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Web制作案件成功のカギは「初回ヒアリング」にあり! 失敗の原因と成功のための3つのポイント【テンプレート付き】
フォーカスしたいもの
Web制作案件を進める中で、このような課題に悩むことはないでしょうか?
「最初に掲げたゴールがブレてしまう」
「メンバー同士の作業認識がズレている」
「プロジェクト全体の進行が遅れる」
私自身、Web業界に長く身を置く中で、上記のような課題を抱えてしまうプロジェクトをたくさん見てきました。
そして、一見多岐に渡るこれらのプロジェクト課題は、実はある一つの工程を改善することで、未然に防げると考えています。
その改善すべきフローとは、「初回ヒアリング」です。
初回ヒアリングで最も重要なのは、お客様から依頼の本質を引き出し、会話を重ねながら課題を言語化していくこと。
ですが出会ったばかりのお客様と、いきなりズバッと課題を明確にできるかというと、実はこれが結構難しい・・・
一方で、「初回ヒアリング」で本当の課題を把握できなければ、案件を進めている途中で何度も軌道修正が必要になったり、ヒアリングをしなおしたりする手間が発生してしまいます。
そこで本記事では、実際に弊社が使用しているヒアリングシートもご紹介しながら、初回ヒアリングで意識すべきコミュニケーションのポイントについて、詳しく解説していきます。
Web業界の方に限らず、クライアントワークに従事するさまざまな方に実践していただける内容です。
ぜひ参考にしていただき、プロジェクトや営業の成功に繋げてください!
記事の最後に、ヒアリングシートのテンプレートを用意したので、ダウンロードしてお使いください。
※この記事は、アドビさまのPR企画「みんなの資料作成」に参加しています。
初回ヒアリングが失敗する3つの原因
Web制作における初回ヒアリングでは、お客様の課題や目的のすり合わせを詳細に行なっていく必要があります。しかし、プロジェクトを進める上でお客様から重要な情報を引き出すことができずに、制作をスタートしてしまう場合も見受けられます。
そもそも、初回ヒアリングが上手くいかない理由は何なのでしょうか?
私は主に以下のような原因があると考えています。
原因1.お客様のビジネスに対する事前理解が不足している
ほとんどのお客様はWebサイトを作ることで、何かしらの成果を得ることを期待しています。
その期待に応えるためには、お客様のビジネス課題の芯を捉え、言語化することが最も重要です。
しかし、業務内容や業績をはじめとした基本的なお客様情報、ビジネスの全体像を理解しないままでは、課題を抽出することは不可能です。
初回ヒアリングで得られる情報の質はおのずと低くなり、本当の課題を引き出すような会話はできません。
そのようなやり取りでは、お客様の心が離れてしまうことも考えられます。
そのため私は、「お客様のビジネスに対する事前理解の不足」こそが、初回ヒアリングが上手くいかない最大の原因だと考えています。
原因2. ご依頼の背景や目に見えない価値観をくみ取れていない
初回ヒアリングの中で、いくらWebサイト制作の目的や、ビジネスの課題をすり合わせても、「目に見えない価値観」に対する理解が曖昧なままでは、その初回ヒアリングは失敗です。
そもそもWebサイト制作は、企業や商品のブランドイメージ、社風などの目に見えない価値観を、「Webサイト」という目に見えるものに落とし込むためのもの。
ですがこれらの情報は、目に見えないが故に初回ヒアリングの中で聞くべき項目としては見落とされがちです。
案件としての希望や、大まかな方針が決まっただけで安心してしまい、このように目に見えない価値観や、なぜ自社に発注してくださったのかという、ご依頼の背景をくみ取れないままでは、初回ヒアリングは機能を果たしません。
原因3. 誰が見ても分かる内容で情報を管理・共有出来ていない
初回ヒアリングの内容を、以下のような形で記録していませんか?
