【事例有り】会員サイトとは?手順・構築方法・メリットやデメリットなどをWebディレクターが解説!

2022.02.112025.06.03
目次

Webサイトを運営するにあたって、特定の人のみがサイトを閲覧することが可能な会員制サイトを作ろうと思っている方も多いと思います。 会員制サイトには様々なメリットがあり、活用することによって普通のWebサイトよりも大きな成果を得られる可能性があります。 しかしデメリットも存在し、会員制サイトの特性をしっかり理解していなければ逆効果になってしまうことも。

今回の記事では会員制サイトのメリットやデメリットや、制作する際のCMS選定や、それに適したデザインなどについて紹介します。

会員制サイトとは?

会員サイトとは、会員登録を行ったユーザーだけがアクセスできるWebサイトのことです。一般公開されているサイトとは異なり、特定のユーザーに限定した情報提供やサービス提供を行う目的で構築されます。クローズドサイトとも呼ばれており、会員になったユーザーはIDとパスワードなどを用いてログインし、会員限定のコンテンツ閲覧やサービス利用が可能となります。会員制にすることで、顧客とのエンゲージメントを高め、継続的な関係構築を目指すことができます。

会員サイトの種類

会員制サイトは、公開範囲や目的に応じていくつかの種類に分類できます。サイトの特性を理解し、目的に合った種類を選択することが重要です。公開範囲による分類と目的による分類について解説します。

公開範囲による分類

会員制サイトは、情報の公開範囲によって主に3つの種類に分けられます。どの範囲まで情報を公開するかによって、サイトの設計や必要な機能が異なります。

・オープンサイト
・セミクローズドサイト
・クローズドサイト

オープンサイト

オープンサイトは、インターネット上の誰でも自由にアクセスし、閲覧できる一般的なWebサイトです。会員登録の必要なくコンテンツを閲覧できますが、ECサイトのように商品の購入やマイページ機能を利用する際に会員登録やログインが必要となる場合があります。会員制の要素は限定的ですが、多くのユーザーに情報を届けたい場合に適しています

セミクローズドサイト

セミクローズドサイトは、サイトの一部コンテンツや機能のみを会員限定とする形式です。サイト自体は誰でも閲覧できますが、特定の情報やサービスを利用するには会員登録が必要となります。例えば、記事の一部は無料で公開し、全文は会員限定とするメディアサイトや、商品の閲覧は可能だが購入には会員登録が必要なECサイトなどがこれにあたります。一般ユーザーへの情報発信と会員限定の付加価値提供を組み合わせたい場合に有効な会員制の形です。

クローズドサイト

クローズドサイトは、サイトのすべてのコンテンツや機能が会員登録したユーザーのみに限定公開されるサイトです。一般ユーザーはサイトにアクセスしても、ログインしなければ内容を閲覧できません。企業が顧客や特定のグループに対して限定的な情報を提供する場合や、会員同士のコミュニティを形成する場合などに用いられる、最も限定的な会員制の形態です。

目的による分類

会員制サイトは、その運営目的によっても多様な種類が存在します。どのような目的で会員サイトを構築したいのかを明確にすることで、必要な機能やコンテンツが定まります。 例えば、商品やサービスの販促を目的としたECサイト型、情報提供を主目的としたコンテンツ配信型、ユーザー間の交流を促進するコミュニティ型などがあります。有料会員向けの限定コンテンツを提供するなど、収益化を目指す会員制サイトも多く存在します。

会員制サイト構築の目的

企業が会員制サイトを構築する目的は多岐にわたりますが、主なものとして顧客との関係強化が挙げられます。会員限定の情報や特典を提供することで、顧客に特別感を与え、エンゲージメントを高めることが可能です。また、会員登録時に得られる顧客データを分析することで、顧客ニーズを把握し、今後の商品開発やマーケティング戦略に活かすこともできます。会員限定のECサイトであれば、固定顧客の増加や継続的な収益の確保に繋がるほか、会員同士のコミュニティを形成することで、ファン育成やユーザー生成コンテンツ(UGC)の創出を促進することも期待できます。有料会員向けのコンテンツを提供することで、新たな収益源を確立することも可能です。

