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Web制作会社がリモートワークについて考える

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Web制作会社がリモートワークについて考える

Web制作会社である株式会社デパート(弊社)は、2020年4月1日より完全リモートワークとなり、2021年12月の時点で1年8カ月間が経過しました。現在では問題なくビジネスを操縦できる体制の構築に成功しています。 そこで当記事では、弊社が実践してきたリモートワークの経験をもとに、リモートワークという働き方について、個人的に考えていることを書いてみます。
Web制作会社がリモートワークについて考える

ワークスタイル(働き方)についての根本的なこと

ワークスタイル(働き方)についての根本的なこと

個人的には、ワークスタイル(働き方)については、働く個人が選べる選択肢が多ければ多いほど良いと考えています。

また、企業としても、個人の事情に応じた働き方を提供することで、就業機会の拡大や、生産性の向上を実現しないと生き残ることはできないと思っています。

 

 

ワークスタイル(働き方)とは、会社側とメンバーとの落としどころ

そこで、現実はどうなのか?というところですが、会社とは、ミッションを達成するためにメンバーを集めて活動する組織ですが、働くメンバー側とメンバーを雇用する会社側は労使関係にあることから、考えや望んでいることに違いが出てくることは避けられません。

個人がワークスタイルについて考えていること

ワークスタイルについて個人が考えていることは、一言で表すと「自身の幸福」でよいと思います。例えば安定した収入が欲しい・やりたい仕事をしたい・キャリアを形成したい・働きやすさを優先したい・残業はしたくない等さまざまな意見があってよいと思います。

会社がワークスタイルについて考えていること

会社組織がワークスタイルを考えるにあたって優先するのは、会社として定めた「ミッションに対して最適であるかどうか」です。

 

当然会社としてミッションが実現できるように、メンバーに環境を作ることを考えています。

個人と会社が考えていることを総合すると、個人の幸福を実現しつつも、ミッションの実現から遠ざかることなく、運営することが難しいと感じます。ワークスタイル(働き方)の決定は、両者の相反する利害を埋めて、落としどころを決めることであると言えます。

 

リモートワーク実施においても根本は同じで、会社側の都合だけを優先すると離脱を招き、個人を尊重し過ぎると組織を統制できなくなることが難しいのです。

 

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デパート社においても同様の課題は存在します移動時間等が削減されて働きやすさが増し、リモートワーク下においても自社が求めるミッションの実現に向かったワークスタイルを提供できていると感じていますが、一部、現場で働いているメンバーを見ていると気になる部分もあります。

 

そこで今回は、もう少し考えてみようと思います。

【リモートワーク】会社で働くメンバーとしてのメリット・デメリット

【リモートワーク】会社で働くメンバーとしてのメリット・デメリット

上述の通り、ワークスタイルに関しては会社側とメンバーで視点が異なるため、リモートワーク実施時においても両者の視点から落としどころを決める必要があります。

ここでは、リモートワーク実施下の会社で働くメンバーのメリット・デメリットについて書いてみます。

 

 

メリット

・移動時間の削減

自宅で働くリモートワークはオフィスへ出勤する必要が無いため、通勤に係る時間・労力・ストレスを大幅に削減することができます。

特に、自宅とオフィスの距離が離れている方、都市部の満員電車で疲弊していた方にとっては、リモートワーク化で移動時間が削減されるメリットは非常に大きいでしょう。

移動時間が削減されることにより、心身ともにゆとりを持った働き方や時間の有効活用も可能となります。

・居住地域に影響されず働ける

リモートワークでは、インターネット通信環境とデバイスがあればどこでも働くことができます。

例えばUターン・Iターンを希望するメンバーも転勤・転職をすることなく現在の働き方を継続できますし、同じ地域での暮らしを継続しながら他の地域に就業することもできます。海外でリモートワークを行うことも可能です。

・働き方の選択肢が増える

出勤が義務付けられないリモートワークでは、次のような多様で柔軟な働き方も可能となります。

 

・育児との両立

・介護との両立

・時短勤務

・フレックス勤務

・病気や障がいを抱えての勤務

 

事情があってオフィスに出勤する働き方が難しい方も、リモートワークにより活躍できるシーンが増えることがメリットです。特に、弊社のようなIT・Web系の会社であれば、働き方の選択肢・自由度もより高めることができます。

 

デメリット

・居住空間の分離

リモートワークでは、メンバー個人がインターネット回線・デバイスを用意するだけでなく、集中して仕事を行える環境を整える必要があります。

生活空間と切り分けた空間でないと生活音により集中できなかったり生産性が低下したりする場合があるため、居住空間の一角をリモートワーク専用として確保する必要がある場合もあるでしょう。

