補助金を使ったWebサイト制作のスケジュールと発注・見積もり【2026年版】申請から実績報告までの流れ

目次

補助金を使ってWebサイトを作るとき、つまずきやすいのが「いつ発注するか」と「見積書をどう作るか」です。補助金が正式に決まる前に発注すると、その費用には補助金が出ません。2026年度の新事業進出・ものづくり商業サービス補助金を例に、申請から公開・報告までの流れと、見積もり・発注の進め方をご説明します。

この記事でわかること

  • 申請してから補助金を受け取るまでの流れと、かかる期間の目安

  • それぞれの段階で、自社と制作会社がやること

  • 補助金の手続きで困らない見積書の作り方

  • 発注前に確認しておきたいことと、制作会社にお願いできること

補助金を使う制作では、制度の締切が優先されて、Webサイトの中身を考える時間が足りなくなりがちです。けれど、補助金の結果を待つ期間は、Webサイトの役割や機能をじっくり整理できる時間でもあります。

補助金の手続きと制作を一つの計画として進め、公開後も成果につながるWebサイトにするための進め方を、UXデザインの設計力と、ブランド構築支援の表現力の高さを強みにするWeb制作会社株式会社デパートがまとめました。

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補助金を使うWebサイト制作は準備と発注のタイミングを分けることが重要

いちばん気をつけたいのは順番です。準備は申請前から、契約や発注は交付決定のあとに。ここだけは必ず守ってください。

交付決定とは、「この内容で補助金を出します」と正式に決まることです。この前に契約や発注をすると、審査に通っていても、その費用には補助金が出ません。

ただ、交付決定まで何もせずに待つと、今度は制作の時間が足りなくなります。Webサイトの内容整理、見積もり、制作会社選びまでは申請前に済ませ、交付決定後すぐに動き出せるようにしておきましょう。

申請から補助金の受け取りまでは1年前後かかる

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の第1回公募を例にすると、申請の締切から補助金を受け取るまでは1年前後かかります。制度ごとに日程は違っても、進む順番はほぼ同じです。

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段階

時期の目安(第1回公募の場合)

この段階で行うこと

申請準備

2026年10月30日18:00の締切まで

GビズIDの取得、一般事業主行動計画の公表、事業計画書の作成、見積もりの取得

審査・採択

採択発表は2027年1月頃の予定

書面審査。必要に応じてオンラインの口頭審査

交付申請

採択発表から2か月以内

経費の精査を受ける。相見積もりなどの書類を提出

交付決定

交付申請の審査後

この日以降に、制作会社と契約・発注できる

補助事業の実施

交付決定から10か月以内(革新的新製品・サービス枠)、14か月以内(新事業進出枠・グローバル枠)

制作、公開、検収、支払い

実績報告

事業完了から30日以内、または完了期限日のいずれか早い日まで

証拠書類の提出と確定検査

補助金の支払い

確定検査の後

補助金の請求と受け取り

事業化状況報告

事業完了年度の終了後から5年間

毎年、事業化や賃上げの状況を報告

申請から制作開始までには、数か月の待ち時間があります。この期間をWebサイトの内容整理に使えるかどうかで、交付決定後の進み方が変わります。

参考:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)

補助金を使ったWebサイト制作の4ステップ

ここからは、4つのステップごとに、自社と制作会社がやることを見ていきます。

ステップ1 申請前:要件の整理と見積もりの取得まで済ませる

Webサイトで何をしたいか、必要な機能、ページ構成を整理します。予約などのシステムに100万円(税抜)以上をかける場合は、あとで要件定義書(必要な機能や仕様をまとめた文書)を求められます。この段階で文書にしておくと、後が楽になります。

そのうえで、制作会社の候補に同じ条件で見積もりをお願いします。1件50万円(税抜)以上の発注では、3社以上の見積もりが必要です。

このとき、契約書や発注書はまだ交わさないでください。交付決定前の契約・発注は、補助金の対象外です。

なお、事業計画書づくりを手伝った会社や、金融機関確認書を出した金融機関には発注できません。計画づくりを手伝ってもらった会社に制作も頼みたい場合は、事前に確認しておきましょう。