会員制サイト構築のメリット

会員制サイトを構築することで、企業は様々なメリットを享受できます。

顧客との関係性を強化できる
会員限定の特典や情報提供により、顧客満足度・ロイヤルティが向上。

固定顧客の増加が期待できる
継続的な情報発信やサービス提供により、リピート購入・継続利用を促進。

独自の付加価値を提供できる
会員限定コンテンツにより、ブランド価値の向上に寄与。

マーケティング施策に活用できる
会員データや行動履歴を分析し、ニーズ・属性に応じた施策が可能。

安定した収益源を確保できる
有料会員制度の導入により、定常的な売上を得られる。

会員制サイトにするデメリット

会員制サイトには多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。

構築・運用にコストがかかる
機能の複雑さやサイト規模により初期・運用費用が変動。セキュリティ対策や定期的なコンテンツ更新にも継続的コストが発生。

ユーザー登録の手間がハードルになる
会員登録が必要なことが、特に新規ユーザーの離脱要因となる可能性がある。

継続的なコンテンツ提供が求められる
会員限定コンテンツの定期更新が必要であり、運用体制や制作リソースの確保が課題となる。

情報漏洩リスクへの対策が必須
会員情報を扱うため、厳重なセキュリティ対策と管理体制が求められる。

会員制サイトに必要な機能5選

会員制サイトに必要な機能は、サイトの目的や提供するサービスによって異なりますが、一般的に以下の5つの機能は多くの会員サイトで重要となります。これらの機能に加えて、サイトの特性に応じた独自の機能が必要となる場合もあります。必要な機能を精査し、サイトの目的達成に繋がる機能を選択することが重要です。

ログイン・ログアウト・パスワードリマインダー機能

会員制サイトの基本となる機能です。ユーザーが登録したIDとパスワードを使用してサイトにアクセスするためのログイン機能、サイトの利用を終了する際のログアウト機能は必須です。また、パスワードを忘れてしまった際に、登録済みのメールアドレスなどを利用してパスワードの再設定ができるパスワードリマインダー機能も、ユーザーの利便性を考慮すると重要な機能と言えます。これらの機能は、会員であることを認証し、安全にサイトを利用するために不可欠です。

閲覧制限機能

この機能は、会員ステータスや権限に応じて、特定のコンテンツやページへのアクセスを制限するために使用されます。例えば、無料会員と有料会員で閲覧できるコンテンツを変えたり、管理者のみがアクセスできるページを設定したりする場合に必要となります。これにより、会員限定の価値ある情報を提供し、会員登録のメリットを明確に打ち出すことができます。サイトの目的に合わせて、柔軟な閲覧制限の設定ができると運用しやすくなります。

マイページ機能

マイページ機能は、会員が自身の登録情報の確認や変更、購入履歴の確認、お気に入りリストの管理などを行える個人専用のページです。ユーザーが自身の情報を管理し、サイトをより便利に利用するために不可欠な機能と言えます。ECサイトであれば注文履歴や配送状況の確認、情報サイトであればブックマークした記事の一覧表示など、サイトの種類によって表示する情報は異なります。ユーザーにとって使いやすいマイページを提供することが、顧客満足度向上に繋がります。

ユーザー管理機能

サイト運営者が会員情報を一元管理するための機能です。会員情報の登録・編集・削除はもちろん、会員ステータスの変更や、特定の会員へのメッセージ配信など、会員全体または個別の会員に対する様々な管理業務を行います。ユーザー数の増加に伴い、効率的な管理を行うためには必須の機能です。会員データの分析やセグメント分けなど、マーケティングに活用するための機能が含まれる場合もあります。