・状況によりコミュニケーションコストが増加

近年ではビデオ会議・チャットツールといったリモートワークを支援するソリューションが普及しており、リモートワークでも、オフィスワークに近しいレベルでのコミュニケーションができます。

それでも、オンラインでは、細かなニュアンスを伝えづらかったりするため、それを補うための準備などにより、コミュニケーションコストが増加する場合もあることがデメリットです。

「メモの手渡しやホワイトボードへの記載だけで伝達することができたシーンでも、都度デジタル化しなければならない点」などが、具体的なシーンかと思います。

もしリモートワークでコミュニケーションコストが増加するシーンが見られたら、システムの導入や、ルール化によりデメリットを払拭する工夫がが必要です。

・偶発的な気付きの減少

ここで言う偶発的な気付きとは、周囲との関わり・たまたま目にした仕事の様子・休憩中の雑談などをきっかけに、ビジネス・仕事の課題解決やアイディアに気付くことを言います。

オフィスに出勤していると、偶発的な気付きに繋がるメンバーの接点や関わりの機会がたくさんあります。直接関係のないプロジェクトで実施している施策を、たまたま耳にして、自部門に取り入れる。といった事は、オフライン特有のものであり、オンラインでは明確な共有機会がなければ発生しづらい感じています。

・FBのタイミング問題

偶発的な気づきの減少にもつながりますが、接点がオンライン上に限定されると、教育担当や上司が依頼や指示を出したあと、次の接点は何かしらの成果物(アウトプット)で見ることになると思います。隣のデスクで作業していれば、適宜指摘がもらえた可能性のある効率化すべき点、進め方の齟齬といったプロセス上の問題点について指摘を受ける機会は存在しません。

 

※弊社でも、経験の少ないメンバーと、クライアントのコミュニケーションに齟齬があった際、指示を出していた私は、その後のアウトプットを見たタイミングでしか気づくことができず、再説明や作り直しが発生した事例がありました。

もちろん、オフィスでも同じことは発生するのですが、オンラインにおける仕組みができるまで、このような齟齬の発生率は一時的に上昇していました。

 

仮に中間成果物を確認するなどのルール化したとしても、このFBを得る機会は少なくなるのではないかと感じます。

これが続くと、全体として進捗過程での学びや修正を行う機会が乏しくなり成長速度が遅くなると考えており、それはメンバーにとってデメリットでしょう。

【リモートワーク】会社側のメリット・デメリット

【リモートワーク】会社側のメリット・デメリット

リモートワークは、会社を経営する視点から見ても、環境・コスト・業務フロー・事業戦略・人事戦略などさまざまな点においてリアルで運営する場合と違いがあります。

ここでは、リモートワークの会社側から見たメリット・デメリットについて解説します。

 

 

メリット

・移動コストの削減

リモートワークでは、メンバーの通勤・移動等が不要となり、通勤手当・フィールドワークの交通費・出張費といった移動コストを削減できます。また、直接発生する交通費や各種手当だけでなく、移動時間短縮により無駄な人件費をカットすることも可能です。

リモートワークは単に移動コストの削減だけに着目されがちですが、実際には業務効率化・生産性向上・内部コスト全体の削減といった幅広い効果が期待でき、経営上大きなメリットとなります。

・オフィス費用の削減

メンバーのリモートワーク比率が高れば、広々としたオフィスは不要となるため、オフィスのミニマル化(省スペース化)やオフィス撤廃によりオフィス費用を削減できます。

これにより資金に余力ができれば、広告宣伝費・新規事業への投資・人材採用といった、会社の成長や組織力強化に使える資金を増やすことができるかもしれません。

・地域を選ばない採用

地域の制限を受けないリモートワークは、オフィス近郊への移動・転居が難しい遠方の方からオフィスへの通勤が難しい方も採用候補とできることがメリットです。従来型の採用に比べると、単純に採用機会を大幅に増やすことができるだけでなく、優秀な人材を確保できる可能性も高められます。

会社を成長・存続するためには、人材を確保し続ける必要があります。リモートワーク導入による採用の合理化・効率化は、人手不足に悩む企業から戦力強化を図りたい企業まで、人材を欲するあらゆる企業にとってメリットと言えるでしょう。

 