ステップ2 採択から交付決定まで:見積もりを確定させて制作の準備を進める

審査に通って採択されたら、発表から2か月以内に交付申請をします。ここで費用の中身が確認され、対象外の費用は減らされます。最初の申請に入れていない費用は、追加できません。

交付決定を待つ間に、制作会社とスケジュールを相談したり、社内で用意する原稿や写真を洗い出したりしておくと安心です。

ステップ3 交付決定後:契約・発注して期間内に公開と支払いを終える

交付決定の通知が届いたら、制作会社と契約・発注します。決められた期間内に、制作、公開、支払いまでをすべて終わらせます。

支払いは銀行振込で行い、分割払いの場合も期間内に払い終えます。現金や手形、決済サービスでの支払いは対象外です。

修正の時間も考えて、期限の1〜2か月前には公開する計画にしておくと安心です。

ステップ4 事業完了後:実績報告とその後の報告に備える

事業が終わったら、30日以内(期限日が早ければその日まで)に実績報告書を出します。公開した画面や公開時期がわかる資料に加え、100万円(税抜)以上の制作費なら、作業の単価や時間をまとめた開発費用算出資料も必要です。制作会社には、作業記録を残してもらうよう最初にお願いしておきましょう。

補助金を受け取ったあとも、5年間は毎年、事業の状況を報告します。公開の時点で、問い合わせや売上の計測設定を済ませておきましょう。

見積書は補助対象とそれ以外の費用を分けておくと楽

補助金を使うときの見積書は、交付申請では金額の妥当性を確認する材料に、報告では支払いの根拠になります。補助金の対象になる費用とならない費用を、見積もりの段階で分けておくと、あとで作り直さずに済みます。

見積もりは同じ条件で複数社に依頼する

1件50万円(税抜)以上の発注では、3社以上から同じ条件で見積もりを取ります。Webサイトの制作費が入る広告宣伝・販売促進費は、金額にかかわらず複数社の見積もりが必要です。

条件をそろえるには、目的、ページ数の目安、必要な機能、公開時期を1枚の依頼書にまとめ、全社に同じものを渡しましょう。

なお、制度上はいちばん安い会社を選ぶのが原則です。品質や実績で選びたい場合は、事務局に確認しておくと安心です。

見積書は「一式」ではなく作業ごとに分ける

「Webサイト制作一式」では、どこまでが補助対象か判断できません。作業ごとに単価と作業量(工数)がわかる形にしておくと、交付申請にも報告にもそのまま使えます。

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見積もりの区分

項目の例

補助金での扱いの目安

設計

要件定義、情報設計、ワイヤーフレーム

補助事業のPRに使うWebサイトなら、広告宣伝・販売促進費

デザイン・実装

デザイン、コーディング、CMS構築

同上

システム開発

予約、受発注、会員機能など

機械装置・システム構築費

既存サイトの改修

会社概要や採用ページなど、会社全体のPRに関わる改修

対象外

公開後の保守・運用

更新代行、保守契約

対象外になりやすい

サーバー・クラウド

補助事業専用のクラウドサービス

補助事業実施期間中の分のみ対象

※扱いはあくまで目安です。最終的には、公募要領(制度のルールをまとめた資料)と事務局への確認を優先してください。

広告宣伝・販売促進費の上限を確かめておく

Webサイトの制作費を広告宣伝・販売促進費で申請する場合、上限は1年あたりの売上見込みの5%です。たとえば5年間の売上見込みが2億円なら、1年あたり4,000万円の5%で、上限は200万円になります。

スケジュールと一緒に確かめたい費用・工数・体制・リスク

計画が見えてきたら、自社にとって無理がないかを4つの点で確かめておきましょう。

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判断の軸

確認すること

判断の目安

費用

立て替える金額と、補助対象から外れる費用

補助金が入るまでの数か月、制作費の全額を支払えるか

スケジュール

交付決定から完了期限までの期間と、制作に必要な期間

完了期限の1〜2か月前に公開できるか

工数・体制

原稿・写真の用意、制作の確認、申請と報告の書類を担う人

担当者が本業と並行して時間を確保できるか

リスク

減額、期間内に終わらない場合の扱い

減額されても事業計画が成り立つか

費用:消費税と保守費は自社負担になると考える

消費税を納めている会社(課税事業者)は、消費税分が補助の対象外です。公開後の保守・運用費も対象外になることが多いので、補助金でまかなえるのは制作費の一部と考えておきましょう。