・自分だけがわかる形でメモに残す
・オンラインミーティングの録画だけを残す
初回ヒアリングで得た情報は、これからプロジェクトを進めるうえで前提となる情報が含まれています。
しかし、上記のような方法でメンバーに共有すると、メンバー間で認識の齟齬が生まれやすくなります。
また、後で振り返る際にも要点がわからず、非効率です。
お客様との場面では上手くヒアリングできたとしても、その後の情報管理が適切でなければ、結果的に初回ヒアリングがうまくいかなかったことになります。
初回ヒアリングを成功させるポイント
冒頭でお伝えしたように、初回ヒアリングで一番重要なことは「お客様から依頼の本質を引き出し、課題を言語化すること」です。
それを達成するために意識すべきポイントは、主に3つあります。
弊社の実際の取り組みも交えてご紹介します。
ポイント1. 調べればわかる情報は事前に調べ、顧客について理解を深めておく
弊社の場合、さまざまな業種・業界のお客様からお問い合わせをいただきます。お客様の企業規模やサービス・商品のマーケットシェア、上場または非上場か、などもさまざまです。
私自身、案件を通して初めて知るサービスや商品もたくさんあります。(だからやめられません)
お客様の業界やビジネスモデルといった基本情報は直接ヒアリングすることもできますが、調べればわかることも多々あります。
当社では以下のようなヒアリングシートに、事前にリサーチした情報を記載し、ヒアリングにのぞんでいます。
また、事前リサーチする項目はある程度決めています。こうすることで、抜け漏れなくリサーチができます。
事前リサーチの方法
得たい情報 |
リサーチ方法 |
会社概要、企業理念、事業のビジネスモデル |
企業のWebサイト |
業績や事業計画 |
決算短信、決算説明会資料などのIR情報(上場企業の場合) |
決算の推移 |
株式情報サイト(上場企業の場合) |
従業員数、平均年齢、平均年収 |
企業の採用サイト、採用媒体 |
サービス・商品について |
企業のWebサイトやブランドサイト、SNS、口コミ情報など |
サービス・商品のマーケットシェア |
データバンクや官公庁が発表しているデータ、日経業界地図、競合サイト |
サービス・商品のターゲットユーザー |
データバンクや官公庁が発表しているデータ、口コミ情報、アンケートデータなど |
Webサイトのトラフィックやパフォーマンス |
マーケティングツール |
サイト構造・構成、機能や仕様技術、環境など |
企業のWebサイト |
また、お客様から事前に共有いただける情報があれば、事前に送付してもらいヒアリングシートへ反映しておくと、初回ヒアリングの時間を有効に使うことができ、スムーズに進行できるでしょう。
ポイント2. 事前準備を整え、本質的な質問に注力する
お客様によっては、自社の要望や課題を明確に言語化できないことも多々あります。そのため、私たちWeb制作会社は、お客様の課題の抽出や整理もおこなう必要があります。 事前準備をしてお客様への理解を深めた上で初回ヒアリングに臨むと、本質的な質問をしやすくなるため、お客様から重要なキーワードやヒントを引き出すことができます。 つまり、お客様が言語化できていない思想、まさに目に見えない価値観です。 ここで得た情報をしっかり言語化しておくことで課題が明文化され、お客様にとっても「なぜWebサイトを作るのか」という目的が明確になります。 この際、テキストだけでは明確にすることが難しい情報も出てくると思います。 その場合は、図にまとめたり、絵で見せて可視化することで、よりスムーズに認識のすり合わせができます。 以下の図は弊社のWebサイトリニューアル時の例です。 経営陣とヒアリングを重ね、言語化したものをこのようにテキストだけではなく図で配置することで、それぞれの関係性も合わせて示し、企業のブランド構成を可視化しています。
ポイント3. 情報は、いつ誰が見ても理解できるようにして共有する
初回ヒアリングで得られた情報は、プロジェクトに関わるすべてのメンバーがいつでも閲覧できるよう、共有しましょう。
そしてここで重要なのは、いつ誰が見ても誤解なく理解できるよう、情報を整えて共有することです。
Web制作の期間はさまざまですが、1年以上かかる場合もあります。また内容によって関わるメンバーの人数も多く、関わるタイミングもさまざまです。
ヒアリングシートで明確にした情報は、どの工程を進める上でもベースとなる情報です。案件に関わる全員がどんな状況でもこの情報をすぐに理解できるよう、ヒアリングシートの情報は整えて保管しましょう。
ヒアリングシートをもとに、企画やサイト設計、デザインなどを進めていくわけですが、それらの制作工程において作成する、サイトストラクチャやデザインコンセプトなどの資料についても同様のことが言えます。
ヒアリングの成功は案件の成功!実例を紹介
ここからは、弊社のヒアリングの事例をひとつご紹介します。
ヒアリングによって元々の課題だけでなく新たな課題も発見・解決した事例です。
ヒアリングから現場の視察に発展
あるお客様から、サービスを紹介するLP(Webページ)を作りたいというご依頼を受けたときの話です。
初回ヒアリングの中で、成果物だけでなく、サービスそのものに重点を置いたヒアリングを行っているうちに、そのサービスがどのように運用されているのか、実際に現場で見てみないか?と、お客様からご提案いただきました。
