題ごとに優先順位を付けて、順番に解決策を立てていくことが大事です。その際に、新たにシステムを導入することで、それらの課題が解決できるのかを精査することも大切だといえます。 システムを導入するだけで、すべての課題が解決するわけではないので、多角的な視点を持って対応していく必要があります。課題によっては業務の進め方の見直しや、組織体制を変更することによって解決する場合もあるので、柔軟な発想で向き合ってみましょう。

RFPを作成する

RFPを作るときは、盛り込むべき内容をしっかり押さえておく必要があります。特に形式はありませんが、主な項目としては次の点が挙げられます。 RFPに盛り込んでおきたい主な項目 ・システム開発が必要となった背景 ・自社が抱える主な課題と開発目的 ・目標および成果 ・費用、スケジュール(納期) ・ターゲット ・提案依頼の範囲 ・実現したい機能に関する要求 ・運用保守に関する要求 ・教育研修に関する要求 ・納品物一覧および納品サンプルの明示について ・制約事項やリスクについて ・ベンダー側の体制について ・自社の体制について ・自社の情報(基本情報・組織図・事業概要など) 上記のような項目をRFPに盛り込みつつ、必要に応じて項目を追加してみましょう。外注先とコミュニケーションを取りながら、分かりやすいRFPに仕上げていくのが大切です。

外注先選定の評価基準を決める

自社の目的や要望を叶えてくれる外注先を選ぶための評価基準を設定します。目的や要望に一致する評価基準の項目を設定して点数方式にすると、複数社の比較がしやすいでしょう。評価基準があいまいなまま選考を始めてしまうと、権限を持つ人の意見が採用されやすくなってしまい、本当に必要な開発が行えないリスクがあります。希望通りの開発を進められるように、評価基準は具体的に決めておきましょう。

外注先からの提案を受ける

外注先を選定する際の評価基準が設定できたら、いよいよプレゼンテーションやコンペティションを実施し、外注先を比較していきます。事前に決めた評価基準に沿って選考を進めると公平性が生まれ、自社にとって必要な外注先を決めやすくなります。自社で作成・提出したRFPと、外注先から受け取った見積書を比較して、自社が求めているものに近い開発が行える外注先を選定しましょう。

外注先の決定と開発スタート

依頼する外注先が決定したら、契約を締結して実際に着手してもらいます。必要に応じて関係各所と調整を行い、意思伝達や要件定義の共有を十分に行ってから構築に取りかかってもらうと、認識のズレが生じにくく要望通りのものが作られやすくなるでしょう。外注先を決めた後、さらに詳細を伝えて擦り合わせを行いたい場合は、ミーティングの場をセッティングするのも一つの手です。

RFPを上手に作成するポイント

RFPをうまく作るには、次の4つのポイントを踏まえておくが大切です。それぞれのポイントをきちんと理解しておきましょう。

 

RFPを上手に作成する4つのポイント

・システム化の背景や導入目的を明確に伝える

・システムに期待していることを過不足なく伝える

・追加要求ができるだけ発生しないようにする

・RFPのテンプレを利用する

 

システム化の背景や導入目的を明確に伝える

PFPを作るときは、導入する背景や目的を外注先にきちんと伝えるのが大切です。たとえば、新しいものを導入する理由として挙げられるのが「既存システムの老朽化」ですが、すべてのものをただ刷新すれば良いというわけではありません。 自社が抱えている課題が何かを明示し、その解決のためにどのような機能が必要であるかを精査して、RFPとしてまとめてみましょう。

システムに期待していることを過不足なく伝える

新たに導入するものについて期待している内容は、RFPに盛り込む必要があります。ただし、過度な期待をするあまり、現実的ではない要件を記載するのは避けたほうが無難です。 場合によっては、費用が大きく増加する原因にもなってしまうので、自社として本当に実現したい内容を整理する必要があります。考えている要求が、構築において実現可能であるかを事前の問い合わせや打ち合わせなどでよく確認しておきましょう。

追加要求ができるだけ発生しないようにする

RFPに記述していない要求を後から加えるのは避ける必要があります。なぜなら、予算や納期に支障が出る恐れがあるからです。 RFPに載せていない内容を後からお願いする場合、外注先からの修正案や費用の見直しを待つ必要があり、スケジュールや予算に大きな影響が出るケースもあります。RFPを外注先に提出するときは、社内で内容に問題がないかを十分に検討しておく必要があるでしょう。

RFPのテンプレを利用する

イメージ通りの開発を進めるために必要不可欠なRFPですが、ゼロから作るのは時間がかかるため、過去の資料やテンプレートなどを活用するのがおすすめです。型に合わせて作ると、効率的に必要な内容を記載していけます。自社で過去に作った資料でなくとも、近年はネット上でも無料でRFPのテンプレートが配布されています。テンプレートを利用してRFPを作る場合、自社に必要な要件が必ず入っているわけではないため、必要に応じて伝えておきたい要件を追加しましょう。

https://depart-inc.com/blog/rfp-sample/

まとめ

自社が抱える課題の解決のために、RFPをるときは目的や予算、求める機能などを明確にしておく必要があります。外注先との間で認識にズレが生じていると、費用やスケジュールに大きな変更が生じ、後からトラブルが起こる原因にもなりかねません。

発注側と外注先の双方で、円滑に開発を進めるために、RFPを通じてしっかりとコミュニケーションを取るが大切です。RFPに盛り込むべき項目などをよく確認したうえで、事前の打ち合わせを納得がいくまで行ってみましょう。

 

 

Webマーケティング、Web制作に関することなら
お気軽にご相談ください