スケジュール:制作に必要な期間から逆算する

数十ページほどのWebサイトでも、制作には数か月かかるのが一般的です。交付決定から期限までに、確認や修正の時間も含めて収まるかを、制作会社と一緒に確かめてください。

期間の延長は、災害などやむを得ない場合を除いて認められません。

工数・体制:社内の作業を見落とさない

原稿や写真の用意、デザインの確認など、社内の作業は思った以上に多くあります。補助金の書類づくりも重なるので、担当者お一人に負担が集中しないようにしておきましょう。

リスク:減額で補助下限を下回らないかを確かめる

交付申請で費用が減らされ、補助金が最低ライン(補助下限。新事業進出枠では750万円)を下回ると、採択が取り消されます。対象になるか迷う費用は、申請前に事務局へ確認しておきましょう。

スケジュールと見積もりを整えてもWebサイトの品質は担保されない

手続きが整っていても、それだけで成果の出るWebサイトになるとは限りません。気をつけたいポイントが3つあります。

価格だけで制作会社が決まりやすい

補助金では、いちばん安い見積もりの会社を選ぶのが原則です。依頼書があいまいだと、品質が足りない提案でも金額だけで選ばれてしまいます。

防ぐには、依頼書に品質の条件を書いておくことです。たとえば、障がいのある方や高齢の方にも使いやすいか(アクセシビリティ)、表示の速さ、社内で更新できる範囲などです。どの会社が引き受けても守ってほしい品質を、依頼書で決めておくのが、いちばん確実な方法です。

交付決定前の設計作業は補助の対象にならない

交付決定前に制作会社が進めた設計作業は、補助金の対象外です。かといって何も決めずに待つと、期限に追われて設計が浅くなります。

目的の話し合い、見てほしいお客さま像の共有、載せたい情報の書き出しなど、社内でできる準備は先に進めておけます。

公開後の改善費用が見込まれていない

補助金が出るのは、期間内の制作費だけです。公開後の改善や更新の費用は、別に予算を用意しておきましょう。公開後1年間の運用費まで含めて予算を考えておくと、補助金を使い終えたあとも手を止めずに済みます。

補助金の申請から実績報告までのチェック項目

確認しておきたいことを、4つの段階に分けてまとめました。制作会社との打ち合わせで、確認用のリストとしてご活用いただけます。

申請前

  • Webサイトの目的、必要な機能、ページ構成の概要を文書にまとめた

  • 同じ依頼書で、必要な数の制作会社から見積もりを取った

  • 見積書が作業ごとの単価と工数で分かれている

  • 事業計画の作成支援者や、金融機関確認書を発行した金融機関に発注する予定がない

  • 契約書・発注書は、まだ交わしていない

交付申請から交付決定まで

  • 採択発表から2か月以内に交付申請できる準備がある

  • 補助対象外になりそうな費用を把握し、減額されても事業計画が成り立つ

  • 原稿・写真など、社内で用意するものの担当と期限が決まっている

交付決定後の発注・制作

  • 交付決定の通知を受け取ってから、契約・発注した

  • 完了期限の1〜2か月前に公開するスケジュールになっている

  • 支払いは銀行振込で、期間内にすべて終わる

公開・実績報告

  • 公開した画面と掲載時期がわかる資料を保存した

  • 開発費用算出資料や要件定義書など、制作会社から受け取る書類がそろっている

  • 問い合わせや売上の計測設定が済んでいる

計測の設定は後回しにされがちですが、5年間の報告にも欠かせません。公開前のテスト項目に入れておくと確実です。

自社が担うことと制作会社に任せられること

補助金の申請は自社で行うのが原則で、制作会社が代わりに申請することはできません。一方、要件や見積もり、制作に関する書類は、制作会社の協力がないとそろいません。役割を先に分けておきましょう。