管理者向け機能

会員サイトを円滑に運営するためには、管理者向けの機能も不可欠です。具体的には、会員情報の管理機能(登録情報の閲覧・編集・削除、会員ステータスの変更など)はもちろん、コンテンツの管理機能(記事や画像の投稿・編集・削除、公開・非公開設定など)が必要となります。 また、サイトの利用状況を把握するためのアクセス解析機能や、会員からのお問い合わせに対応するための問い合わせ管理機能なども重要です。さらに、メールマガジンなどで会員に情報を一斉配信する機能や、セキュリティ関連の設定を行う機能も管理者にとっては必要不可欠と言えるでしょう。

代表的な会員サイトの構築方法4選

会員制サイトを構築する方法はいくつかあり、それぞれ特徴やメリット・デメリットが異なります。自社の目的や予算、必要な機能などを考慮して最適な方法を選択することが重要です。ここでは代表的な4つの構築方法と、会員サイトの作り方、作成の流れについて解説します。

・無料CMS(WordPressなど)を利用する方法
・WordPress・MovableType・RCMSなどCMSを用いた会員サイト構築
・ASP(クラウド・パッケージ)を利用する方法
・スクラッチ開発(ゼロから)で構築

無料CMS(WordPressなど)を利用する方法

WordPressのような無料のCMS(コンテンツ管理システム)を利用して会員制サイトを構築する方法です。WordPressに会員サイト構築用のプラグインを導入することで、比較的簡単に会員機能を追加できます。オープンソースであるため、自由にカスタマイズできる柔軟性がありますが、ある程度のWeb制作やWordpressに関する知識が必要となります。また、セキュリティ対策や機能拡張は自社で行う必要があるため、専門知識がない場合は外部に委託することも検討しましょう。コストを抑えて手軽に始められる点がメリットです。

WordPress・MovableType・RCMSなどCMSを用いた会員サイト構築

WordPress以外にも、MovableTypeやRCMSなどのCMSを用いて会員サイトを構築する方法があります。これらのCMSは、初期費用などがかかるものも。WordPressと同様にカスタマイズの自由度は比較的高めですが、CMSの種類によって得意とするサイトの種類や機能が異なります。例えば、RCMSは顧客管理に強みを持つクラウド型CMSとして会員サイト構築に適しています。Movable Typeは基本的に静的ファイルの出力ということもあり、WordPressに比べセキュリティが高いCMSとして知られています。 自社の要件に合ったCMSを選定し、必要な機能を実装することで、効率的に会員サイトを構築できます。

WordPressとMovable Typeを比較|CMSの機能・運用面まで解説します。

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WordPress、Movable Typeいずれの場合も、サーバー自体を堅固なものにするという対策も有効です。 株式会社デパートでは、もちろんセキュリティについての対策は必ずご提案、対応しています。 セキュリティ対策に関するお悩みは、ぜひお気軽にお問い合わせください。

ASP(クラウド・パッケージ)を利用する方法

ASPサービスは、インターネットを経由して使えるサービスのことです。ASPサービスには会員制サイトを構築するためのテンプレートなどもあるのでそれを用いることとなります。 ASPサービスのメリットは

・簡単に使える
・高度な会員管理が可能
・比較的安価

以上の3点があげられます。

会員制サイト制作用のテンプレートの場合、使いやすさは各社とも工夫を凝らしています。自社で構築するのは大変な「会員の管理」の仕組みも基本的には整備されています。また、自社でサーバー等を用意する必要がないので、コストが比較的安価になるのも魅力と言えるでしょう。ASPの場合、月々の定額払いというケースが多いので、予算がある程度立てやすいのもうれしいポイントです。