デメリット

・帰属意識の減退

所属会社に対する帰属意識は、同じ空間の共有やリアルなコミュニケーションにより醸成されるため、リモートワーク化では減退しやすいことがデメリットです。

現にリモートワークを実践している企業の多くが、社内メンバーの会社への帰属意識低下を感じている傾向にあります。

帰属意識の低下は、メンバーのパフォーマンス・組織力・生産性を低下させる恐れがあります。会社としてはオンラインでも帰属意識を醸成できる工夫をしたいものです。

実務に関するコミュニケーションだけではなく、オンライン雑談・オンライン社内イベント・オンライン飲み会・オンラインスキルアップセミナー・リモート社食など、社内メンバーが喜ぶ施策を実施することで、リモートワーク下での帰属意識向上に成功している事例もあります。

・状況によりコミュニケーションコストが増加

リモートワーク化によるコミュニケーションコストの増加は、メンバーだけでなく、管理する会社にとっても大きな問題です。会社側の視点から見ると、次のような状況化でリモートワークを推進すると、コミュニケーションコストが増加する可能性があります。

 

・リモートワークに必要なツール類に対するリテラシーが低いメンバーが多い場合

・テキストベースのコミュニケーションスキルに乏しいメンバーが多い場合

このような要因があると、スムーズなコミュニケーションが阻害され、ビジネスの推進に欠かせないプロジェクト管理・タスク管理・勤怠管理・マネジメント・チームビルディング等に要する時間と労力も増します。

コミュニケーションコストの増加が懸念される場合には、段階的にリモートワーク化を推進したり、メンバーのスキルやリテラシーの底上げといった対策が必要です。

・偶発的な気付きの減少

リモートワーク環境下では、リアルな場での交流・対話のような新鮮な刺激・強いインパクトを受けることもありません。また、ある程度仕組みが整ったリモートワーク環境下では、コミュニケーションのパターンが固定化されてしまい、ディスカッションを行っても新しいアイディアが出にくくなります。

そのため、リモートワーク化では、ビジネスを大きく飛躍させるようなイノベーションが起こりにくくなります。会社は存続していくためにビジネスを成長させ続けなければならないため、イノベーションが起こらないことはデメリットと言えるでしょう。

 

実際に、イノベーション発生率の低下を懸念して、リモートワークのあり方について再検討している企業も見受けられます。

 

両者にとってよりよい環境を考えると

両者にとってよりよい環境を考えると

リモートワーク推進にあたって、単純にデメリットよりもメリットの総量が多ければ、良いというわけでは無い点に注意が必要です。

メリット・デメリットの項目並びに各項目の重要度は、会社によっても個人によっても異なるため、単純に比較することはできないためです。

 

例えば、次のようなケースが考えられます。

  • 明らかにリモートワークへ移行した方が合理的でノウハウ・システムも揃っているが、古い企業体質であるたあめ経営陣からの理解が得られない。
  • リモートワークを会社側・メンバー側も望んでいるが、業種業態がそもそもリモートワークに向かず、バックオフィス等一部の部門しか実践できない。
  • 企業価値向上・業務効率化や合理化・コスト削減のためにリモートワークを推進したいが、社内メンバーがリモートワークをあまり望んでいない。

 

このような事情も含めて、企業がリモートワークの実施を検討する際の流れについて個人的意見をまとめます。



会社としての影響範囲とその効果を重みづけ

リモートワークを実施するにあたって、メリットとなりそうなところデメリットになりそうなところを洗い出し、As Is(現在)とTo Be(将来)を設定し、定量評価(点数による評価)を行う。

実行した場合のデメリットが受け入れられる?

デメリットを受け入れられるかを慎重に精査する。

デメリットを相殺するコストの算出

デメリットを補う方法を見いだし、コストを算出する。プラス面に対しマイナス面を打ち消すためのコストが受け入れられるかがポイント。

 

以上の流れでリモートワーク推進の目途が立たない場合は、重みづけの変更・やり直しが必要となります。こうやって、多くの企業で見られるような、週○日というようなリモートワークとオフィスワークの並存を試しながら落としどころを探るのが現実的ではないでしょうか。

まとめ

Web制作会社としてリモートワークを実践している経験から、その是非やメリット・デメリットについての振り返りをご紹介しました。弊社では、業界の特性もありますが、リモートワーク推進によるデメリットはほぼ感じておらず、生産性向上やワークライフバランス向上といったメリットが大きいように感じます。

 

記事内でもご紹介している通り、働くメンバーと会社により、考え方は異なるため、の落としどころや、リモートでもビジネスが上手く回る仕組み作りに注力すれば、社内メンバー・会社側(経営陣)双方に有益なワークスタイルを確立できるのではないでしょうか。

 

ニュース等で言われている一般論とは異なる部分もあるかもですが、今後のリモートワーク実施・継続の可否を検討している方や改善すべき課題を抱えている方の参考になれば幸いです。

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