Blog
顧客分析とは?実施するメリットと5つの手法を解説
顧客分析とは
「顧客分析」とは、その名の通り、自社の顧客の属性や購買履歴などをもとに分析を行うことを指します。現在は購入経路や情報収集の方法が多様化しており、顧客の動きも目まぐるしく変化していく時代です。
そのため、定期的な顧客分析を行い、自社のマーケティング施策がきちんと機能しているかどうかをチェックする必要があるのです。また、顧客分析を素早く行えば、競合他社との差別化も図りやすくなります。
顧客分析では、主に次のような項目を対象に行います。
・顧客の属性(居住エリア、年齢・性別、所得、家族構成など) ・行動履歴(情報収集の方法、自社との接点の生まれ方) ・購買履歴、購買プロセス ・顧客の趣味嗜好 ・顧客の課題・ニーズ ・利用者の満足度 |
多様な角度から顧客の理解を深めることで、マーケティング戦略にはさまざまな効果が生まれるのです。
顧客分析を行うメリット
顧客分析を行うメリットには、大きく分けて3つのポイントがあります。ここでは、それぞれの内容について解説します。
マーケティング戦略のブラッシュアップに活用できる
顧客分析では顧客の性質や状態を把握するだけでなく、現在抱えている課題やニーズなども深く理解することができます。「顧客に何を求められているのか」がハッキリと描けるようになるため、マーケティング戦略の精度を高められるのが大きなメリットです。
また、分析によって各マーケティング施策の期待度も明らかになるため、予算を効率的に配分することも可能となります。たとえば、リピーターになりやすい顧客属性が明確になっていれば、メルマガ配信やキャンペーンの実施などで、その層へのアプローチを重点的に行うのが効果的です。
このように、戦略全体としてのコストパフォーマンスが向上するため、より効率的に認知拡大や顧客の獲得が行えるようになるのです。
施策の効果測定ができる
顧客分析を行うもう1つのメリットは、現在行っているマーケティング施策や営業施策の効果を測定できる点にあります。たとえば、「大々的にWeb広告を出しているにもかかわらず思うような流入数が得られていない」など、施策の客観的な成果がリサーチすることができます。
この場合、同じ労力やコストをかけるならSEO対策に注力すべきであるなど、状況に合わせて柔軟な判断が可能です。客観的な数値に基づく判断であるため、チーム全体からの理解も得やすくなるでしょう。
商品・サービスの改良に役立つ
顧客の隠されたニーズや悩みを理解すれば、商品・サービスの改善・開発にも直接的に役立てることができます。いち早くニーズの変化をつかむことで、競合他社の製品との差別化が図れるため、ブランディングの向上につながるのです。
そのため、顧客分析の結果はマーケティング部門や営業部門だけでなく、開発・研究部門とも共有するとより大きな価値を生み出します。
顧客分析の代表的な手法
顧客分析にはさまざまな手法があり、どのようなアプローチをするかによって得られる結果も異なります。ここでは、顧客分析の代表的な手法を5つご紹介します。
RFM分析
RFM分析とは、顧客を次の3種類の指標でグループ分けし、売り上げ貢献度の高い層を抽出する手法です。
・Recency(直近購入日):直近であるほどスコアが高くなる ・Frequency(購入頻度):頻度が多いほどスコアが高くなる ・Monetary(購入金額):金額が多いほどスコアが高くなる |
それぞれのスコアが高いほど、売上アップへの貢献度も高い顧客となります。一方、すべてのスコアが低い顧客は、マーケティングにおける優先度は低いと考えることができます。
そのうえで、RFM分析では、これらの要素をもとに顧客を次の4種類に分類します。
・優良層 ・見込み層 ・新規層 ・離反層 |
たとえば、購入金額は高いものの直近での購入が見られない場合、他社やほかのサービスに顧客を奪われている可能性があります。こうした理由によって離反層に分類された顧客がいれば、その原因を特定したり、新規層や見込み層へのアプローチにシフトしたりなどの次の手が打てるようになるでしょう。
デシル分析
「デシル」はラテン語で「10等分」という意味を持つ言葉です。デシル分析では、顧客を売上貢献度の高い順に10のグループに分類し、各グループの特徴を洗い出します。
たとえば、1,000人の顧客を対象に行う場合は、購入金額が多い順に100人ずつのグループを10個作ります。そして、各グループの合計金額から、売上全体における比率や貢献度などを分析するのが基本の手順です。
ただし、デシル分析では「購入金額は高いもののここのところは取引がない」といった顧客が上位に組み込まれてしまうため、必ずしも上位グループが優良層であるとは限りません。そのため、時間軸が読み取れるRFM分析と併用するのがおすすめです。
セグメンテーション分析
「セグメンテーション分析」とは、顧客を属性やニーズ、購入履歴などでセグメント(細分化)し、既存顧客の共通項を洗い出す分析手法です。項目は知りたい情報に合わせて設定し、年代や居住地、性別などでセグメントする場合もあれば、職種や年収、勤務先などでグループ分けするケースもあります。
このように、購入に関するもの以外のデータもグルーピングの基準に用いるのがセグメンテーション分析の大きな特徴です。類似性の高い顧客をグルーピングしていけば、新規顧客としてどのようなターゲットを狙っていくべきかが明らかになります。
また、累計購入金額が多い顧客の共通項を洗い出せば、どのような商品や施策が効果を生み出しているのかを知ることもできるでしょう。
行動トレンド分析
「行動トレンド分析」は、時期による売上の違いに着目する分析手法です。たとえば、「〇〇の共通点を持つ顧客層は冬の利用が多い」「ゴールデンウィークの利用は独身世帯よりも家族世帯のほうが多い」など、シーズンごとの特徴を分析するのが目的です。
分析結果はキャンペーンを打つタイミングや、フォローアップの優先度などを見極めるのに役立ちます。通年で売上に変動のない商品・サービスにはあまり向いていませんが、アパレルなどの季節変動がある業種では活躍の場面が広いといえます。
また、時間帯や曜日によって分析対象を分ければ、一般的な小売業でも結果を大いに役立てることが可能です。
LTV分析
「LTV分析」とは、Life Time Value(顧客生涯価値)を分析に用いる手法です。顧客により支払われたトータル金額をベースにして利益を算出し、自社への貢献度が高い顧客をメインに分析することで、優良顧客の発見やフォローすべき顧客層の抽出が行えます。
また、過去の分析結果と比較をすることで、現状の問題点に気づくケースも少なくありません。LTVが低下している場合、特に新規顧客の獲得に注力しているわけでなければ、優良顧客が離れる何らかの現象が起こっていると考えられます。
反対に、LTVが急上昇している場合、優良客の購入額が増えている可能性がある一方で、購入額や購入頻度の低い顧客が離脱しているという問題点が隠されていることもあります。LTV分析で問題点を発見されたときには、その他の分析手法も組み合わせて原因を特定し、できるだけ早く対策を講じることが大切です。