スクラッチ開発(ゼロから)で構築

会員サイトをASPやCMSを使わずに構築しようとした場合、完全にゼロの状態から作り上げていくことになります。この場合のメリットとして、自由度がとても高くオリジナリティのある会員サイトが構築できます。システムやプログラムもゼロから構築できるのがフルスクラッチのメリット。しかし、その分作業量や時間が大幅にかかってしまうため、ASPやCMSでの構築より費用がかなりかかってしまいます。中小企業ではなかなかフルスクラッチでの会員サイト構築はできませんが、競合他社とは異なるような会員サイトの構築をしたい企業にはおすすめの方法です。

会員サイトを制作する際のCMS選定について

会員サイトを制作する上で、どのCMSを選ぶかは重要な判断となります。CMSによって得意なことや搭載できる機能、費用などが異なるため、自社の会員サイトの目的や必要な機能、予算などを考慮して慎重に選定する必要があります。ここでは、いくつかのCMSを選定のヒントとして紹介します。

・WordPress+プラグインを使用して制作
・RCMSのようなクラウドCMSを使用する
・EC機能をもたせる場合はShopifyやMakeShopなどのパッケージCMSを使用

WordPress+プラグインを使用して制作

1つ目に紹介するのは、WordPressとプラグインを組み合わせて会員制サイトを制作する方法です。この方法を用いれば、コストをかけずに簡単に会員制サイトの仕組みを構築することが可能です。WordPressには様々なプラグインが用意されており、有料コンテンツの作成や会員向けサイトの作成、ユーザーごとの権限管理などを誰でも導入することが可能なため便利です。目的としているサイトに適したプラグインを見つける必要がありますが、手早く会員制サイトを制作したい場合はこの方法がおすすめです。

RCMSのようなクラウドCMSを使用する

RCMSのような会員機能が標準装備されたCMSを使用するのも1つの方法です。RCMSの場合、会員登録機能やパスワードリマインダー、メルマガや閲覧履歴の表示など、会員制サイトに役立つ機能が備わっています。このようなクラウドCMSを使用すれば、難しい技術を用いることなく会員制サイトを制作することが可能です。クラウドCMSを使用する場合は、メーカーによって機能やサポートの内容が変わってくるので、しっかりと目的にあったものを選定することが重要です。

EC機能をもたせる場合はShopifyやMakeShopなどのパッケージCMSを使用

会員サイトにEC機能を持たせたい場合は、ShopifyやMakeShopのようなECサイト構築に特化したパッケージCMSの利用が適しています。これらのCMSは、商品登録、カート機能、決済機能、受注管理など、ECサイト運営に必要な機能が標準で備わっており、会員管理機能も搭載されています。デザインテンプレートも豊富で、比較的容易に質の高いECサイトを構築できます。ただし、EC機能に特化しているため、コミュニティ機能など、EC以外の会員向け機能のカスタマイズには制限がある場合もあります。

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会員サイトに適したデザインとは?

会員サイトのデザインは、一般向けのWebサイトとは異なる考慮が必要です。会員はすでに企業やサービスに関心を持っている層であるため、限定感や特別感を演出しつつ、利便性の高いデザインを目指す必要があります。情報の探しやすさや、会員限定コンテンツへのスムーズな導線設計が重要です。また、マイページなど個人情報が多く表示される箇所は、シンプルで分かりやすいレイアウトにし、ユーザーが安心して利用できるようなデザインを心がけましょう。ブランドイメージを保ちつつ、会員にとって心地よい、長く利用したくなるデザインが理想的です。

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会員サイト構築の流れ

会員制サイトの構築は、いくつかの段階を経て進められます。それぞれの段階でしっかりと要件を定義し、計画的に進めることが成功の鍵となります。会員サイトの作り方を理解し、効率的に作成を進めましょう。

01.ヒアリング
02.目的とターゲット設定
03.要件定義
04.要件に応じた構築方法の選定
05.要件に準じた画面設計・CMS設計・機能設計
06.デザイン作成
07.コーディング
08.CMS導入もしくはシステム開発(機能開発)
09.受入テスト
10.公開