現場では、実際に業務をこなされる方の苦労や、そのサービスが現在に至るまでの過程などをヒアリングさせていただきました。
また、実際のユーザーからも直接意見を伺える、本当に貴重な機会でした。
現場でのヒアリングでサービス自体を見直すことに
その現場ヒアリングの中で、お客様側ではなかなか気付けなかった運用課題を発見できました。また、思ってもみなかったサービスの魅力をユーザーから教えていただくこともできたのです。
その結果、Webサイトだけではなくサービス自体の見直しを図ることになりました。
Web制作自体の受注がなくなってしまうのかと、内心かなり焦りましたが。。。笑)
結果的に、新たにサービスを展開することとなり、サービスの企画やブランディングから携わらせていただきました。
初回ヒアリングによってお客様との「共創」スタイルが確立
初回で課題をしっかり抽出し、メンバーがお客様の課題への理解が高まったことで、弊社メンバーも、まっすぐ、アツく、制作を進めることができました。
また、初回ヒアリングの場でお客様にきっかけをいただき、実際の現場の声をヒアリングしながらお客様と目線を合わせて課題の抽出を行なったことで、そのあとの工程でもお客様と会話を重ねながら共に創り上げるスタイルを確立できました。
このように、初回ヒアリングはお客様の課題解決に与える影響がかなり大きいです。その分パワーは必要ですが、お客様を理解し共感させていただくために大切な工程です。私はこの工程がとっても好きで、Web業界に長くおりますが毎回新たな気持ちでワクワクしています。
ヒアリングシートの共有に便利なAdobe Acrobat オンラインツール
初回ヒアリングを成功させるためにも、言語化・可視化されたヒアリングシートのドキュメントが重要とお伝えしてきました。
このドキュメントはお客様にも共有し、ドキュメント上でやりとりしていくこともあります。ドキュメントを共有するためのツールは数多くあり、案件特性やお客様の環境により最適なツールを使い分けます。
ただし、初回ヒアリングではまだ使用ツールの定義がされていない状況なので、弊社では表示環境に左右されず、セキュリティ面でも安心なPDFを活用しています。
お客様から共有いただく資料もPDF形式のものが多いです。
PDFを使ってお客様とやりとりする際におすすめしたいのがAdobe Acrobat オンラインツールです。さまざまな形式のデータをPDFに変換できるのはもちろんですが、それ以外にも、PDFを円滑にやりとりできる便利な機能が揃っているので、いくつかご紹介します。
「PDFを編集」機能
ヒアリングシートに対するフィードバックのやりとりは、「PDFを編集」機能が便利です。PDFのリンクをお客様に共有し、コメントをいただくほか、そこへ返信もできるため、認識をすり合わせる手間がかなり軽減されました。またペンツールで指図を入れられるので、テキストのみでやりとりをして齟齬が生まれるといった心配もありません。
「PDFを圧縮」機能
モリモリにご提案資料を作成した際に、気になるのはファイルの重さ。
重すぎると送れない、ダウンロードに時間がかかる、、、などコミュニケーションのイライラやもどかしさを軽減してくれるのが「PDFを圧縮」機能。弊社では共有する前にPDFファイルを軽量化しておくことを相手への思いやりと考え、社内で共有するときも軽量化するようにしています。
紙に印刷しやすいのもPDFの利点
Acrobat オンラインツールのおすすめの機能をご紹介しました。
ここでは、お客様とPDFでやりとりするメリットをもう1点お伝えさせてください。それは、紙に印刷しやすいことです。
リモートワークが一般的になった今、ミーティングはオンラインが多くなりました。しかし、もし機会を得られるのであれば、初回ヒアリングは対面でのすり合わせをおすすめします。言うまでもなく、コミュニケーション上で得られる情報量が、グッと上がるからです。
我々が扱うのはWebなので、基本的にはPCやモニターに投影することがほとんどですが、対面の場合は資料を印刷してもっていきましょう。
その場で切り貼りしたり並べ替えたり、ペンで書き入れたりすることで、お客様コミュニケーションが生まれやすくなるためです。そういう意味でも初回ヒアリングの資料は、印刷しやすいようPDF形式がおすすめです。
まとめ
Web制作において、課題の芯を捉え言語化することは、いわば最重要事項と言っても過言ではありません。
「なぜWebサイトを作るのか」を見極め共通認識を持てなければ、冒頭でお伝えしたような認識相違や目標のブレが起きてしまい、目的にマッチしたWebサイトにならない、つまりお客様が持つ本質的な課題解決につながらないという結果に陥ってしまうのです。
初回ヒアリングだけではなく、お客様にも考えていただきながら、我々もWebの専門家としてご提案をし、会話を重ねていくことで研ぎ澄まされていくこともあります。
そしてそのコミュニケーション自体が、お客様との信頼関係を築くと思っています。
パワーのいる工程ですが、これからも大事に取り組んでいきたいと思います。
弊社のテンプレートもぜひご活用いただき、この記事が少しでも日々の業務のお役に立てたら幸いです。
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