Webサイトの情報設計(IA)とは|ユーザーが迷わずAIにも強い「構造」のためのサイトマップ・ワイヤーフレーム作成の手順と基本の型

公開日 2026.03.04
監修者 板鼻 祐治

目次

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Webサイト制作の根幹を支える「情報設計(IA)」。その役割と、具体的な作成の手順についてまとめました。 ユーザーが直感的に情報を探せる構造や、AIにとっても理解しやすい論理的な設計とはどのようなものか。 サイトマップやワイヤーフレーム作成といった基本のステップに沿って、情報の分類やラベリングのコツなど、実務で意識したいポイントを整理していきます。

この記事でわかること

Webサイトの成果を左右する「情報設計(IA)」について、以下のポイントを凝縮して解説します。

  • 情報設計(IA)の正体:デザインやUIとの決定的な違いと、なぜ「情報の建築」が必要なのか

  • 「迷わせない」構造の作り方:サイトマップ作成からラベリング(名前付け)まで、ユーザー心理に基づいた手順

  • AI・SEOに強い設計:人間だけでなく、検索エンジンや生成AIにとっても「理解しやすい」論理構造の秘訣

  • 実務で使えるフレームワーク:人間中心設計(HCD)やカードソーティングなど、プロが現場で使う思考ツール

  • 媒体別の最適解:コーポレートサイト、LP、アプリで異なる設計の「型」

「何となく」で進めがちなサイト構成を、根拠のある「戦略的な設計図」へとアップデートするためのガイドとしてご活用ください。

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Webサイトの情報設計(IA)とは?その意味と目的を再定義する

Web業界で頻繁に耳にする「情報設計」という言葉。英語では「Information Architecture(IA)」と呼ばれ、直訳すると「情報の建築」という意味を持ちます。

情報設計とは何か

Web制作における情報設計とは、Webサイト内に存在する膨大な情報を整理・分類し、ユーザーが求める情報へスムーズに辿り着けるように「情報の構造」を組み立てることを指します。

優れたWebサイトには、例外なく緻密な情報設計が存在します。逆に、デザインがどれほど優れていても、情報設計が疎かであれば、ユーザーは「何がどこにあるか分からない」というストレスを感じ、すぐにサイトを離脱してしまいます。

情報設計の目的:UX向上とマーケティング成果の両立

情報設計の最大の目的は、UX(ユーザー体験)の最適化です。ユーザーがストレスなく目的を達成できる(=情報を探せる)環境を整えることは、Webサイトへの信頼感に直結します。

また、ビジネス視点で見れば、情報設計は強力なマーケティングツールでもあります。ユーザーを特定の行動(お問い合わせや商品の購入、LPへの誘導など)へ導くための「動線」を設計することは、Webサイトの成果(CVR)を最大化するために不可欠なプロセスなのです。

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項目

内容

定義

情報の分類・整理・構造化を行い、使いやすさを実現するスキル

対象

Webサイト、アプリ、業務システムなどのデジタルコンテンツ全般

主な成果物

サイトマップ、ワイヤーフレーム、ラベル定義書

関連領域

UIデザイン、UXデザイン、マーケティング、SEO

このように、情報設計は単なる「整理整頓」ではなく、ユーザーの心理を読み解き、ビジネスの目標へと繋げるための「戦略的な設計図」作りであると言えます。

デザインやUIと何が違う?「情報設計(IA)」の役割

よく混同されがちな言葉に「デザイン」や「UI(ユーザーインターフェース)」がありますが、情報設計とはそれぞれ役割が異なります。

デザイン・UI/UXの関係性

デザイン 情報設計とは、いわば「建物の構造」と「内装」の関係に似ています。

  • 情報設計(IA): 建物の間取りや、どこに階段を置くかといった「骨組み」の設計

  • UI(ユーザーインターフェース): 実際にユーザーが触れるボタンの形や色、操作感といった「表面」の設計

  • UX(ユーザー体験): その建物に住んで(サイトを使って)感じた満足度や使い心地。

つまり、UI/UXという広義の体験を支えている土台が「情報設計」なのです。

情報設計者が担う3つの「情報」要素

情報設計の父と呼ばれるリチャード・ソール・ワーマンは、情報を理解しやすくするための概念を提唱しました。現代の情報設計者が意識すべき要素は、大きく分けて以下の3点に集約されます。