01.ヒアリング

会員制サイト構築の最初のステップは、関係者へのヒアリングです。どのような目的で会員サイトを構築したいのか、誰をターゲットにするのか、どのような機能が必要かなど、様々な要望や課題を丁寧に聞き取ります。この段階でしっかりとコミュニケーションを図り、プロジェクトの方向性を明確にすることが重要です。

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02.目的とターゲット設定

ヒアリングで得られた情報を基に、会員制サイトの明確な目的とターゲットユーザーを設定します。例えば、「既存顧客のロイヤルティ向上」や「新規有料会員の獲得」など、具体的な目標を定めます。ターゲットユーザーについても、年齢層、性別、興味関心などを詳細に設定することで、サイトのコンテンツやデザイン、必要な機能がより具体的になります。目的とターゲット設定は、この後の全ての工程の土台となります。

03.要件定義

設定した目的とターゲットに基づき、会員制サイトに必要な機能や仕様を具体的に定義します。会員登録・ログイン機能、マイページ機能、コンテンツの閲覧制限機能といった必須機能に加え、サイトの目的達成に必要な独自の機能(例:EC機能、コミュニティ機能、予約機能など)を洗い出します。それぞれの機能に求められる要件を詳細に定義し、ドキュメントとしてまとめる重要な工程です。

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04.要件に応じた構築方法の選定

定義された要件を満たす最適な会員制サイトの構築方法を選定します。前述した無料CMS、パッケージCMS、ASP、スクラッチ開発の中から、必要な機能の実装可否、開発期間、予算、運用体制などを総合的に比較検討し、最も適した方法を選択します。この選定が、その後の開発プロセスやサイトのパフォーマンスに大きく影響します。

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05.要件に準じた画面設計・CMS設計・機能設計

選定した構築方法と要件定義に基づき、具体的な設計作業に進みます。ユーザーが実際に目にする画面のレイアウトや情報配置を決める画面設計、コンテンツ管理や更新を効率的に行うためのCMS設計、そして定義された各機能の詳細な仕様を決定する機能設計を行います。これらの設計は、ユーザーにとって使いやすく、運用しやすいサイトを実現するために非常に重要です。

06.デザイン作成

設計に基づき、会員サイトのデザインを作成します。ターゲットユーザーの嗜好やブランドイメージに合わせたデザインを行い、限定感や特別感を演出しつつ、情報の探しやすさや操作性を考慮したUI/UXデザインを意識します。特に会員サイトは継続的な利用を促す必要があるため、ユーザーにとって魅力的で使いやすいデザインが求められます。

07.コーディング

デザインが完成したら、デザインカンプを基にHTMLやCSSなどを用いてコーディングを行います。CMSを導入する場合は、CMSのテンプレートに合わせてコーディングを進める必要があります。SEO対策を考慮したコーディングや、様々なデバイスで適切に表示されるレスポンシブデザインに対応させることも重要です。

08.CMS導入もしくはシステム開発(機能開発)

選定した構築方法に応じて、CMSの導入や必要なシステムの開発を行います。CMSを利用する場合は、CMSのインストールや設定、必要なプラグインの導入などを行います。スクラッチ開発の場合は、定義された機能仕様に基づいてシステムの設計・開発を進めます。会員管理機能や閲覧制限機能など、会員サイトの中核となる機能の実装を行います。

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09.受入テスト

システム開発またはCMS構築が完了したら、要件通りに機能が実装されているか、デザインが崩れていないか、バグがないかなどを確認するための受入テストを実施します。様々なユーザーシナリオを想定し、複数人で多角的にテストを行うことが重要です。必要に応じて修正を行い、品質を確保します。

10.公開

受入テストが完了し、問題がないことが確認できたら、いよいよ会員サイトを公開します。サーバーへのアップロードやドメイン設定など、公開に向けた最終準備を行い、サイトをインターネット上に公開します。公開後も定期的なメンテナンスや改善が必要となります。