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作業

自社が担うこと

制作会社に任せられること

要件の整理

Webサイトの目的と、事業計画との関係を決める

必要な機能やページ構成の具体化、要件定義書の作成

見積もり

依頼書の作成と、複数社への依頼

作業ごとの単価・工数がわかる見積書の作成

申請・交付申請

GビズIDでの申請、事業計画書の作成

見積もりの内容に関する質問への回答

制作

原稿・写真の用意、確認と承認

設計、デザイン、実装、公開

実績報告

報告書の作成と提出、支払いの記録

納品書、開発費用算出資料、作業記録の提供

なお、GビズID(電子申請に使うID)のパスワードを、制作会社などに教えることは禁止されています。

制作会社を選ぶときに聞いておきたいこと

制作会社を選ぶときは、制作の腕前に加えて、補助金の手続きに慣れているかも確認しておくと安心です。

  • 補助金を使った制作の経験があるか

  • 作業単価や工数、作業者ごとの勤務記録など、開発費用算出資料に使える記録を残せるか

  • 交付決定から完了期限までの期間で、制作体制を確保できるか

  • 請求書や納品書の日付・宛名を、補助金の手続きに合わせて発行できるか

特に2つ目は、会社によって差が出やすいところです。作業記録を残す習慣がないと、報告に必要な資料がそろわないことがあります。

よくある質問

Q. 補助金の交付決定とは何ですか?採択とは違うのですか?

A. 採択は、審査に通って補助金を受け取る候補に選ばれた段階です。交付決定は、そのあとの交付申請で費用が確認され、補助金を出すことが正式に決まった段階をいいます。契約や発注ができるのは交付決定のあとなので、採択の連絡が届いても、まだ発注はしないようご注意ください。

Q. 開発費用算出資料とは何ですか?

A. Webサイトやシステムの制作費が妥当かを示す資料で、作業の単価や時間、担当者、勤務の記録などをまとめます。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金では、100万円(税抜)以上のWebサイト制作費を申請した場合に、報告で提出を求められます。制作会社に作業記録を残してもらうよう、最初にお願いしておきましょう。

Q. 相見積もりは何社から取ればよいですか?

A. 制度と金額によって変わります。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金では、1件50万円(税抜)以上の発注で3社以上の見積もりが必要です。Webサイトの制作費が入る広告宣伝・販売促進費は、金額にかかわらず複数社から取ります。同じ依頼書を渡して、条件をそろえてお願いしましょう。

Q. 交付決定前に、制作会社と打ち合わせをしてもよいですか?

A. 見積もりのための打ち合わせや、内容の相談は問題ありません。気をつけたいのは、契約書や発注書を交わすことと、補助金で払う予定の作業を始めてもらうことです。交付決定前の作業費は対象外になるので、どこからが作業になるのかを制作会社と確認しておくと安心です。

Q. 補助金を使うと、Webサイトの公開はどのくらい遅くなりますか?

A. 申請から交付決定まで、数か月はかかると考えておいてください。第1回公募では、申請締切が2026年10月30日、採択発表が2027年1月頃の予定で、そのあとに交付申請と交付決定が続きます。公開したい時期が決まっている場合は、間に合うかを逆算して確かめておきましょう。

補助金を使う制作は交付決定前の準備で仕上がりが決まる

補助金を使うWebサイト制作では、交付決定前には発注できず、決定を待ってから動くと期限に追われます。準備は申請前から、発注は交付決定のあとに。この順番を守れば、ルールを守りながらWebサイトづくりにも時間をかけられます。

ここから確認しておきたいのは、次の3点です。

  1. 公開の希望時期が、交付決定後の制作期間と完了期限に収まるか

  2. 見積書が、補助対象とそれ以外、作業ごとの単価と工数に分かれているか

  3. 依頼書に、どの制作会社が受注しても満たすべき品質の条件が書かれているか

どこまでを補助対象にできるか、依頼書にどんな品質の条件を書くかは、制作の実務を知らないと判断しにくいところです。申請前に、内容と見積もりの範囲を制作会社と整理しておくと、公開後の運用まで一つの計画として進められます。

補助金の制度全体については、Webサイト制作に使える補助金・助成金2026完全ガイドで整理しています。

参考資料

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