  1. 組織化(情報の分類方法): 情報をどうグループ分けするか。

  2. ラベリング(名前付け): そのグループにどんな名前を付けて直感的に伝えるか。

  3. ナビゲーション(移動手段): ユーザーがどうやってページ間を移動するか。

これらの要素が組み合わさることで、初めて「伝わるWebサイト」が完成します。株式会社デパートでは、これらを「人間中心設計(HCD)」のプロセスに則って進めることで、主観に頼らないな情報設計を実現しています。

なぜ今、情報設計(IA)のスキルが求められているのか

近年、Webサイトに求められる役割はかつてないほど複雑化しています。それに伴い、情報設計の重要性も高まっています。

AI時代における「マシンリーダビリティ」の向上

これからのWeb制作において無視できないのが、検索エンジンや生成AIに対する「情報の伝えやすさ」です。

情報設計とは Webサイトの論理構造を明確にすることであり、それはAIにとっても内容を正確に把握しやすい構造(マシンリーダビリティ)を構築することと同義です。論理的なサイトマップと適切な構造を持つサイトは、SEOの観点からも非常に有利に働きます。

アプリやマルチデバイスへの対応

現代のユーザーは、PCだけでなくアプリやモバイルデバイスなど、多様な環境からWebサイトにアクセスします。

どのような画面サイズであっても、情報の優先順位が崩れず、目的の機能に辿り着けるようにするためには、レイアウトを決める前の段階での「抽象度の高い情報設計」が欠かせません。

専門職としての「情報設計」の価値

最近では、エンジニアやデザイナーとは別に、専門の「情報設計者」という役割が注目されるほど、このスキルの市場価値は高まっています。複雑な情報を整理し、誰にとっても分かりやすい図やワークフローに落とし込む力は、あらゆるデジタルビジネスの現場で求められる「汎用的な知性」と言えるでしょう。

情報設計を支える「人間中心設計(HCD)」の考え方

情報設計を行う上で大切にしてほしいのが「人間中心」という視点です。これは、作り手の都合ではなく、徹底的に「使う人(ユーザー)」の立場に立って設計をするという思想です。

人間中心設計(HCD)の基本サイクル

情報設計に人間中心設計(HCD)を取り入れる場合、以下のようなサイクルを意識します。

  1. 理解・特定: ユーザーが誰で、何に困っているかを調査する。

  2. 要件の明確化: サイトが満たすべき機能や情報を整理する(要件定義)。

  3. 設計(デザイン): 情報を構造化し、目に見える形にする。

  4. 評価: 実際にユーザーに使ってもらい、使いにくい箇所を修正する。

ユーザーの「メンタルモデル」を理解する

人間は、過去の経験から「こういうサイトなら、メニューはここにあるはずだ」という予測(メンタルモデル)を持っています。

この予測を裏切らない設計こそが、最も「ストレスのない設計」です。独自のフレームワークや奇抜なレイアウトを追い求める前に、まずは「一般的なユーザーの期待」に応える基本を徹底することが、成功への近道です。

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視点

作り手都合の設計(非推奨)

人間中心の設計(推奨)

分類基準

会社の組織図や製品カテゴリ

ユーザーの悩みや利用シーン

言葉選び

専門用語や独自の英語表現

誰でも一瞬で理解できる日常語

ナビゲーション

全ページを同列に並べる

優先順位に基づき、次への誘導を置く

情報設計の実践プロセス:情報の棚卸しから「サイトマップ」作成まで

情報設計の具体的な手順において、最初に行うべきは「何を載せるか」の整理、すなわち要件定義と情報の棚卸しです。この工程を疎かにすると、後のデザイン工程で必ず手戻りが発生します。

Step 1:コンテンツの抽出と「要件定義」

まずは、サイトに必要な要素をすべて洗い出します。これを01のフェーズと位置づけ、既存サイトがある場合は全ページのURLをリストアップし、新規の場合は競合サイトを参考に必要な機能を抽出します。

  • 情報の洗い出し: サービス紹介、事例、会社概要、採用情報、LP、FAQなど。

  • 要件の整理: その情報は「誰の」「どんな目的」のために必要なのかを明確にします。

Step 2:グルーピングと階層化(情報の親子関係)