会員サイト構築後の運用について

会員制サイトは公開したら終わりではなく、構築後の適切な運用が成功に不可欠です。継続的に会員に価値を提供し、サイトを活性化させるための運用体制を整えましょう。特に、Wordpressのような無料CMSで作成した場合でも、運用の手間は発生します。簡単にはじめられるというメリットを活かしつつ、計画的な運用を心がけましょう。

お知らせや会員向けコンテンツを定期的に更新する

会員サイトの価値を維持・向上させるためには、お知らせや会員限定コンテンツを定期的に更新することが重要です。新しい情報や会員にとって有益なコンテンツを提供することで、会員のサイトへの訪問頻度を高め、エンゲージメントを維持できます。ブログ記事、動画、資料、限定イベント情報など、会員の興味を引くような多様なコンテンツを企画・作成し、発信していく体制を整えましょう。WordpressなどのCMSを利用すれば、比較的簡単にコンテンツの作成や更新が行えます。

アンケートやキャンペーンで会員ユーザーの満足度を向上させる

会員ユーザーの満足度を高めるために、定期的にアンケートを実施して意見や要望を収集したり、会員限定のキャンペーンやイベントを企画・実施したりすることが効果的です。会員の声に耳を傾け、サイト改善やサービス向上に繋げることで、リピーターを獲得していけるでしょう。WordpressなどのCMSでも、プラグインなどを活用してアンケートフォームを設置したり、キャンペーン告知ページを作成したりすることが可能です。

新規会員の入会を促すコンテンツを作成する

会員サイトを継続的に成長させるためには、新規会員の獲得も重要です。会員サイトの魅力や会員になるメリットを伝えるためのランディングページや紹介コンテンツを作成し、一般向けのWebサイトやSNSなどで積極的に発信しましょう。会員限定コンテンツの一部をチラ見せしたり、期間限定の無料トライアルを提供したりすることも新規会員の獲得に繋がります。WordpressなどのCMSでも、デザイン性の高い紹介ページを作成したり、フォーム機能を活用して会員登録への導線を設置したりすることができます。

会員サイト構築の費用相場

会員制サイトの構築費用は、選択する構築方法やサイトの規模、実装する機能の複雑さによって大きく変動します。一般的に、ASPを利用する場合は初期費用が数万円から数十万円、月額費用が数万円程度で済むことが多いです。WordPressにプラグインを導入して構築する場合も、比較的費用を抑えられますが、プラグインの費用やカスタマイズの費用がかかる場合があります。スクラッチ開発の場合は、ゼロからシステムを構築するため、数百万円から数千万円以上と高額になる傾向があります。無料で始められる方法もありますが、機能やセキュリティに制限がある場合が多いため、ビジネスで利用する場合はある程度の費用を見込んでおく必要があります。

ASPを利用する場合

初期費用:数万円〜数十万円 + 月額費用:数万円〜

WordPressにプラグインを導入して構築する場合

無料〜
※プラグインの費用やカスタマイズの費用がかかる場合あり

スクラッチ開発の場合

数百万円〜数千万円以上

会員サイト事例4選

ここでは会員サイトをもっている企業を4社紹介いたします。

花王株式会社

会員サイトの事例|花王株式会社

花王株式会社は、顧客とのコミュニケーションを続け、顧客をより深く理解していくことで、自社ブランドを末永く利用してもらうためのヒントを見つけ出すことを目的とした会員サイトの運用と顧客管理をおこなっています。応募キャンペーンやモニターアンケート等も実施し、新規会員の獲得や自社に対しての要望なども積極的に収集しています。

https://my.kao-kirei.com/

セブン銀行

会員サイトの事例|セブン銀行

コンビニエンスストアATM業界の最大手、株式会社セブン銀行。セブン銀行の利用者向けの会員サイトとして、ATMの検索やセブン銀行で利用できるカードの種類、サービスの内容や手数料なども確認できます。またATMに直接行かなくても利用できるサービスが多く、振込や残高照会も会員サイトより利用可能です。また、この会員サイトからセブン銀行での口座開設がおこなえます。

https://www.sevenbank.co.jp/

コクヨ株式会社

1969年から自社の「働く姿」を公開しているコクヨ株式会社は、これまでの知見を結集した会員サイトを作成しました。「働き方改革」という言葉が先行し、様々な企業で多くのアクションがおこなわれている現状ですが、「働き方改革」がそのまま成功につながっている企業は少ないという実態の裏に「そもそも何が課題なのか分からない」という大きなテーマがあったのです。そこでコクヨは働き方のコツや工夫を広く提案するために「働き方改革提案委員会」というWebサイトの構築および公開をしました。

https://www.kokuyo.co.jp/acw/

株式会社サイバーウィル

株式会社サイバーウィルは、様々な業種および業態に対応したECサイトの構築、CMSを活用したWebサイト制作の他にシステムコンサルティングまでもおこなうWeb制作会社です。Webアプリ構築プラットフォームとオープンソースCMS「Drupal」を組み合わせて、高セキュリティな会員管理システムと高機能なコンテンツ管理の両立させたパートナープログラム「SDP(SPIRALDevelopersProgram)」の提供を開始しました。

https://www.spiral-platform.co.jp/service/partner/

会員サイトを成功させるためのポイント

会員制サイトを構築し、成功させるためにはいくつかの重要なポイントがあります。これらのポイントをしっかりと押さえることで、より効果的な会員サイト運用が可能となります。

・目的を明確にする
・必要な機能を精査する
・セキュリティ対策を徹底する
・運用・管理体制を整える

目的を明確にする

会員制サイトを構築する上で最も重要なのは、その目的を明確にすることです。顧客ロイヤルティの向上、新規顧客獲得、情報提供、コミュニティ形成など、サイトを通じて何を達成したいのかを具体的に設定することで、必要な機能やコンテンツ、デザインの方向性が定まります。目的が曖昧なまま進めると、誰にとって何の役に立つのか分からない中途半端なサイトになってしまう可能性があります。

必要な機能を精査する

目的が明確になったら、その目的達成のために本当に必要な機能を精査します。多機能であれば良いというわけではなく、運用体制や予算を考慮し、優先順位をつけて機能を選択することが重要です。不要な機能を実装すると、開発コストや運用コストが増加するだけでなく、サイト構造が複雑になりユーザーの利便性を損なう可能性もあります。必須機能に加え、サイトの個性を出すための付加機能も検討しましょう。

セキュリティ対策を徹底する

会員サイトは個人情報を扱うため、セキュリティ対策は最も重要な要素の一つです。不正アクセスや情報漏洩を防ぐために、SSL化、WAF(WebApplicationFirewall)の導入、定期的な脆弱性診断など、多角的なセキュリティ対策を徹底する必要があります。ASPやクラウドサービスを利用する場合は、提供会社がどのようなセキュリティ対策を行っているかを確認し、自社のセキュリティポリシーに合ったサービスを選定することが重要です。従業員へのセキュリティ教育も不可欠です。

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運用・管理体制を整える

会員サイトは構築したら終わりではなく、継続的な運用・管理が必要です。コンテンツの定期的な更新、会員からの問い合わせ対応、システムメンテナンス、効果測定と改善など、運用業務は多岐にわたります。これらの業務を円滑に行うための体制を構築することが重要です。社内リソースで対応するのか、外部に委託するのかを検討し、責任者を明確にしておく必要があります

会員サイト構築のポイントまとめ

会員制サイトを成功させるためには、目的を明確にし、それに沿った機能を選定することが不可欠です。また、無料CMS、ASP、スクラッチ開発など、最適な構築方法を選ぶことも重要です。特に会員情報を扱うため、セキュリティ対策は最優先事項です。構築後も、コンテンツ更新や効果測定など、運用体制を整えることが成功の鍵となります。

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