バラバラに書き出した情報を、関連性の高いもの同士でまとめていきます。ここで意識すべきは、前述した「ツリー構造」の構築です。

  1. 大カテゴリ(親): ユーザーが最初に探す「大きな看板」。

  2. 中カテゴリ(子): 詳細な情報を分類する「仕切り」。

  3. 小カテゴリ(孫): 具体的なコンテンツ(記事や商品詳細)。

この構造を可視化したものがサイトマップです。サイトマップは、Webサイトの全体像を俯瞰するための最も重要な図となります。

Step 3:ラベリング(名前付け)の最適化

グループ化した情報のまとまりに、名前を付けていきます。この「名前付け」ひとつで、ユーザーの回遊率は劇的に変わります

  • 直感的な言葉選び: ユーザーが検索時に入力するような、一般的で馴染みのある言葉を選びます。

  • 一貫性の確保: サイト全体で言葉のトーンを統一します(例:「お問い合わせ」と「コンタクト」を混ぜない)。

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良いラベルの条件

理由

予測可能性

クリックした後に何が表示されるか想像できること

差別化

隣り合うメニューとの違いが明確であること

簡潔性

一瞬で視認できる文字数であること

ワイヤーフレームへの落とし込みと「レイアウト」の論理

サイトマップで「情報の地図」ができたら、次は各ページの「設計図」であるワイヤーフレームの作成に移ります。ここでは、情報設計をレイアウトという具体的な形に変換していきます。

情報の優先順位(プライオリティ)を決める

ワイヤーフレーム作成で最も重要なのは、情報の配置場所(高さ)です。人間は一般的に、画面を「F字」や「Z字」の軌道で視認します。

  • 最上部(ファーストビュー): 最も伝えたい価値、あるいは最も多い検索意図への回答。

  • 中央部: 信頼性を裏付ける根拠や、詳細な情報。

  • 下部(フッター付近): 次に取るべきアクション(CVボタンや関連リンク)。

モジュール化と再利用性

現代のweb制作では、ページをゼロから作るのではなく、共通のパーツ(モジュール)を組み合わせて構築する手法が一般的です。

情報設計の段階で、「このお知らせ一覧は全ページ共通のモジュールにする」といった設計をすることで、エンジニアの実装負荷を下げ、運用の効率化を図ることができます。

「人間」と「AI」の両方に伝える構造化の技術

人間にとって使いやすいウェブサイトは、実は検索エンジン(AI)にとっても非常に「読み取りやすい」という性質を持っています。

階層構造とパンくずリスト

情報設計とは webの文脈では、ディレクトリ構造(URLの階層)を論理的に保つことを意味します。

「トップ > サービス > 個別サービス」という階層が明確であれば、検索エンジンはそのサイトの専門性を正しく理解できます。また、これをユーザーに視覚的に伝える「パンくずリスト」の設置は、UX向上とSEO対策の両面で不可欠な要素です。

意味のあるマークアップへの橋渡し

情報設計者が作成するワイヤーフレームや仕様書には、その情報が「見出し(H1, H2)」なのか「本文」なのかという、情報の「意味(セマンティクス)」が含まれている必要があります。

このアウトプットが正確であればあるほど、コーディング段階で正しいHTMLタグが使用され、結果としてAIが情報を正確に抽出できる、質の高いサイトが完成します。

Webサイト・アプリ・LPそれぞれの情報設計の違い

情報設計の手法は共通していますが、媒体の目的によって最適解は異なります。

  • Webサイト(コーポレート・メディア):

    網羅性と探しやすさが重要。多層的なツリー構造をいかに整理するかが鍵。

  • LP(ランディングページ):

    「探させる」のではなく「読ませる」設計。上から下へのストーリー構成(縦の動線)に特化し、離脱を最小限に抑える構造。

  • アプリ:

    「閲覧」よりも「操作(タスク完了)」が目的。親指の届く範囲のレイアウトや、状態遷移の設計が重要。

どの媒体であっても、知識 データに基づき、ユーザーの心理的な無理や非効率を取り除くことが、設計者の仕事です。

情報設計を加速させるフレームワークと「思考のツール」

効率的かつ客観的な情報設計とは、個人のセンスに頼るのではなく、確立されたフレームワークを使いこなすことでもあります。ここでは、実務で頻繁に活用される手法を紹介します。

カードソーティング(情報の分類法)

ユーザーが情報をどうグループ分けするかを調査する手法です。

コンテンツを書き出したカードを、ユーザー(またはターゲットに近い属性の人)に自由に分類してもらいます。

  • オープン・カードソーティング: カテゴリ名もユーザーに決めてもらう。

  • クローズド・カードソーティング: 決められたカテゴリの中にカードを振り分けてもらう。

    これにより、作り手の思い込みを排除し、ユーザーのメンタルモデルに即した構造を導き出すことができます。

5W1Hによる要件の深掘り

設計のプロセスにおいて、情報の「目的」を見失わないために以下の項目を整理します。

  • Who(誰が): ターゲット(ペルソナ)は誰か。

  • Why(なぜ): その情報はなぜ必要なのか。

  • When(いつ): 検討のどの段階で必要になるのか。

  • Where(どこで): スマホか、PCか、あるいは移動中か。

  • What(何を): 具体的な情報の中身。

  • How(どのように): どのように見せるのが最適か(テキスト、動画、図)。

5つの段階モデル(Jesse James Garrett)

UXデザインの有名な概念ですが、情報設計はこの中の「構造」と「骨格」に位置づけられます。

  1. 戦略: ユーザーニーズとビジネス目標

  2. 要件: 機能やコンテンツの内容

  3. 構造: IA、インタラクション設計

  4. 骨格: ワイヤーフレーム、情報の優先順位

  5. 表層: 視覚的なデザイン

このモデルを理解しておくと、今自分が「仕事のどの段階の設計をしているのか」を迷わずに進めることができます。

現場でぶつかる「情報設計」の疑問(Q&A)

実務で情報設計をする際によくある疑問を、Q&A形式でまとめました。

Q1. 情報設計と「ライティング」はどちらが先ですか?

A. 理想は「同時並行」または「設計が先」です。

具体的な文章がなくても、その場所で「何を伝えるべきか(情報の役割)」が決まっていなければ、ワイヤーフレームのレイアウトは決まりません。設計段階で「ここではユーザーの不安を払拭する英語表記の補足を入れる」といった方針を定めておくことが、質の高いアウトプットに繋がります。

Q2. サイトマップが複雑になりすぎて整理できません。

A. 「3クリックの法則」に縛られすぎず、情報の「親和性」を優先してください。

無理に階層を浅くしようとして、トップページにリンクが並びすぎると、かえってUXを損なうことがあります。ユーザーが迷わないための「適切な目印(ラベリング)」があれば、多少階層が深くても問題ありません。

Q3. AI(マシン)に強い構造にするための秘訣は?

A. 「論理的な一貫性」を持たせることです。

カテゴリ名と、その下のコンテンツ内容に乖離がないようにしましょう。また、URLの構造を意味のある文字列にしたり、サイト内検索機能を充実させたりすることも、AIのインデックス能力(知識 データの収集効率)を高めることに繋がります。

Q4. 独学で情報設計のスキルを身につけるには?

A. 優れたサイトの「逆サイトマップ」を作ってみるのが一番の近道です。

自分が使いやすいと感じるウェブサイトをキャプチャし、その図や構造を分解して書き出してみましょう。なぜその位置にそのメニューがあるのかを言語化する訓練は、非常に強力なトレーニングになります。

まとめ:情報設計は「伝わる」のための土台

ここまで、Webサイトの情報設計(IA)の基本から具体的なプロセスまでを詳しく解説してきました。

情報設計とは、決して難しい英語や専門用語を並べることではありません。「訪れる人が、最小限の努力で、最大限の満足を得られるように整える」という、非常に実直な作業です。

  1. ターゲットを深く知り、その期待を裏切らない構造を作る。

  2. サイトマップとワイヤーフレームで、情報の優先順位を可視化する。

  3. 人間に使いやすく設計することで、結果としてAIにも強いサイトを作る。

このステップを一つずつ丁寧に進めることで、あなたのWebサイトは単なる「情報の集まり」から、成果を生み出す「強力な武器」へと変わるはずです。

株式会社デパートでは、情報設計から構築、運用保守までご相談可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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